mukan's blog

つれづれなるままに ひぐらしPCにむかいて

イヤだねえ

2015-06-07 08:49:45 | 日記

 梅雨に入ったらしいという予報。何ともいい加減なのが、面白い。雨らしい雨は一日。陽ざしもある。気温はさほど高くないから、外を歩いていても気持ちがいい。去年の6/6には「TVで大雨と洪水と報じている。高知県の窪川では575mmの降水」と記している。6/8には「一日雨。これくらい降ると、いかにも梅雨らしい」とあるが、秋ヶ瀬公園へ出かけて雨の中を散歩しようとしている。だが、ピクニックの森の中は水浸し。長靴をもっていた人はずかずかと入っていくが、私はオロオロと周りの歩道を歩いて、フクロウのヒナを探している。

 

 適度のお湿りと陽ざしがあるから、庭の葉っぱが勢い良く伸びる。ことに紫蘇の葉はたちまち大きくなり、早く食べてやらないと虫が食ってぼろぼろにしてしまう。山椒の葉も、古い葉の間に黄緑の若い葉が顔を出して、顔を近づけるといい香りがする。これもアゲハチョウが卵を産んで、すでに食い散らかしている。いい季節だなあと、ぼんやりと外を眺めながらグータラしているのが心地よい。

 

 佐藤優『小説・北方領土交渉 元外務省主任分析官・佐田勇の告白』(徳間書店、2014年)を読む。ウクライナ問題を抱えて右するもならず左するもならぬ目下の対露日本外交の立場こそが、対米依存一辺倒から少しだけでも自律するいいチャンスと私は思ったりする。あるいはまた、対中交渉との関係においても、プーチンが窮地に立っているところだからこそ、対露関係の良好な関係確立に乗り出しておいた方がよいと思うのだが、そう素人が考えるようにはいかないものかと、判断を棚上げしてきた。ところがこれを読むと、そんな忖度は無用だと思ってしまう。

 

 本書は、佐藤優が外務省にいたころの「交渉」から、鈴木宗男議員の「事件」に連座するようにして逮捕・起訴・有期刑を受けて入獄、釈放されて現在に至るまでの過程を抑えながら、「北方領土交渉」がどのように進展あるいは進展しないでいるかを、小説のかたちで記している。これを読んでいると、日本の外務官僚たちは何をやっているんだと、慨嘆しないではいられない。

 

 外交交渉が、関係国の思惑や利害が絡み合って錯雑するとは思っているが、そこに外務官僚の個別的な感情や思惑が入り込んで、省内的人事メカニズム作戦と政治家を交えた力関係の権謀術数が組み込まれると、国益とか国際的関係の構築ということなど、どこかに吹っ飛んでしまってしまう。この人たちは、いったい何のために「領土交渉」をやっているのだろうと、呆れるというか、「もうワシャ知らんもんね」と、北方領土のことなど忘れてしまいたくなる。

 

 佐藤優はすでに外務省とは無関係な立場にあるから、作家活動を通して関係する人たちにメッセージを送っているつもりらしい。この小説も、現に担当する人たちを非難するのではなく、元気づけようと表現に気を遣っている。だがこれを読んでいると、秘密保護法などの規制がさらに大きくのしかかってくると思われる。

 

 昨日とりあげた『日本劣化論』の白井聡がいう「永続敗戦」のドツボに、日本の指導的立場の人たちもシステムも落ちこんでしまっているようだ。ほんとうに徹底して「負けて」、ほんとうにアメリカの信託統治領にでもならないと、目が覚めないのかもしれない、と思う。イヤだねえ。