ニュースを見ていて、「おかしなことになっている」とぶつやいた記事を2つ。16日午前10時10分ごろ、能登半島沖320㌔の日本のEEZ(排他的経済水域)の大和堆で「北朝鮮籍と見られる漁船が転覆し、乗組員が転落した」と水産庁から海上保安庁に通報があった。海上保安庁は救助活動のため巡視船や航空機を現場に向かわせた。水産庁の取締船が、北朝鮮籍とみられる漁船から「ほかの漁船が転覆した」との情報を得て、それを海保に通報した(17日付・日経新聞)。
現場は今月7日、違法操業の取り締り中だった水産庁の取締船と北朝鮮漁船が衝突し、漁船が沈没する事故があったところだ。今回違法操業をしていたであろう北朝鮮の漁船が水産庁取締船に発信した「漁船が転覆した」という情報はどこまで信用できるのか。水産庁の取り締まりをかく乱し、惑わすためにわざと偽の情報を流したと勘ぐることもできる。偽情報によって、水産庁から通報を受けた海保が巡視船や航空機を出して捜索しているとしたら、と考えると虚脱感も漂う。7日の衝突事故では北の乗組員60人を全員救助して、事情聴取もせずにそのまま帰した。北朝鮮は12日、日本側が故意に衝突した犯罪的な行為だとして、沈没船の損害賠償を求めた。「日本人は騙しやすい」と北朝鮮は笑っているかもしれない。何とも、おかしなことになっている。
テレビ朝日は16日夜に会見を開き、夕方の報道・情報番組「スーパーJチャンネル」で3月15日に放送した「業務用スーパーの意外な利用法」という企画コーナーで、スーパーを利用する一般の客などとして取り上げた男女5人は、実際には番組の契約ディレクターの知人で初対面のように偽っていたと発表した。テレビ朝日は「信用を著しく毀損する重大な問題」「仕込み、やらせと言われても否定できない」として謝罪した(17日付・朝日新聞)。
49歳男性の契約ディレクターは俳優養成教室の講師も務めていて、男女5人のうち4人はこの教室の生徒だった。「出演」のギャラを払わなくても、「テレビに出演できるよ」というだけで生徒たちは喜んで集まっただろう。想像するに、初対面を装う演技はとても自然な仕草で、視聴する側にも違和感のない、見事な演技だった。契約ディレクターも「最高の演技だったよ」と俳優の卵たちをほめていたに違いない。「テレビ局は騙しやすい」と契約ディレクターは笑っていたかもしれない。何とも、おかしなことになっている。(※写真はローマのバチカン宮殿「ラフェエロの間」にある「アテネの学堂」)
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