この1ゕ月の間で閣僚が3人も辞任するという、異例な事態だ。先月24日に世界平和統一家庭連合(旧「統一教会」)と深い関係性が指摘されていた山際経済再生担当大臣(自民党麻生派、衆院神奈川18区)が辞任している。旧統一教会との関係が国会で何度も追及され、さらに教団本部の総裁と一緒に映っている証拠写真を突きつけられても、山際氏は「資料がない」「記憶が定かではない」などとあいまいな発言を繰り返していた。
そして今月、葉梨法務大臣(自民党岸田派、衆院茨城3区)が派閥の国会議員のパーティー(今月9日)に出席し、死刑執行命令書に署名する自らの大臣職務について、「朝、死刑のはんこを押して、昼のニュースのトップになるのはそういう時だけという地味な役職だ」などと発言した。この発言に批判が集まり、翌10日の国会で謝罪して発言を撤回した。ところが、派閥や地元・茨城での会合でこれまで4回以上も同様の発言を繰り返していたことが発覚。本人は11日付で辞表を岸田総理に提出した。
きのう20日、寺田総務大臣(自民党岸田派、衆院広島5区)も辞表を提出した。後援会の収支報告書の会計責任者がすでに亡くなっていた人物だったことや、記載漏れなど「政治とカネ」をめぐる問題が相次いで発覚。第2次補正予算案などの審議への悪影響を懸念する声が与党内でも高まっていた。
こうした内閣の異例な事態は最新の世論調査にも反映していて、テレビ朝日系のANN世論調査(今月19、20日)の内閣支持率では、「支持する」が30.5%と前回調査(10月15、16日)より2.6ポイント下落、「支持しない」が44.7%で前回より3.8ポイント上昇している。NHKの世論調査(今月11-13日)でも、「支持する」は33%で前回調査(10月8-10日)より5ポイント下がり、「支持しない」は46%と前回より3ポイント上がっている。
岸田総理は今月12日から
遊から帰国。20日に寺田大臣の交代を決めて、きょう衆院本会議での国会審議に臨んだ。時事通信Web版(21日付)によると、岸田総理は国会審議で、寺田大臣の辞任を陳謝した際に「寺田大臣」を「タケダ大臣」と言い間違えた。これより先の総理官邸でも記者団に寺田氏の後任を説明した際、同様に間違えていた。岸田総理は疲れ切っているのではないだろうか。この蓄積疲労は相当なものだろう。
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