遅いことは猫でもやる

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日本らしい再生策

2014-04-06 04:19:00 | 


藻谷浩介・NHK広島取材班「里山資本主義」株式会社KADOKAWA 2013年刊

畏友は私のブログを丹念に読んでくれていて、お借りした本を読み終えた頃、「そろそろ入れ替えに参上しましょうか」と実にタイミングよく申し出てくれる。今回も前にお借りした本を蓼科においてきてしまったので、新たにお借りした本はあらかた読了してしまった。其のタイミングで、新たに届けてくれた本の中にまず目についた、非小説の新書である。前からこの著者については注目していて、一度は著書を読みたいなと思っていたので、表題を見てすぐ読んでみた。

知的興奮を禁じ得ない本である。実体としてより、考え方としてグローバル経済、大量生産/大量消費、弱肉強食を原理とする資本主義(マネー資本主義と著者は言う)に挑戦している実例集と言っていいだろうか。

地域の赤字(弱体化)はエネルギーとモノの購入代金である。それを補うものが地方には眠っている。オーストリーは原子力・化石燃料に頼らないエネルギー革命を国を上げて取り組み、ユーロ危機を乗り越えている。木造高層建築はすでにロンドン・イタリアでとりくまれている。高齢化社会は衰退するというのは間違い。

などの主張を実例を持って展開する。今の資本主義を根底から覆すというわけではないが、常識化しているお金を媒体とする生産、流通、消費、をもう少し地域目線、消費者目線で改善する。そこには「もったいない」精神や、大量生産、画一化などから漏れて、捨てられたモノやサービスが、生きがいや,やりがいの再生とともに活用されてゆく。いわばメインシステムを補完するサブシステムとして機能させようと主張をしている。

こういう相手や状況に合わせる肌理細な活動は日本人のもっとも得意とするところであろう。グローバル化の波の中でも、我々の生きてゆく局面があるのだと指し示している。自分たちの存在感に自信を持たせてくれる好書である。一読をお勧めしたい。