自在コラム

⇒ 日常での観察や大学キャンパスでの見聞、環境や時事問題、メディアとネットの考察などを紹介する宇野文夫のコラム

★「必勝しゃもじ」は日露戦争の縁起物 だとすれば

2023年03月25日 | ⇒ニュース走査

   このところ「必勝しゃもじ」が連日ニュースに上がっている。岸田総理が今月21日にウクライナを電撃訪問し、ゼレンスキー大統領に贈呈したとされる広島名産品。ネットで検索すると、「厳島神社・御朱印」サイトで必勝しゃもじの歴史や云われが詳細に出ている。江戸時代の寛政年間(1789-1801)のころ、厳島神社近くの寺院にいた修行僧が楽器の琵琶を模して神木でしゃもじをつくり、参拝客の土産品としたことが始まりとされる。明治時代に入ると日清・日露戦争があり、「飯(めし)取る=敵を召し取る」とのゴロ合わせで、しゃもじに「必勝」「商売繁盛」などの文字を入れ、縁起物として販売するようになった=写真、同サイトより=。

   きのう24日の参院予算委員会で、立憲民主党の議員からの質問で、岸田総理は「ウクライナの方々は祖国と自由を守るために戦っている。この努力に敬意を表したい」「外交慣例で地元のお土産を持って行くのはよくあること」とさりげなく答弁していたが、必勝しゃもじの由来は知っていたはずだ。日露戦争で日本が勝利したように、ウクライナにもロシアに勝ってほしいという意味を込めてのプレゼントだったに違いない。

   話は変わる。ところで、岸田総理がゼレンスキー大統領と会談していたころ、中国の習近平主席はモスクワを訪れ、ロシアのプーチン大統領と会談していた。中露首脳でいったい何を話していたのだろうか。中国の主席が手ぶらでロシアに行くはずもない。ましてや、ウクライナ侵攻開始後、日本を含め西側諸国はロシアに経済制裁を科し、石油の輸入やハイテク製品の輸出を禁じている。なので、ロシアは石油のさらなる購入や、中国製ドローンの供与、資金提供などの支援を中国に求めたのではないだろうか。

   では、中国側は何を求めたのだろうか。中国は「歴史的権利」を叫んで東シナ海や南シナ海での支配域を拡大している。以下はあくまでも憶測だ。中国にとっては、ウラジオストクやサハリンは清朝時代の領土であり、いわゆるアロー戦争で敗北後にロシアに割譲した(1860年・北京条約)。

   この海域の領土化をもくろむとすれば、まず、ロシアへの支援の代償として、北方領土(歯舞諸島、色丹島、国後島、択捉島)を譲り受けるという野望を描いているのではないだろうか。領土化と同時に、この4島を軍事拠点化することで、戦略的に日本とアメリカの双方ににらみを効かせる。国後島と択捉島ではすでにロシアは艦艇攻撃用ミサイルや新型戦闘機を配備しており、中露の共有基地化もあるかも知れない。ロシアがさらに衰退すれば、ウラジオストクやサハリンを取り戻すチャンスもある。あくまでも空想だ。

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