こういう、一泊二日バスの旅。過去なんども味わってきた定食のような旅は、新
鮮味はないが、安定感があり、癒しになる。歳を取ってきたなあ、と感じる瞬間
だ。訪れるところもほとんど行った事のあるところなので、ガツガツしない。
ベテランのバスガイドが、わざとらしくなく、メンバーを盛り上げてくれるのも
嬉しい。
朝の嵐山 好天に恵まれる
トロッコ駅
トロッコ列車
二日目の朝は少し早く宿を出発。一番列車に乗るべく、徒歩でトロッコ嵯峨駅へ。
首尾よく、乗車。トロッコ列車は大堰川沿いにゴトゴトと走り、保津峡を巡り、
のんびり亀岡へ。昨年は江ノ電に乗ったが最近はこんなのが流行りなのだろうか。
車椅子の仲間は、バスで駅の終点へ先回り。
列車からの風景
嵐山へ戻って、少し早めの昼食を取り、錦市場へ。
ここは結構人が出ていた。安くはないが、ウマそうなものが並ぶ。京野菜、京漬
物、海産物、練り物、惣菜、若狭の干物、琵琶湖の珍味、等々。スウィーツまで
ある。昼飯後なので、手が出ないのが良かった。空腹だったら色々なものを買い
込んだのだろう。買ったものはちりめん山椒と漬物5種類だけに留める。
錦市場
仲間は皆大きな荷物をぶら下げてバスに戻った。
都をどり見物。祇園歌舞練場へ。ここもまずまずの人出。客席は9割ほどの入り。
上がり框に芸妓さんが、東日本大震災の義援金募金に立っていたのには驚いた。
昔ながらの舞妓と芸妓のきらびやかな踊り。厳しい稽古を積んでいるのだろう。
それなりに見せるのだが、見る方の私の鑑賞眼が足りない。今回も途中でうつら
うつらとしてしまった。
路地からチラリと見えた八坂の五重塔
終わって、帰りがけに井筒八つ橋本舗へ立ち寄る。観光バスの人人人。試食の山
と、掛け声を上げる店員の数。お茶のサービスもあり、盛況である。ここらあた
りは大津算盤発祥の地でもあるそうだ。
大混雑の井筒屋本舗
そろばん発祥の地の標識
こうして、何の変哲もない京都旅行は楽しく終わったが、おまけがあった。
バスを自宅の近くで止めてもらい、一足先に降りたのだが、くだんの仲間も降り
て帰るという。幹事役が荷物と車椅子は後で届けると言ったので、、二人で降り
た。
彼は杖を付いているがどうも危なっかしい。放っておけず、自宅近くまで送るこ
とにした。一緒に少し歩くが、足元がおぼつかない。肩を貸してもズルズルと崩
れてしまう。2・300m歩いて完全に倒れて動けなくなった。通りすがりの通勤帰
りの人が、状況を見かねて「救急車を呼びましょう」と言ってくれた。
119番通報した携帯を代わってくれといったので、代わると、救急本部から色
々聞かれる。男か女か、何歳くらいか、意識はあるか、打ったところはないか、
持病持ちか、お前は誰か、などなど、細かくしつこい。「それより早く救急車を出せ」といっ
たら、「もう既に現地に向かっている」「搬送中の救急治療指針に必要な情報収
集だ」という。なるほど。
救急隊は5分くらいで到着し、現地に着いてからの対応もてきぱきとしていて、
無駄がなく好感を持てた。消防車が先導して到着しその後救急車が来た。娘さん
も駆けつけてきた。親切な人や、救急隊のお陰で、一応急場はしのげた。ありがたい。
古希の祈祷の際の住職の言葉「これからは他人のために生きるよう心がけなさい」
が多少はできたか。