何の利用価値もなく、地球の衛星軌道上を周回している人工物体のことをスペースデブリ(space debris)と呼ぶそうだ。debrisは破片または瓦礫(がれき)と訳される。つまり、宇宙ゴミのことだ。宇宙開発に伴ってその数は年々増え続けている。耐用年数を過ぎ機能を停止した、または事故・故障により制御不能となった人工衛星から、衛星などの打上げに使われたロケット本体や、その部品、多段ロケットの切り離しなどによって生じた破片など。多くは大気圏へ再突入し燃え尽きたが、現在も4500㌧を越える宇宙ゴミが残されている(「ウイキペディア」より)。
昨日、北朝鮮が弾道ミサイルの技術を使って、自前の運搬手段で人工衛星を打ち上げた世界10番目の国になったと報じられた。最初に打ち上げたのはソビエト(当時、1957年)で、韓国も人工衛星を打ち上げているが、自前のものではなく、ランキング上では北朝鮮に抜かれた格好だ。
今回のニュースで感じるのは「タイミング」ということである。韓国は11月29日に人工衛星「羅老(ナロ)」の打ち上げを中断した。その直後、北朝鮮は今月12月1日に、人工衛星「光明星3号」の2号機を搭載した銀河3号ロケットを12月10日から22日までの間に打ち上げると発表した。今年4月13日に同型ロケットの打ち上げ失敗しているので、今回の打ち上げは失敗の原因を分析し、性能を向上させた上での満を持した再チャレンジとも推測できる。発射時期のこのタイミングは単なる偶然か。
韓国の「中断」、北朝鮮の「成功」で、政権を世襲した金正恩第一書記は今ごろ優越感に浸っているだろう。今年を「強盛国家」建設の年と位置づけているので、その求心力を高めることにも成功したことになる。
それにしても、北朝鮮は今月10日、1段目のエンジン制御システムに技術的欠陥が見つかったとして、発射予告期間を29日まで1週間延長すると発表していた。その舌の根も乾かない2日後の短期間で発射できたのか。発射にまつわる情報操作だったのか、なぜそのようなことをしなければならなかったのか、など次々と疑問が浮かぶ。
今回の北朝鮮の打ち上げ成功で、アメリカ本土にまで到達する大陸間弾道ミサイル(ICBM)の完成に一歩近づいたとも言われ、世界の新たな脅威がまた一つ増えたことになる。そして、「衛星」については「実質的な衛星の役割をできない非常に初歩的な水準」とも指摘されている。つまり、スペースデブリがまた一つ増えたことになる。
⇒13日(木)朝・金沢の天気 はれ