自在コラム

⇒ 日常での観察や大学キャンパスでの見聞、環境や時事問題、メディアとネットの考察などを紹介する宇野文夫のコラム

★あの「イカキング」と「能登ワイン」のテロワール

2022年12月06日 | ⇒トレンド探査

   FIFAワールドカップ・カタール大会で日本は決勝トーナメント一回戦で、日本はクロアチアと1-1で突入したPK戦の末に敗れ、8強入りはならなかった。強豪のドイツとスペインを破って決勝トーナメントに進出しており、「日本サッカー」を世界に印象付けたのではないだろうか。そして、敗れたものの選手たち、日本のサポーターはこみを拾い、さりげなく去った。「ジャパニーズ・スタンダード」「これが日本の文化か」と世界は称賛している。

   前回の続き。農耕儀礼「田の神さま」の見学を終えて、せっかく奥能登に来たので、いっしょに訪れた仲間たち3人と新名所を巡った。近場の海岸沿いにある、あの「イカキング」を見に行った=写真・上=。スルメイカの巨大なモニュメントは日本海のスルメイカの水揚げ拠点である能登町小木にある。これまで国内だけでなく海外のテレビ番組でも繰り返し紹介された効果もあり、観光交流センター「イカの駅つくモール」には去年4月設置からことし7月までに16万4千人が来場、うち45%の来場者がイカキングがお目当てだったことがアンケート調査で分かった(能登町役場公式サイト「 能登町イカキング効果算出プロジェクト報告資料」)。

   今回訪れたのは月曜日ということもあり、来場者は少なかったが、親子連れが楽しそうに眺めていた。また、グローバルメディアのBBCもニュースとして取り上げた効果か、インバウンド観光客も面白そうに撮影していた。欧米ではタコやイカはデビルフィッシュ(Devilfish)、「悪魔の魚」にたとえられ、巨大化したタコやイカと闘うアメリカ映画もある。スルメイカの巨大モニュメントそのものが、欧米では「絵になる」のだろう。

   次に訪れたのは穴水町にある「能登ワイン」。2006年にワインづくり始め、ワイナリーを囲むようにブドウ畑が広がる。畑には白い殻がまかれている。この辺り一帯は赤土(酸性土壌)で、ブドウ畑に適さないと言われてきた。そこで、穴水湾で養殖されるカキの殻を天日干しにしてブドウ畑に入れることで土壌が中和され、ミネラルが豊富な水はけのよい畑となり、良質なブドウの栽培に成功している。まさに能登ワインの「テロワール」(産地特性)と言える。

   その土地と合ったのが日本固有のブドウといわれるヤマソーヴィニヨン。ここでは国内のヤマソーヴィヨンの半数近くを栽培している。このヤマソーヴィニヨンをオーク樽で6ヵ月間貯蔵し熟成させたのが、赤ワインのブランド『心の雫(しずく)』=写真・下=。素朴な深みと優しさがあって、能登をイメージさせるワインでもある。
 
   説明してくれたワイナリーのスタッフがこのような話しをしてくれた。「日本ワインと国産ワインの違いをご存知でしょうか」と。日本ワインはブドウも醸造も日本で造られたワインのこと。国産ワインは醸造は国内だが、ブドウは輸入されたもの。その意味では、能登ワインは日本ワインの醸造に地道に取り組んでいると言える。
 
⇒6日(火)午後・金沢の天気   あめ

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