自在コラム

⇒ 日常での観察や大学キャンパスでの見聞、環境や時事問題、メディアとネットの考察などを紹介する宇野文夫のコラム

☆5・5、1・1、8・8「ゾロ目」地震が続く 能登の被災地に「変化の光景」

2024年08月09日 | ⇒ドキュメント回廊

  昨夜は眠れなかった人たちが大勢いたのではないだろうか。気象庁はきのう8日、九州・日向灘で起きた地震を受け、南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)を初めて発表した。同地震の想定震源域では甚大な被害が想定されている。今後1週間は平時より発生の可能性が高いとされるので、防災・減災が最優先すると日常生活もままならない。それにしても不気味だ。去年能登の震度6強は5月5日、元旦の能登の震度7は1月1日、そして日向灘の震度6弱は8月8日だった。

  きのう、元日の能登半島地震の被災地をめぐった。その中でみつけた「新たな変化」をいくつか。珠洲市で7月にオープンしたホテルのレストランで、ココナッツをベースとした薬膳カレーを注文し、夏のカレーを楽しんだ。ホテルとレストランの支配人の男性は札幌市出身で去年7月に珠洲市に移住。震災直後から、焚き出しや高齢者の避難所への送り、被災地の支援で訪れた人たちに自宅を開放するなどのボランティア活動に取り組んできた。

  レストランから少し離れた場所で、新たに建築中の建物があった。支配人に「あれは何ですか」と尋ねると、「3Dプリンターの住宅ですよ」と。兵庫県西宮市の建築会社が施工している建物で、ホテルのオーナーがホテルの一室として活用するために発注したようだ。2人暮らし向け平屋タイプで、ダイニングや寝室、バスルームなどがあり、9月早々には完成の見込み=写真・上=。石川県では初めての「3D住宅」だとか。どのような家なのか。また珠洲市を訪れる楽しみができた。

  その後、6月21日付のこのブログでも紹介した、建築家・坂茂(ばん・しげる)氏が手掛けた木造2階建ての仮設住宅を訪れた。木の板に棒状の木材を差し込んでつなげる「DLT材」を使用している。DLT材を積み上げ、箱形のユニットを形成する。石川県産のスギを使い、木のぬくもりが活かされた内装となっている。外装の色合いも周囲の松の木と妙にマッチしていて、まるで軽井沢の別荘地のような雰囲気を醸し出している=写真・中=。

  この後、輪島市で焼け野原状態になった朝市通りを訪れた。通行規制などがかかっていて、現地への立ち入りも許されなかった。そこで遠目で見渡して分かったのは、焼けたビルなどはまだ残ってはいるものの、散乱していたガレキはかなり片付いているということだった=写真・下=。

       まったく変化が見られないところもある。平家の子孫とされる輪島市町野町の「上時国家」は国の重要文化財に指定されているが、地震で全壊した。また、能登で唯一、国の重要伝統的建造物群保存地区(重伝建)に指定されている輪島市門前町黒島のシンボル、「角海家」も倒壊しそのままだった。輪島市は重伝建保存対策事業費として3億4000万円の予算を組んでいる。「国の遺産」をいつまで手つかずの状態にしておくのか。

⇒9日(金)夜・金沢の天気    はれ


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