勝福寺 Gikoohの日替わり法話

山寺の住職、Gikoohが日々感じたことを綴っております。
(プロフィール用の落款は天野こうゆう僧正さま彫刻)

勝福寺寳燈展の話

2017-02-22 22:04:31 | Weblog
6日ぶりの日替わりになった。檀務、結集寺院様の助法、世話人方の山掃除等々、仏教会関係の仕事など行事続きの毎日だったが、ようやく落ち着いて1日在寺することが出来た。

さて、この写真は明治期に作陶された備前焼の苫舟香炉。(長25cm、幅9,5cm、高7cm)。金重陶陽氏の御親族か或いは御尊父、楳陽氏作と伝わる。苫とは和舟や家屋を覆って雨露をしのぐ為の屋根のことで、苫の下に灰があり、香を焚くと香煙がくゆり古雅な雰囲気を味わうことが出来る。

今年の第8回勝福寺寳燈展は「備前焼の粋」と題して、勝福寺蔵の備前焼を中心に観覧頂こうと思っている。Gikoohは工芸品全般の数寄者だが、郷土岡山の伝統工芸であり、かつて豊臣秀吉公の厚い庇護も受けていた備前焼に心惹かれている。

備前焼の魅力をGikoohなりに考えてみた。部屋の中を見回すと、床の間、違い棚、茶卓、文机のどれにも備前の花入、香合、水滴など何かしら置いてある。心が気忙しい時に、道具というものに触れていると、どういうわけか心癒されている。Gikoohは、いつも作品の向こう側にある職人の仕事ぶりや人間性を感じるわけだが、職人が性根を入れて作り上げた物は不思議な力を秘めているように思う。お道具というものは本当に良いし、文化を愛する者たちには不可欠だ。

寳燈展では桃山期から江戸初期に作られていた農具「種浸壺」から、備前焼中興の祖、金重陶陽氏の細工物まで、古い道具を中心に約30点展示させて頂く予定だ。とはいえGikoohは一地方寺院の住職で浅才無力故に、十分な展覧会は提供出来ないと思う。でも、本展に備前焼が持つ様々な魅力を込めたいと思っているで、関心のある方は是非。会期は今春4月22日(土)の1日限。
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