自在コラム

⇒ 日常での観察や大学キャンパスでの見聞、環境や時事問題、メディアとネットの考察などを紹介する宇野文夫のコラム

☆「50円払って」と請求すればすむ話が

2019年01月21日 | ⇒メディア時評

    夕方のNHKニュースを乗用車のラジオを聞いていて、ちょっと違和感を感じた。福岡県那珂川市のコンビニで、コーヒー用の100円のカップを購入したのにセルフ式コーヒーマシンで150円のカフェラテを注いだとして、62歳の男が窃盗の疑いで逮捕された、というニュースだ。捕まったのは同市に住む62歳の会社員で、100円のコーヒーカップに150円のカフェラテを注いでいるという常連客からの指摘が店に寄せられ、店が警戒していたところ、男がカフェラテを注いでいるのを確認した。店のオーナーが男に問いただしたところ、男は「ボタンを押し間違えただけだ」と言い逃れようとしていた。警察の調べに対しては、容疑を認めているという。

    ニュースを聞いたときは「こんなヤツもいるだろうな」というくらいの印象だったが。違和感を感じ始めたのは、そもそもこの話はコンビニ側が男に「50円払ってください」と請求すればすむ話ではないか、なぜ男は逮捕されなけらばならなかったのか、ということだ。逮捕は証拠隠滅や逃亡があるのであれば、その可能性はあるだろう。あるいは現行犯逮捕ということもあるが、警察が逮捕にいたった経緯がよく分からない。

    NHKニュースでは、、男は以前にも支払った代金よりも高い飲み物をカップに注いでいたとみられるということで、警察がさらに余罪を調べている、という。それにしても、仮に過去に100回繰り返していたとしても、本人は警察の聴取に対し認めているので、店に謝罪と5千円を払えば解決する話ではないか。思い過ぎかもしれないが、これは別件逮捕かもしれないと勘ぐってしまう。

    もう一つ違和感がある。このニュースをNHKが全国放送しなければならないのか。確かにコンビニの時代を象徴するような話で、「逮捕」となればニュース価値はあると判断したのだろうか。むしろ、NHKがこのニュースをあえて全国放送で取り上げたのには。もう少し深いワケがあるのではないかと勘ぐっている。それは、ポイントカードをめぐって、カードの運営会社が会員の情報を裁判所の令状なしに操作当局に提供していることが問題となっているからだ。

    これは推測だが、もし男がポイントカードや電子マネーカードを使っていたとすれば、コンビニ側は住所と氏名、コーヒーを購入した回数などを警察側に情報提供をしているだろう。警察は男にこの証拠を突き付けたので、容疑を認めたのだろう。NHK報道が狙っているのは、「カードの落とし穴」という次なるニュースではないだろうか。プラバシーを保護すべきコンビニ側だが、不正を摘発するためにあえて情報を提供、警察側もあえて逮捕に踏み切って事件扱いにした。 「50円払ってください」で済む話がここまで事件として大きくなった背景にカードという情報社会の闇がある、とNHKは報じたいのかもしれない。考えすぎか。

⇒21日(月)夜・金沢の天気    あめ


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