自在コラム

⇒ 日常での観察や大学キャンパスでの見聞、環境や時事問題、メディアとネットの考察などを紹介する宇野文夫のコラム

★被災地にキッチンカーが真っ先に駆けつける 国の仕組みこそ災害大国の必要条件

2024年09月14日 | ⇒ドキュメント回廊

  能登半島地震の被災地を巡り、仮設住宅地などに立ち寄ると意外と多く目にするのがキッチンカーだ。1ヵ月ほど前の話だが、七尾市の港近くにあり郷土料理や獲れたての魚介類が味わえることで人気がある「能登食祭市場」が震災から徐々に復旧し、仮営業が行われているというので行ってきた。店舗はまだ半数も営業していなかったが、入り口ではテント市やキッチンカーが並んでいて、土曜日ということもあってにぎわっていた。キッチンカーは10台ほど並んでいただろうか。アイスコーヒーなどのドリンクを提供する車や、韓国キチンを売りにする車などに人の列ができていた=写真・上、8月17日撮影=。車ナンバーを見るとほとんどが石川ナンバーの中小型車だったので、個人事業のキッチンカーかと推測した。

  半島先端の珠洲市ではトラックのキッチンカーも見かけた。車体には「すき屋」と描かれてあったので、牛丼や寿司、ファミリーレストランなどのチェーン店を経営する「ゼンショーホールディングス」(東京)の公式サイトをチェックする。被災者のために15日から現地で炊き出しを始め、4月27日までの72日間で3万5558食を提供した、とある。冬から春にかけての能登では厳しい冷え込みが続いていたので、避難所に身を寄せる被災者にとって、温かい食事の提供で心身も温まったのではないだろうか。このほか、カレーやうどんなどの全国チェーンの車もみかけた。

  外食事業者によるキッチンカーを活用した被災地支援の動きは、全国的な動きになりつつあるようだ。農水省公式サイト「外食事業者によるキッチンカーを活用した食事提供の取組」(3月1日付)によると、農水省では外食業界団体である一般社団法人「日本フードサービス協会」と連携し、被災地方公共団体と調整した上で、外食事業者の協力を得て被災地でキッチンカーを利用した食事提供に努めている、とある。有償提供、無償提供を問わず、ゼンショー取組1被災地にキッチンカー支援が向かう動きは、能登が先進事例になるのではないか。(※写真・下は、農水省公式サイトより)

  この動きは、自民党総裁選(今月27日投開票)に立候補した9氏が臨んだ所見発表演説会(12日・NHK生放送)でも取り上げられた。石破茂氏は能登地震の被災直後の状況について、「101年前の関東大震災のときと変わらない。体育館で雑魚寝は、先進国では日本だけだ」「被災した人たちを励ますのは温かくておいしい食事だ」と語り、発災3時間をめどに簡易トイレやベッドをはじめ、キッチンカーを被災者のもとに届ける仕組みを制度として整備すべきだと強調していた。

  確かに、被災地での炊き出しなどを地元のボランティアに委ねるだけではなく、国の仕組みとして整備する、これは災害大国ニッポンに必要不可欠だろう。

⇒14日(土)午後・金沢の天気   はれ


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