自在コラム

⇒ 日常での観察や大学キャンパスでの見聞、環境や時事問題、メディアとネットの考察などを紹介する宇野文夫のコラム

★台風の日本海、政争渦巻く大陸

2018年10月07日 | ⇒トピック往来

   台風25号は北陸に大きな被害をもたらすことなく過ぎ去ったようだ。昨夜は能登地方の8つの市町に暴風警報が出され、北陸新幹線も午後6時以降は全面運休だった。昨日(6日)能登半島の尖端、珠洲市に行くと、台風に備えて漁船が停泊していた。高屋地区の港では、イカ釣り船などがロープで岸壁に係留されていた=写真=。漁師に尋ねると、台風が過ぎ去っても、しばらく波が高いので漁に出ない、とか。「板子(いたご)一枚下は地獄」。プロの漁師ほど用心深い。フェーン現象だろうか、海岸沿いでも汗ばむ暑さだった。乗用車の外気温は31度。日本海を覆う雲の流れをしばらく眺めていた。海の向こうは朝鮮半島、ロシア、中国だ。いろいろ思った。

   ロシアのプーチン大統領は、対岸のウラジオストクで開催した東方経済フォーラム(9月12日)の壇上で、同席した安倍総理に「年末までに平和条約を締結しよう」と突厥に提案した。金融専門メディア「ブルームバーグ」によるとに、総理は直ちには応答しなかったが、聴衆は喝さいした、という。安倍総理とすれば、「北方領土問題を解決して日本とロシアの国境を確定したうえで、平和条約を結ぶ」というのが日本の方針なので、「いいですね」とは即答できるはずもない。大統領はさらに「我々(日本とロシア)は70年にわたって交渉してきた。(総理に)アプローチを変えよう、と提案した。前提条件を付けずに締結しよう」と語った。

   うがった見方をすると、プーチン大統領の北朝鮮へのエールのようにも思える。北朝鮮は非核化交渉でアメリカに対し、朝鮮戦争の終戦宣言を求めている。終戦宣言をすれば朝鮮半島におけるアメリカ軍や国連軍が駐留を続けることに、国際世論として疑問符がついて、交渉は北の有利になるかもしれない。日本とロシアで年内に前提条件なしに平和条約を締結すれば、北はアメリカに対して「ロシアと日本も前提条件を付けずに平和条約を結びましたよ。まず、前提条件を付けずに終戦宣言をしましょう」と迫るのではないか。

   きょう新聞各紙は、北朝鮮で対米政策を担当する崔善姫外務次官が9日にモスクワで開催される中国、ロシアの外務次官級協議に出席し、3ヵ国の連携を確認すると報じている。アメリカから経済制裁(ロシア、北朝鮮)や貿易バッシング(中国)を受けている3ヵ国が対アメリカで連携を密にするということなのだろうか。

    もう一つ。ICPO(国際刑事警察機構、本部フランス・リヨン)の孟宏偉総裁が先月末に中国に帰国した後に連絡が取れなくなっていると海外メディアなどが伝えている。中国が国外への亡命者や反体制派の取り締まりのため、ICPOでの影響力を高めることを狙って猛氏を総裁に就かせたとの見方がある。今回の猛氏の帰国は、トランプ大統領をICPOの網にかけるための作戦を中国当局と練るためではないだろうか。根拠はないが。そのうち、フランスのオフィスに孟氏は何気ない素振りで戻るのではないか。

    海を隔てた彼方の大陸ではさまざま国際政治の思惑が渦巻いている。そのような妄想を抱きながら、次第に分厚くなる台風25号の雲行きを眺めていた。

⇒7日(日)午前・金沢の天気   くもり時々あめ


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