自在コラム

⇒ 日常での観察や大学キャンパスでの見聞、環境や時事問題、メディアとネットの考察などを紹介する宇野文夫のコラム

★能登に生かす民間ファンド

2006年09月24日 | ⇒キャンパス見聞

  7月初め、申し込んでいた民間企業の環境基金の採択が内定したとの第一報が電話で入ったとき、オフィスにいた5、6人ほどのスタッフから「やりましたね」と歓声が上がった。先方から何度か問い合わせがあり、その度に問い合わせの内容が細かくなり、手ごたえを感じていた。そして、内定の電話でその期待と緊張が一気に喜びに変わったのである。

  今回受けることになった三井物産環境基金はことしで2年目の新しいファンドだ。内容は、念願だった「能登半島 里山里海自然学校」の開設と運営に要する向こう3年間の運営資金の大部分をファンドが支援するという内容だ。先述のようにかなり細かな内容まで吟味が行われた。というのも、この環境基金の一部は社会貢献をしたいという社員たちのポケットマネーが原資になっているので、選ぶほうも真剣なのだ。

  このファンドの応募にはドラマがあった。 ことし3月、能登半島で金沢大学社会貢献室が開いたタウンミーティングにこの企業の北陸支店の社員も参加していた。討議の中で、地元の人たちから「能登の自然は素晴らしいが、過疎で悩んでいる。大学は知恵を出してほしい」 「大学が地域貢献を叫ぶのであれば即実行に移してほしい」と熱い要望が相次いだ。が、「できるだけ希望に沿うようにしたい」と大学側は答えるしかなかった。

  後日、参加した社員がエントリー用紙を持って大学を訪ねてきてくれた。「ぜひわが社の環境基金に申し込んでください。私もお手伝いします」と。金沢大学はキャンパス内の自然環境を生かし、里山自然学校を運営している。子どもたちを対象にした自然観察会や環境教育、市民ボランティアによる森林の保全、棚田の復元など活動は活発だ。ところが、これを能登で展開するとなると距離的に遠く、また、能登半島の独自の研究課題も山積している。当然、やるとなると腰の据えた取り組みとなる。

  今回の三井物産環境基金の採択で、ようやくその取り組みのスタートに立てた。その拠点に、石川県珠洲市の廃校となった小学校を活用する計画が進んでいる。民間の志(こころざし)を受けて、大学が地域に何ができるのか、いよいよ金沢大学の社会貢献の真価が問われるときがやってきた。

  手始めに10月9日(祝)午前10時から、「能登半島 里山里海自然学校」の設立記念シンポジウムを開催する。(※写真は「里山里海自然学校」の拠点となる旧・珠洲市小泊小学校)

 ⇒24日(日)夜・金沢の天気  はれ


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