自在コラム

⇒ 日常での観察や大学キャンパスでの見聞、環境や時事問題、メディアとネットの考察などを紹介する宇野文夫のコラム

★総理退陣で政治空白の懸念 能登復興に遅れをもたらさないか

2024年08月15日 | ⇒ドキュメント回廊

       また「回転ドア内閣」が始まるのか。岸田総理がきのう14日、9月の自民党総裁選に立候補しないと表明した。直近のNHKの世論調査(8月2-4日)によると、内閣支持率は25%、不支持率は55%と低迷している。広島でG7サミットを開催した去年5月の調査では支持率が46%と盛り上がったが、その後は政治資金の裏金問題などで続落していた。

  冒頭で述べたように、回転ドアのように内閣がころころと変わる政治状況がときにある。小泉内閣以降の2005年から短命政権が続き「7年間で7人の首相が誕生する」状況だった。総理の名前を覚える間もないほど交代劇が続き、日本のガバナンスや国際評価の足を政治が引っ張っていた。その政治状況に終止符を打ったが安倍内閣で、7年8ヵ月続いた。その後の菅内閣は1年余りだった。岸田内閣は3年足らずだが、政権運営という意味では「そこそこ頑張った内閣」ではないだろうか。問題は、岸田総理の後継者に本命がいないことだ。また短命政権の政治が到来するのか。

  話は変わる。今月8日に宮崎県日向灘でマグニチュード7.1の地震が発生し、気象庁は南海トラフ地震の「巨大地震注意」を発表していた。きょうで1週間となり、注意の呼びかけは午後5時に終わった。そして、能登半島地震の被災状況も徐々にではあるが、変化している。

  石川県危機対策課のまとめ(8月13日付)によると、被害が大きかった奥能登の穴水町では地元にある1次避難所がすべて閉鎖された。同町ではピーク時に54ヵ所で3991人が1次避難をしていたが、被災者から要望のあった仮設住宅532戸が全て完成し、鍵の受け渡しも完了したことから、今月12日に1次避難所を閉鎖した。

  現時点での他の市町での1次避難所の状況は、珠洲市は18ヵ所で223人、輪島市は13ヵ所で155人、志賀町は5ヵ所で70人、七尾市は1ヵ所で43人、能登町は1ヵ所で5人と合せて496人が避難所生活を続けている。県が借り上げた金沢などの旅館やホテルなどの2次避難所では63ヵ所で365人、そのほか8ヵ所で58人となっている。1次から2次避難所の被災者を合わせると919人となり、1月31日時点の1万4632人に比べると随分と減ったことになる。

  話は冒頭に戻る。岸田総理はこれまで3度、能登の被災地に足を運んでいる。今回の退陣表明の中で、「総理総裁として能登半島地震からの復旧復興、南海トラフ地震や台風などへの災害対策をはじめ、最後の一日まで政策実行に一意専心あたってまります」と語った(地元メディア各社の報道)。被災者とすれば心強い言葉だが、一方で総理や大臣が交代することで一時的かもしれないが、復旧復興への時間的な空白が生まれないか、復興対策に遅れが生じるのではないか。被災者はそんなことも懸念しているに違いない。

⇒15日(木)夜・金沢の天気    はれ

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