自在コラム

⇒ 日常での観察や大学キャンパスでの見聞、環境や時事問題、メディアとネットの考察などを紹介する宇野文夫のコラム

★アメリカ発祥のブレイキン ロス五輪でなぜ競技から外すのか

2024年08月10日 | ⇒ドキュメント回廊

  ストリートダンスがオリンピック競技になっているとはきょうようやく知った。メディア各社の報道によると、パリオリンピックで唯一の新競技「ブレイキン」の女子決勝が9日、コンコルド広場で行われ、日本の湯浅亜美選手がリトアニアの選手を破り、栄えある初代金メダリストに輝いた。

  そこでブレイキンについてネットで調べてみる。自由度の高いダンスパフォーマンスを特徴としている。ダンスに合わせる音楽は、選手たちに事前に知らされていない。DJがその場で選択した音楽に選手たちが即興で得意とするムーブで踊っていく競技。初めて知った。ブレイキンはアメリカのニューヨークが発祥の地でもあるものの、2028年のロサンゼルスオリンピックでは競技から外されている。なぜか。さらに調べてみる。

  ブレイキンは、別名「ブレイクダンス」として知られ、1970年代のニューヨーク市のブロンクス地区で始まった。当時は「ヒップポップ(hip hop)」と呼ばれ、黒人の若者たちが音楽やダンス、ファッションを通じて発した白人社会への抵抗の文化だった。(※写真は、パリ五輪で日本人選手の金メダル獲得を報じる10日付の夕刊各紙)

  一方で、ブロンクスはマファイの抗争の地でもあった。ロバート・デ・ニーロ監督の映画『ブロンクス物語』(1993年制作)はマフィアのボスと一人の少年の物語として知られる。ブロンクスはニューヨークヤンキースの本拠地であるスタジアムがある場所としても知られるが、ギャングの抗争など治安の悪さはいまも続いている。

  本来ならば、ヒップホップ文化で生まれた競技スポーツがパリオリンピックの競技に選定されれば、それはそれでアメリカとしては栄誉なことではないだろうかと単純に考える。ところが、ロス五輪大会組織委員会は去年10月の段階で、ブレイキンを追加競技候補から外す決定を下している。ブレイキンを競技スポーツと扱うことにアメリカ国内では違和感を持つ人が多いということだろうか。アメリカ社会の複雑な断面をあらためて知った思いだった。

⇒10日(土)夜・金沢の天気    はれ


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