mukan's blog

つれづれなるままに ひぐらしPCにむかいて

どうしてこんなに短いのか?

2015-06-30 19:58:36 | 日記

 曇り空の中、身延町の富士見山に向かう。この曇では富士山は見えまい。いつだったか(圏央道が工事中・通行禁止になっていたとき)のリベンジ登山。快調に中央高速を走り、甲府南ICで降りて、富士川沿いに南へ向かう。ところが高速を降りて「目的地」まで25kmというのに、到着予定時間が1時間もかかることになっている。どういうことだ? 50km/h制限の道を(7時半ころの通勤ラッシュだろう)混んでいる車に連なって走る。でも、ノロノロではない。速度は50km、ときには60km出ている。徐々に、「到着予定時間」は早まる。そうかnaviは、田舎道は時速30km/hで計算しているのかもしれない。ところが、手打沢橋西詰を右折して登りはじめると、ほとんど一車線の細い道がかなりの急傾斜。壊れた舗装をセメントで埋め合わせて補修している路だから、でこぼこしている。標高も、220mから700mへぐんと上がる。なるほどこの道ではスピードは出せないね。

 

 でも、8時15分には歩き始めていた。甲斐やすらぎの宮という仏教寺院。大峰山の洞川を本寺とする修験のお寺さんだ。大日如来とか不動尊を祀るお祭りもやっているらしい。でも「宮」とある。これは神社系統ではないのか。この境内から、堂平登山口がはじまる。寺院のトイレも借りることができるように見える。いきなりの急登、この急登が標高差1000m弱あるというので、登りに来たわけ。コースタイムは7時間20分と私のみたコース記録にはあった。身延町が出している観光マップでも、合計330分とあったから、6時間半。標高差1000m弱なら、このくらいかなと思う。

 

 スギとヒノキの植林地をぐいぐいと登る。今日は初めからストックを出している。バランスをとる支えにして、身体の消耗を防ごうという目論見。ゆっくり歩を進める。私はこういう上りが好きだ。性に合っているのか、こういう上りはゆっくりでも、高度が稼げる。緩やかなルートだと高度を稼ぐのに1時間300mくらいしか進まない。ところが今日は、100mが12分弱、1時間に500mも登る。いつしかブナ林になり、広葉樹が広がる。標高が500mごとに表示されてルートガイドになっている。がんばれと激励しているようだ。その1100mのところに簡易な造りの避難小屋がある。カラマツ林になったころ、三方に分かれる標識があるが、一方は消されたように薄くなり、二本線を引いているように見える。これが「山王分岐」か? コースタイムは2時間とあるが、まだ1時間を少し過ぎたくらい。違うだろう。

 

 尾根筋に登るとアカマツとモミの林に変わる。地理院地図にある「1381m」地点を1350mと表示してある。ここで尾根が少し広い台地状になり、ここから尾根筋を外れて、北側は回り込むようにトラバースしながら高度を稼ぎ、主稜線へ上がるのだが、このトラバースが少し細いが歩きやすい。ピュイッという切れ味の鋭い笛を吹いたような声が響く。シカだ。バキバキと木を踏み砕くような音が下の方でする。みると樹林の間をシカの群れが移動している。ピュイッと別のシカが鳴く。思いついて私が、ピイッと口笛を吹く。すると、それに呼応したのか、またシカがピュイッと鳴く。しばらくそのやりとりをしていたら、頭上でピュイッとシカが鳴いた。上にもいたのだ。彼らが、今日登っている山の北方にある櫛形山のアヤメ平をすっかり絶滅させてしまった。何十年かをおいて歩いてみて、驚いた。アヤメがまったくなくなっているのだ。そうやって見みるとこの山も、草花がない。ニャロメ。

 

 標高1600mの主稜線に上がったのは10時。下から1時間40分ほどで登っている。ここが「山王分岐」か。「←富士見山山頂/御殿山・十谷峠→」「堂平山主下山道↓」とある。登りはじめには、陽ざしが薄雲を通して降り注いでいたが、今はまったく雲の中。富士見山山頂の手前までのコースタイムが2時間とあったから、この先アップダウンもあるのだろうと、気持ちを新たにして歩き始めた。

 

 ところがなんと、10分もかからないで、「平須下山道→」に出た。狐につままれたみたい、とはこのことか。ここから富士見山展望台までは10分の行程。半分の時間で着いた。1639mと表示されたこの山頂は、しかし真正の山頂ではない。北側の樹木が切り払われて富士山がしっかり見えるようにしつらえられた「展望台」なのだ。だが脇には、祠があり小さいが鳥居もあって、奥宮という感じがしている。わずかに、気に隠れるようにして「←山頂まで30分」と小さな看板が掛けられてある。ヘンなの。身延町の観光用山頂というところか。

 

 先の山頂へ足を延ばす。標高で20mほど下ってまた登り、また下り上りと繰り返して、同じ高さの「富士見山山頂 山梨百名山 1639.5m」と書かれた柱と石の三角点がある。カラマツの林になっており、ミズナラやハリギリやツツジが葉をつけている。秋に来るといいかもしれない。雲が接近して、霧の中にいるようだ。早いがお昼にする。15分ほどで済ませ、下山にかかる。遠望台に戻り、平須への分岐に行く。その途次にまた、シカを観た。今度は彼も立ち止まり、こちらをじっと観察している。私がカメラを出してシャッターを押しても動じない。口笛を吹いたら、ハッと気づいたように背を向けて飛び跳ねて緑の森に姿を消した。コアジサイがきれいな花をつけている。これはしかも食わないのだろうか。この展望台からの往復も、1時間とあったのに、それぞれ20分ほど。

 

 1600mの分岐から700mの平須登山口までの下山路は、快適であった。なるほどこちらを下山に使ったほうがいい。ジグザグのルートは、一部は崩れかけて注意を要するが、その大半は、トコトコ歩いて気持ちがいい。ついつい斜面に引きずられて2時間のコースを1時間20分で降りてしまった。しかも、平須登山口から堂平登山口までの林道歩きを、私が調べたネットでは15分とあったが、5分で着いてしまった。なあんだ、こんなに近いんだ。

 

 そういうわけで、出発から帰着まで4時間30分。7時間20分のコースタイムはなんだったんだろう。これなら私の山の会の、秋のコースにでも組み込もうかと思ったくらいでした。