自在コラム

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☆能登地震から半年の風景~①  全半壊の公費解体まだ4%

2024年06月30日 | ⇒ドキュメント回廊

  あす7月1日で能登半島地震から6ヵ月になる。被災地をめぐると、発災当時のそのまま状態、そして、復興に動き出した光景が交互に目に入ってくることがある。そのことを知人たちと話すと、「たかが半年」「されど半年」などと、復旧・復興の時間の問題で論議がわくことがある。そこで、「能登地震から半年の風景」と題して、いまの被災地の風景を見てみたい。

  被災地をめぐりまず感じるのは倒壊した家屋などがそのままになっているところが多いことだ。石川県全体で住家の全半壊が2万4799棟(6月27日時点)あり、政府が能登半島地震を特定非常災害に指定したことから、自治体が費用を負担する公費解体が可能となった。公費解体は所有者の申請、あるいは同意に基づいて行われる。県では公費解体の作業を来年度末までに終える計画だ。

  その作業日程は可能なのか。地元メディア各社の報道によると、今月6月27日の馳知事の記者会見で公費解体について説明し、2万865棟について申請があり2601棟で着手、これまで申請の4%にあたる911棟(自費、緊急解体を含む)で完了した、と述べた。公費解体は各自治体で4月から始まっている。ペースが遅いのではないかと記者から問われ、馳知事は「地理的条件など様々な要件が重なっている。全くそれを否定するつもりはない」「来年度末の完了をめざす考えは変わらない」などと答えている。はたして知事の言葉通りに作業が進むのか。

  また会見では、仮設住宅は6810戸の需要に対し、6642戸を着工し、今月末には当初目標の5000戸の完成を達成できるとした。ただ、仮設住宅を造ればそれでよいのだろうか。入居した人たちの中には、知り合いがいないために孤独を感じるといった人も多いのではないか。ゴミ出しや駐車場の使い方など生活に関するルールがないことに対する不安の声などもあがっているだろう。

  県は仮設住宅を管理する市と町に対して、仮設住宅の住民に自治組織の設立を促すよう求める通知を出した。現在までに自治組織ができたのは71の仮設住宅の団地のうち16のみだ(6月30日付・NHKニュースWeb版)。

  そもそも仮設住宅での暮らしは、日常ではない非日常での生活だ。団結する家族もあれば、逆に夫婦喧嘩や親子喧嘩、DVなどが顕在化することもあるだろう。限られた空間で長い時間を共に過ごすことで、予想もしなかった人間の関係性が露呈する。

(※写真・上は輪島市町野町の倒壊家屋。写真・下は同じく町野町の仮設住宅=6月17日撮影)

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