マーベラスS

King Of Western-Swing!!
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楽天地裏 洋食駄菓子の味

2018-04-15 22:05:29 | 大阪ミナミ

かつて千日前に楽天地ありき。 現在のビックカメラなんば店の場所。

さかのぼれば、プランタンなんば~千日デパート~大阪歌舞伎座~大阪楽天地。

大正3年(1914)から昭和5年(1930)まであった活動写真、演芸、レジャーの殿堂。

琵琶少女歌劇があり、のちの大女優田中絹代はそこの出身。

 

 

 

 左手前、絣の着物で振り向いている丁稚さんでも、入場券を買えば一日遊べて、帰りに

 楽天地裏の「自由軒」でカレーを喰って帰れた・・・私らの万博体験みたいなもんだな。

 こういう体験のある、叩き上げの商人が意外に大阪には多いのである。



 千日デパートの業火は中学ごろか、テレビ画面で臨時ニュースが入ったのを覚えてるが、

 のちに、一帯は元々千日墓地でさらし首まであったと知っては、穏やかではいられなかった。

 ともあれ、健在なり「なんば自由軒本店」。 明治43年創業だから、今年で108年。

  

 



 40年ほど前に初めて訪れたが、まぁ、ほとんど変わっていない。

 だが客層は変わった。

 圧倒的にアジアの外国人が多い。

 のれんに染め抜いた大衆洋食の文字が潔い。
 



 


 
 自由軒というとカレーライス。 日本人にとって洋食との出会いはカレーといっていいだろう。

 ここでカレーというと、あらかじめご飯にカレーをまぶしこんだ名物カレーのこと。

 ご飯とセパレートタイプは、別カレーと呼ばねばならない。

 さて、大げさではあるが、その食べ方を披歴するとしよう。



  



 飯の上に生玉子、全卵を割り入れた姿で運ばれてくる。

 卵の載っていないところを食べてみよう。 最初は甘いがあとから少しスパイスが来る。



      


 まず、この玉子をつぶして、ご飯全体にまぶしこむ。 

 香辛料の体験が無い大阪人にとっては辛すぎて、辛味を和らげるために卵をくれと言ったのか。

 はたまた精のつく卵喰って、どこかへくりこもうとしたか。

 

 昔、同級生とどこかで普通のカレーを喰った時に、そいつは食べる前にカチャカチャと

 カレーソースとライスをこの状態になるまで、丹念にまぶし込んでいて、

 こいつとは友達になれないと思ったことがある。 肥後くん元気にしてるかな。


     


 
 このままで食べると、カレーがマイルド過ぎて、ぼやっと曖昧模糊とした味になってしまう。

 これを締めるのが、テーブル上の無敵のスパイス・・・ウスターソースである。

 適宜、ドボドボと好きなようにかければよい。



     


 
 なんぼなんでも、かけ過ぎた! ここのカレーは最初からウスターをかけることを想定した

 味付けになっているのだ。 これぐらい多くたって平気、平気!


     

 

 こいつを全体にサックリと混ぜ合わせて、準備段階は終了。

 うかうかしてると冷めるので、ここまで来たら、一気呵成にお願いしたい。
 

 旨いとか、旨くないとかいろいろに申せども、

 まあ、明治から続く大衆洋食の記念碑的な一皿だ。

 私にはなんだか、洋食の駄菓子といった風情がある。

 日頃は思い出しもしないが、ときに喰いたくなり。

 喰ったら、もう当分はいい。


     

 

 勝手に広告塔に使いよって、厚かましいなと最初は思ったが、

 織田作だって勝手に「夫婦善哉」の中に自由軒カレーを登場させてるではないか。

 織田作の姉、竹中タツさんがこれを見て、喜んでいたというから、

 オレがとやかく言う問題ぢゃない。

  


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