自在コラム

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★「オープンイノベーション」って何だ

2019年10月18日 | ⇒ニュース走査

       「人生百年時代」という言葉に戸惑っている。これまでの人生観は、60歳定年で再就職し、65歳まで頑張り、後は年金をもらって泰然自若として余生を送る、だった。ところが、「人生百年時代」の言葉の裏には年金制度の下心が見えてくる。高齢者はリタイアせずそのまま働き、年金保険料や税金を納めてもらい、年金の受給開始をできるだけ待ってもらうという、時代の要請を感じる。これに背いて、時の政権を恨んで生きようとは思わない。問題は、65歳の人生観から人生百年時代へとライフスタイルを延ばすために、求められる能力・スキルをどう身につけるかである。

   キャリアの単なる延長では意味がない。有している技術やノウハウはもう時代についていけない。キャリアアップやキャリアチェンジが必要なのだ。自虐的な発想だが、65歳から身につける、能力・スキルには限界がある。せめて50歳で会社を辞しキャリアチェンジに進む、あるいは会社に兼業を認めてもらい、キャリアアップを図るといった自己開発が必要なのだ。これは、個人のキャリアもさることながら、会社組織にとっても必要ではないかと考えている。老舗企業として生き残るのはそう楽ではない。

   「オープンイノベーション」という言葉がある。これまでの自前主義(クローズドイノベーション)に代わって、会社の外にある知識や技術を積極的に取り込むという意味で使われる。もちろん、それぞれの企業内には秘密保持契約があり、自ら創った壁に風穴を空けて、既存のベンチャー企業やIT企業から技術導入するというのはそう簡単ではないだろう。「スタートアップ」と称される、新規サービス・ビジネスモデルの確立を目指すメンバーを取り込み、 イノベーションの創出を求める大企業の間で盛んに言われているのが、オープンイノベーションだ。 一方で、成功事例は少なく、失敗に終わる事例が多いことから、「オープンイノベーションごっこ。そう簡単ではない」と自虐的に言う人もいる。

   オープンイノベーションを起こすべきはむしろ政府だろう。厚生労働省の統計によると、ことし1-7月の出生数は前年同期に比べて5.9%減の51万8590人となり、ショックが走った。2016年に100万人を割り、わずか3年で90万人を割る公算が大になってきた。「団塊ジュニア」と称されてきた世代の女性が45歳以上になり、20代と30代の女性が減少している。つまり、人口減は構造的な問題なのだ。

   この問題に対応するには事実婚というオープンイノベーションを導入するしかないだろう。日本には戸籍の問題があり、事実婚を阻害しているが、結婚をしないで子供を出産する許容さ、その支援制度を政府が前向きに示すことではないか。事実婚のオープンイノベーションに踏み切れば、高齢化した社会の変革も促されるのではないだろうか。

⇒18日(金)夜・珠洲市の天気     くもり


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