前回ブログの続き。物議を醸した石川県の馳浩知事の発言「1次避難所の滞留者は所得が低い」は今月25日に都内で開かれた、能登半島地震で対応した関係府省庁の職員らを集めた会合で発した言葉だった。地元メディア各社の報道によると、きょう(30日)馳知事は記者会見し、「配慮に欠ける発言だった」と釈明した。その上で、「さまざまな事情で避難所に留まらざるを得ない人がいる。行政の責任として1人1人の事情に沿って対応する必要がある」と改めて述べた。(※写真・上は、石川県庁公式サイト「知事のホームページ 」より)
また会見では、県が進めている被災地での仮設住宅6804戸について、これまで8月中にはすべてを完成させるとしていたが遅れる見通しを示した。工事の途中での設計や仕様に変更が生じたためで、8月末までの完成は6262戸、残り542戸については9月以降、もっとも遅いところでは11月になる。馳知事は「遅れることとなり申し訳ない。仮設住宅ができるまでは避難所などでの生活が続くが、日常生活や健康維持のための支援、見守りなどしっかりと対応していきたい」と述べた。
一方、能登半島地震での災害関連死について、県と被災自治体による5回目の合同審査会(医師・弁護士5人で構成)が30日開かれ、新たに21人(珠洲市8人、七尾市6人、能登町7人)を関連死と認めた。この後、審査会は3自治体に答申し、それぞれの首長が正式に認定する。4回目までで89人が認定されていて、今回21人が正式に認定されれば、関連死は合わせて110人となり、地震で家屋の下敷きになるなどの直接死229人と合わせて339人となる。
今回の関連死のケースとして、地震時に入所していた施設が停電や断水になり体力が落ちたことや、自宅が停電して酸素吸入ができなくなったなどの事例があった。また、不認定のケースでは、持病があり地震直後に亡くなったものの、地震との因果関係は認められないとの判断もあった(30日付・メディア各社の報道)。関連死に認定された場合、遺族には災害弔慰金支給法に基づき最大500万円が支給される。
県危機対策課のまとめ(7月30日時点)によると、避難生活を送っている人は1422人いる。被災地の地元の公民館や体育館など48ヵ所(1次避難所)で654人、県が指定した金沢市などのホテルなどの宿泊施設97ヵ所(2次避難所)で705人、そのほかで63人となっている。このほかにも、役所には届けていないが、県内外の親戚や知人宅に身を寄せている人が多くいると言われている。行政も実態はつかみ切れていない。(※写真・下は、地震で半壊した住家には「危険」などの貼り紙が)
県のまとめた数字で不可解なことが一つあった。住家の全壊・半壊・一部損壊の数値が今月23日に発表した数値と今月30日の数値では大きく異なるのだ。たとえば、輪島市の全壊家屋は23日付で4042棟となっているが、30日付では2257棟となっている。この数字の落差について、県危機対策課に直接電話で尋ねた。すると、これまで空き家を住家として計算していたが、30日付から空き家を非住家として分類したので数字に変動が生じた、とのことだった。逆に、能登ではこれほど空き家が多いのかと思った次第だ。
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