前回ブログの続き。これまでの日本と韓国の関係性をたとえるなら、「信なくば立たず」という言葉に尽きる。もともと、孔子が、政治を執り行う上で大切なものとして「軍備」「食糧」「民衆の信頼」の三つを挙げ、中でも重要なのが信頼であると説いたことに由来する。相互に信頼があってこそ成り立つ、人と人、人と国、国と国の関係性だが、日本と韓国ではこの関係性は成り立たない。今回、韓国政府は元徴用工問題をめぐって、韓国の財団が日本企業に代わって賠償金を支払う解決策を発表した。ただ、これは信頼回復の糸口がかすかに見えてきたにすぎない。
しかし、日本政府の方が浮き足立っている印象だ。読売新聞(7日付)によると、経産省は6日、韓国向けの輸出管理の厳格化措置について、両国間で解除に向けた協議を始めると発表した。韓国政府が日本のこの措置についてWTOに提訴していたが、紛争手続きを「中断する」と発表したためだ。近く、2020年3月を最後に途絶えていた局長級の政策対話を再開する。
日本政府は2019年7月に、「フッ化水素」など半導体関連の3品目について輸出時の許可手続きを厳しくした。さらに、8月には輸出手続きを簡略にする優遇措置の対象国「グループA(ホワイト国)」から韓国を外した。ホワイト国は政府が信頼できる輸出先だと認める国だ。ところが、韓国側で、武器製造に転用可能な日本からの戦略物資を違法に輸出した摘発事例が、2015年から19年3月までに156件あった。
当時、この違法輸出については韓国側も認めており、素直に「改善する」と言うのかと思いきや、韓国政府は歴史と絡めて日本批判に転じた。文在寅大統領は「賊反荷杖」という韓国語の四字熟語を使って日本批判を展開した。日本語訳では「盗人猛々しい」に相当し、「加害者である日本が、盗っ人たけだけしく、むしろ大きな声で騒ぐ状況は絶対に座視しない」と発言した(2019年8月2日付・朝日新聞Web版)。こうした「ちゃぶ台返し」が繰り返されてきた。
日本政府が半導体の部品輸出について、韓国をホワイト国から除外したのは、韓国側が輸出管理を適切に行ってこなかったことが原因で、徴用工問題とは何ら関係がない。なので、徴用工問題をめぐって解決策が示されたからといって、経産省が即刻、ホワイト国指定に向けて対話再開という態度は理解に苦しむ。はしゃいでいるとしか見えない。
2018年12月20日、日本海での韓国海軍の駆逐艦からの海上自衛隊P1哨戒機に対するレーダー照射事件、そして、韓国が領土だと言い張り占拠を続けている島根県の竹島問題など。これらの問題を一つ一つ片付けないことには共通認識も信頼関係も構築できない。
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