毎日新聞 2015年01月20日 20時54分(最終更新 01月20日 21時01分)
福島、新潟両県にある東京電力の原子力発電所で19、20日、転落など3件の事故が相次ぎ、作業員ら2人が死亡、1人が重傷を負った。福島県は20日、東電に、原因究明と抜本的な再発防止策を申し入れた。19日午前9時5分ごろ、福島第1原発(大熊、双葉町)で、協力企業社員、釣(つり)幸雄さん(55)が、高さ11メートルの雨水受けタンクの底に転落、20日未明に死亡した。20日午前9時半ごろには、福島第2原発(富岡、楢葉町)の廃棄物処理施設で、協力企業社員、新妻(にいつま)勇さん(48)が鋼鉄製容器(重さ700キロ)と台座に頭を挟まれ、搬送先の病院で死亡が確認された。
県警双葉署はともに労災事故とみて、安全管理に問題がなかったか捜査を開始。東電によると、2011年3月の東日本大震災後、第1原発で起きた死亡事故は昨年3月の土砂崩れに続き2件目、第2原発では初めて。
同署や東電によると、釣さんは東電社員ら2人とともにタンクの水漏れ点検中、屋根に1人で上り、安全帯をつけないまま天蓋(てんがい)(重さ51キロ、横1メートル、縦80センチ)を開けた際に落下した。新妻さんは1人で鋼鉄製容器を固定するボルトを緩める作業中、容器が突然回転して頭を強打し、台座に挟まれたという。
また、柏崎刈羽原発(新潟県柏崎市、刈羽村)では19日午後3時ごろ、2号機のタービン建屋で、機器の点検作業をしていた協力企業社員の男性(51)が、金網状の足場(幅約80センチ)から約3.5メートル下に落ち、足の骨などを折る重傷。はしごで下りるために設けられた80センチ四方の開口部から転落したという。【栗田慎一、高木昭午】
1月20日 21時42分 NHK
東京電力福島第一原子力発電所と第二原子力発電所で、作業員が死亡する事故が相次ぎ、第一原発では、21日廃炉作業を中止して、安全点検を実施することになりました。
背景について東京電力は、記者会見で、「作業量が多くなっていることも考えなければならない」と述べ、作業の進め方や安全対策に問題がないか検討する考えを示しました。
20日午前9時半ごろ、福島第二原発で、廃棄物を処理する建物で点検作業をしていた40代の作業員の男性が、点検用の機具に頭を挟まれ、ドクターヘリで病院に搬送されましたが、死亡しました。
福島第一原発でも、19日午前9時ごろ、雨水をためるタンクの点検をしていた50代の作業員の男性が、高さおよそ10メートルのタンクの天井から転落し、20日未明になって死亡しました。
さらに柏崎刈羽原発でも、19日、作業員が足場から3メートル余り下に転落して大けがをしました。
こうした事態を受けて東京電力は、3つの原発の所長とテレビ会議で結ぶ異例の記者会見を開き、姉川尚史原子力・立地本部長が陳謝しました。
現在、福島第一原発では、廃炉や汚染水対策などのため、去年の同じ時期のほぼ2倍に当たる1日およそ7000人の作業員が働いていますが、「作業量の急増が、事故が相次ぐ背景にあるのではないかと」問われたのに対し、姉川本部長は、「作業量が多くなっていることも考えなければならない」と述べ、作業の進め方や安全対策に問題がないか検討する考えを示しました。
福島第一原発では、21日、廃炉作業のほとんどを中止し、安全点検を実施することになり、第二原発でも安全の徹底が図られるまで、作業を中止するということです。
福島第一原発では、去年3月にも、崩れてきた土砂の下敷きになって作業員が死亡したほか、11月には、タンクの増設工事中に、鋼材が落下して3人が重軽傷を負うなど、作業事故が相次ぎ安全対策が課題になっています。
東電社長「安全確保までほとんどの作業再開せず」
福島第一原発と第二原発で死亡事故が相次いだことを受けて、東京電力の廣瀬直己社長は、安全が確保されるまではほとんどの作業を再開しない考えを示しました。
廣瀬社長は20日午後、経済産業省の高木副大臣を訪ね、「昨年から事故があり、いくつかの対策を取ってきたにもかかわらず、こうした事故が立て続けに起きたことは、痛恨の極みだ」と述べて陳謝しました。
これに対し高木副大臣は「これまでにも事故が起きていて、今月15日には安全大会をやりながら事故を起こしたことは誠に遺憾だ」と述べて再発防止を求めました。
会談のあと廣瀬社長は「特に福島第一原発では、大きなリスクを取り除くため進めている作業も多いが、原因の究明と対策を進めるため、あらかじめ工程ありきは許されず、作業員が安心してできるという現場の声がなければ、再開を決めることはできない」と話し、現場ごとに安全を確保し、それまでは期間を決めずに福島第一原発と第二原発のほとんどの作業を止める考えを示しました。
(管理人より) 福島原発において2日間で2人の労働者が亡くなり、一人が重傷を負いました。労災事故です。
東電がこの労災事故のことをどのように発表してるのかHPにアップされた記者会見の資料から見てみます。
福島第二原子力発電所 1、2号機廃棄物処理建屋(管理区域)における 協力企業作業員の死亡について
IPBシャフト室(非管理区域)におけるけが人の発生について 平成27年1月19日 東京電力株式会社 柏崎刈羽原子力発電所
福島第一原子力発電所での作業員の負傷者発生について(続報2)
昨日(1月19日)お知らせしております、福島第一原子力発電所での作業員の負傷者発生についての続報です。
いわき市立総合磐城共立病院にて医師による治療を行っておりましたが、本日1時22分に死亡が確認されました。
亡くなられた方には心からご冥福をお祈り申し上げますとともに、ご遺族の皆さまには心からお悔やみ申し上げます。
以 上
これは氷山の一角で実際はもっとあるのかもしれません。
死亡事故が起きたら、死んだ労働者が不注意だったせいにされてしまうことが多い。死人に口なし。
危険な作業自体の本質的な問題を議論することもなく、個人の過失の問題にすり替えられてしまう最低な国、日本。
東海村JCO臨界事故の大内さんだけではない。
様々な健康被害が発生する公共工事での事故の労災隠しは当たり前のように行われている。
作業現場で有毒物質を吸い込み、晩発性の病気で亡くなる人も労災なのに、結局、人間が使い捨てられていく。
財閥を頂点とする原子力帝国の末端で、現場の労働者の命が削られていく。
その命を失った労働者が、
自分の息子ならどうする?
自分の夫ならどうする?
自分の父親ならどうする?
自分の兄弟ならどうする?
そうでなければ関係ないのか?
誰かに毒を浴びさせて、危険な作業を誰かにさせて、それでも原発体制を維持したいのか?
社長、あなたが現場で作業してみてください。
労災を隠すことは行われている↓
東海村・加速器事故施設 作業員が転落、労災公表せず
二〇一三年に放射性物質漏れ事故があった茨城県東海村の加速器実験施設「J-PARC」で昨年十二月、作業員が重傷を負う労災事故があったが、公表されていないことが分かった。施設側は被ばく事故でないためとしているが、〇七年にあった同じような事故は公表されている。
施設を管理運営するJ-PARCセンターによると、事故は昨年十二月二十四日夜、機械棟でケーブルの取り付け作業をしていた男性作業員(40)が足場から約三・五メートル下に転落、右足を骨折した。一一九番で駆け付けた救急隊が男性を水戸市の病院に運んだ。
センターは事故を国や県、村に報告したが、公表していない。公表しない理由を「作業員が被ばくしたり、放射性物質による汚染や外部環境への漏えいもなかったから」と説明。しかし、センターを設置する高エネルギー加速器研究機構は〇七年、J-PARCの作業現場で起きた重傷の転落事故をホームページに掲載し、公表している。
この施設では一三年五月、金に陽子ビームを当てて素粒子を発生させる実験中、放射性物質漏れ事故が発生。研究者ら三十四人が被ばくし、施設外に放射性物質を放出した。いずれも人体に影響を与えるレベルではないという。実験の再開に向け、安全管理体制の見直しなどを進めている。