自在コラム

⇒ 日常での観察や大学キャンパスでの見聞、環境や時事問題、メディアとネットの考察などを紹介する宇野文夫のコラム

☆生物多様性年のこと

2010年12月18日 | ⇒トピック往来
 国連が定めた国際生物多様性年の総括と、来年の国際森林年への橋渡しをするイベントがきょう18日、石川県立音楽堂邦楽ホール(金沢市)で開幕した。国連の関係者、2人の大臣を招いての国際会議はどのようなイベントであったのか、発言者の言葉を拾って紹介する。

 アフメド・ジョグラフ生物多様性条約事務局長:生物多様性条約第10回締約国(COP10・名古屋市)では、遺伝子資源の利用と利益をめぐる配分(ABS)の国際ルール「名古屋議定書」と生態系保全の目標「愛知ターゲット」が採択された。これは条約参加国が生物と人が共生する世界を築きたいと心をそろえたから実現できたこと。(パン・ギムン国連事務総長のメッセージを紹介して)今年、名古屋で築いた絆を大切にしていきたい。そしてこの機運を生かして、今後10年の取り組みを成功させたい

 松本龍環境大臣:国際生物多様性年の機運が世界を駆け巡り、緑の波が会場に押し寄せる息吹を感じた。先進国と途上国がABSをめぐる対立を乗り越えたのは、各国がぎりぎりのところで譲歩して、一つ一つ利益を積み重ねたからだ。議長として、私が木槌を振り下ろしたとき、会場が一つになっていた。生物多様性の損失を止めるためには、今後10年の行動が重要になる。人類の英知を集めて、行動を起こしていきましょう

 鹿野道彦農林水産大臣:里山と里海の重要性はCOP10ですでに世界の共通認識となった

 谷本正憲石川県知事:石川の県土の6割が里山であるものの、生活の変化や過疎・高齢化で荒廃が問題となっている。石川はトキが暮らせる自然環境を再生して未来に引き継ぐこと、さらにトキが舞う豊かな里山や里海を再生することが人と自然の共生につながる。そのためには一過性ではなく、永続的な取り組みが必要だ。地球規模の課題テーマである生物多様性の保全にローカルな立場から貢献していきたい

 ジャン・マッカルパイン国連森林フォーラム事務局長:国際生物多様性年のクロージング式典は、森林にとっても、生物多様性にとっても、ビギニングのセレモニーでもある。石川県の知事から里山里海の説明を聞いた。日本人はうまく人と農業、自然の関係を守ってきたと思う。人と森の関係もそうあるべきで、森林年では相互依存の関係を再確認したい

※写真は、国際生物多様性年と国際森林年の国連関係者や日本政府の関係者が集まった式典=石川県立音楽堂
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