勝福寺 Gikoohの日替わり法話

山寺の住職、Gikoohが日々感じたことを綴っております。
(プロフィール用の落款は天野こうゆう僧正さま彫刻)

8月15日という日

2023-08-15 22:13:30 | Weblog

総社市周辺の台風7号による被害は恐らく大丈夫だと思われるけれど、県北部や鳥取では線状降水帯が発生するなど、心配な様子がニュースを通して伝わってくる。どうか、台風進路に該当される皆さまのご無事を心から願っている。

お盆最後の8月15日。祖先が浄土へ帰り行く日。そして終戦記念日でもあり、一人一人が心を見つめる特別な1日でもある。今夜は、昨日書いた万燈会(まんどうえ)について述べたい。万燈会は全仏教の行事で、ここではお大師さまの修せられた高野山万燈会に思いを馳せながら話を進めたいと思う。

この世に仏の国をつくる…。

お大師さまは密厳仏国(大日如来の浄土)へのご理想をこのように表現され、それをご生涯の願いとされた。本年6月に勝福寺において、『弘法大師ご誕生1250年記念法会』開催の砌、記念品として4枚1組の「栞」を制作、配布させていただいた。その中の1枚に、お大師さまが遺された万燈会願文の

「虚空尽き 衆生尽き 涅槃尽きなば 我が願いも尽きなん」

という有名な御文章を記載した。これは、迷い苦しむ衆生(人々)が尽き果てて、衆生救済の行が無用になるまで私の願いは尽きることはない、という壮大な意味だが、世を救い、常に人々を幸せに導こうとされる大きな慈悲心に感動せずにはおられない。何と有難いことだろうか。

天長9年(831)8月22日、お大師さま59歳の時に、高野山において万燈会(正しくは万燈万華会)が修せられた。『弘法大師物語』(朱鷺書房)に、この法会は金剛・胎蔵の両部の曼荼羅に、万燈、万華を供えて供養するという、多くのともし火と花という光彩の中で法要が進められた。それは、密厳仏国の有様を表現されようとしたものであった。

同じく願文には「一炎たちまちに法界にひるがえって病を除き、質多の万華、笑を含んで諸尊眼を開かん」と智恵のともし火と慈悲の花びらの喩で、仏の生命の生きた現世の仏国を祈念されているのである。と記されている。

雨上がりではないのに現れた虹空と、水棚(雨に備えて傘も)。

以下、画像は全て8月14日撮影分。

勝福寺においても、お大師さまのご理想に近づきたいと、たくさんの願いを込めて平成22年から万燈会を行っている。途中、雨天やコロナ禍の影響で開催出来ない時が何年もあったけれど、今年は無事に開催することができた。約170燈の行燈がキラキラと光り耀くなか、Gikoohはご参詣の皆さまにお盆の行事のもととなる盂蘭盆(うらぼん)の法話をさせていただいたり、万燈会もそうであるように、お盆はとにかく万物に供養することの大切さをお話させていただいた。

御仏や祖先や餓鬼仏の供養の為、世界平和の為、皆さまからお供えいただいた真心の一燈は必ず天に届けられていると思う。

今の時刻は夜の10時過ぎ。勝福寺の本堂では、御本尊さま、諸尊さま、先代住職さま、永代供養の精霊さまに燈明を供えて、Gikoohが就寝する少し前までもうしばらく供養させていただこう。菩提寺というものは、現在を生きる檀信徒さまも、過去を生きた檀信徒(祖先)さまも、寂しい思いをされる人がいないように勤めさせていただいて、未来世に繋げていきたいと願っている。

最後に、万燈会をお手伝いいただきました「株式会社いのうえエヴァホール」さま、有志の檀信徒さま、本当に有難うございました。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 万燈会を開催 | トップ | 神聖な空間における電化製品 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

Weblog」カテゴリの最新記事