まったく他人を必要としない、少なくとも、頼ったりしない、という構えの人間がいる。ある時期までは、そのぐらい、他者を無視するぐらいでなければ、ちゃんとした成長ができないということもあるかもしれない。
だが、自分が生きるにあたって、どれだけ、他者のおかげで生きてこれたか、いつかは知るときがくるはずである、といいつつ、ひょっとしたら、そんな風にはおもわず生涯を終える人もいるのかもしれない。
歴史をみれば、人間というのは、実に捉えがたい。なかなか一括りでは理解できない。残虐だったり、心優しかったり、ひとりの生涯をみても、いろんな時期があったりして、一概にその人間を評価ができなかったりする。
ただ、人間というのは、結構利己主義的であったり、ご都合主義的である。 親の介護などには、一切の手出しをしないくせに、親が死ねば、途端に遺産を狙って、積極敵な動きをする。周辺は利用するべき存在であって、そこには、利益追及の嗅覚が働いている。
まことに、人間らしいというか、その変貌ぶりをみることは、たいへんな失望を呼ぶ。恥を知れといいたいが、シレっとしているのをみると、気づかぬ風を装うのが最善かもしれない。人間らしく生きるとは、まことにむずかしい。