自在コラム

⇒ 日常での観察や大学キャンパスでの見聞、環境や時事問題、メディアとネットの考察などを紹介する宇野文夫のコラム

☆能登の震災関連死は52人に 背景に肉体的に精神的に負担

2024年06月19日 | ⇒ドキュメント回廊

  能登半島地震による死者は282人となり、2016年4月の熊本地震を上回る見通しと地元メディア各社が報じている。報道によると、きのう(18日)災害関連死かどうかを判定する医師と弁護士が委員となった審査会が開かれ、輪島市と七尾市から申請があった26人について審査した。この結果、22人について関連死と認め、残り4人は継続審査となった。22人は両市の首長がそれぞれ最終的に認定することになる。これで、能登地震による直接死は230人、5月14日に認定された30人と合せて関連死は52人となった。

  自然災害に伴う人的被害としては、平成に入ってからの1989年以降で2011年の東日本大震災1万9643人(うち関連死3784人)、1995年の阪神大震災6402人(うち関連死919人)で、能登半島地震282人は3番目の規模となる。以下、熊本地震は276人(うち関連死221人)と続く。

  地元メディアによると、関連死と認定された人の性別や年齢、年代、亡くなった経緯などは、遺族が同意すれば各市町が発表する。しかし、5月14日に認定された30人の氏名は遺族の同意が得られなかったため公表していない。以下は憶測だが、氏名公表について遺族の同意が得られなかった理由は、亡くなった本人に相当な苦痛、それを見ている遺族にも苦痛があったからではないだろうか。

  以下憶測だ。関連死の場合は相当な肉体的、精神的な負担をともなった場合が多い。熊本地震の場合、関連死の原因として▽地震のショック、余震への恐怖による肉体的・精神的な負担▽避難所生活での肉体的・精神的な負担、が死亡の原因の69%を占めている(内閣府公式サイト「防災のページ」関連死について)。死亡した人の既往症は「呼吸器系の疾患」が63人(28.9%)、「循環器系の疾患」が60人(27.5%)と多く、「自殺」も19人(8.7%)となっている。(※データは、熊本県「震災関連死の概況について」=2021年3月時点)

  関連死の背景には、被災で住家だけでなく職を失い、さらに避難所や仮設住宅はさまざまなストレスや苦痛が肉体的に精神的に蓄積されていたのだろう。関連死の名前を公表してほしくないという遺族の気持ちの一端が伝わって来る。18日時点で2471人が避難生活を続けている(石川県まとめ)。

(※写真は、輪島市朝市通りで行われている公費解体によるのがれきの撤去作業=6月6日撮影)

⇒19日(水)夜・金沢の天気     はれ


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« ★能登の次は、金沢直下の「森... | トップ | ★ついでに過疎から脱却 仮設... »

コメントを投稿

⇒ドキュメント回廊」カテゴリの最新記事