ヌルボ・イルボ    韓国文化の海へ

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韓国内の映画の興行成績 [5月7日(金)~5月9日(日)]と人気順位 ►「コントラ KONTORA」★5は並みの日本映画ではなかった! ►韓国映画「子供たちは楽しい」の原作漫画に注目!

2021-05-14 22:56:15 | 韓国内の映画の人気ランク&興行成績
▶この1週間で観た映画は次の1本だけです。
 ・「コントラ KONTORA」★★★★★ (5月8日横浜シネマリンの初日に鑑賞。これは期待以上だった。今年に入って観た50本目で、文句ナシの★5つ。地方の小さな町で父と暮らす高3女子のソラ(円井わん=好演)は急死した祖父が遺した元飛行兵の頃の絵日記を見て・・・というストーリーは映画情報サイトや下の予告編で見ていただくとして、とにかく終始不穏なフンイキが漂い、冒頭からラストまでスクリーンから目が離せず。それよりも気に入った点は近年の日本映画には滅多にない映像世界の広がりと奥行きが感じらること。少し具体的に言えばキーワードは<疎通>。身近な家族・親族でもそれだけで気持ちが通じ合うわけでもないし、逆になぜかいつも後ろ向きに歩く言葉の通じないヘンな男とか、あるいは手帳に記された昔の祖父の思いにふれることもできる。そんなディテールがより普遍的な世界認識につながっている・・・と、これも私ヌルボの感じ方にすぎないのかもしれないが・・・。)
    「コントラ KONTORA」の予告編。音楽も印象的。

 ※本作品は<SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2020>の国内コンペティションで長編部門優秀作品賞。その他エストニアの国際映画祭で2019年のグランプリと最優秀音楽賞を受賞。第15回大阪アジアン映画祭で後ろ向きに歩く男を演じた間瀬英正さんが最優秀男優賞。

▶今回の記事中では、ソウル市江西区の<特殊学校>設立を求める生徒の親たちと設立反対を叫ぶ建設予定地の地元民の対立を扱ったドキュメンタリー「学校に行く道」ホ5パ6という変わったペンネームの漫画家の人気ウェブトゥーンが原作の「学校は楽しい」に注目! (いや、原作の方に注目か?) もう1つ、アニメ「劇場版 コンスニ」は20年以上前に誕生した女児に人気の人形で・・・等々いろいろ調べてたらいつもより記事の仕上がりが2、3日も遅れちゃいました。

         ★★★ NAVERの人気順位(5月11日現在上映中映画) ★★★

     【ネチズンによる順位】
  ※[記者・評論家による順位]とも、評点の後の( )は採点者数。初公開から1年以内の作品が対象。
        「初登場」とは、本ブログでの初登場の意。

①(新) 学校に行く道(韓国)  9.46(50)
②(新) 子供たちは楽しい(韓国)  9.41(115)
③(7) 玆山魚譜(韓国)  9.31(2,247)
④(6) 劇場版「鬼滅の刃」無限列車編(日本)  9.30(11,746)
⑤(8) ソウルフル・ワールド  9.30(9,741)
⑥(9) 少年の君  9.26(1,675)
⑦(新) クルードさんちの新時代  9.22(297)
⑧(5) オクトノーツと火のリング  9.18(34)
⑨(10) ラーヤと龍の王国  9.15(1,672)
⑩(-) 私のお姉さんチョン・ジヒョンと私(韓国)  9.14(175)

 ①②⑦の3作品が新登場です。
 ①「学校に行く道」は韓国のドキュメンタリー。ソウル市江西区に位置するコンジン初等学校は生徒数急減のため閉校となりました。ソウル市教育庁は、2013年末からその跡地に特殊学校[←韓国での用語]の設立を推進しました。特殊学校は当然普通の学校より数が少なく、障碍のある生徒の数からみても少なすぎるとのことです。そのため遠くまで通う児童・生徒が多く、全国の在校生の半分は毎日往復1〜4時間の距離を通学していて、多くの家庭では朝のあわただしさが常態となっているそうです。ところが、そのソジン学校(仮称)の工事は満5年になっても開始できませんでした。地元の人たちの反対のためです。2017年、障碍者児童の保護者たちは学校の設立を許可してほしいと強い決意を持って膝を屈して要求しました。その姿を写した写真(→コチラ)は多くの人々に衝撃を与え、怒りや熱い論争を引き起こしました。このドキュメンタリーは、その写真の背景であるソジン学校の設立過程を描いたものです。この怒りと論争の背後には、「住民たちの反対で学校の建設が遅れている」との説明だけではすまない複雑な状況があります。大都市ソウルの物理的な拡大の過程で、該当地域が経験してきた特殊な歴史があり、自分の政治的野心のためにとんでもない問題を提起して住民間の紛争を大きくしている地域有力政治家の策略まで加わります。本作は、依然として解決の糸口が見えないソジン学校設立をめぐる葛藤をオーソドックスな手法で誠実に取材し記録して、それらの関連性を考察し問題を提起しています。原題は「학교 가는 길」です。
 ②「子供たちは楽しい」は韓国のドラマ。5月5日の子供の日に合わせて公開されましたが、決して子どもたちだけを対象とした作品ではありません。本作は漫画家のホ5パ6[허5파6]が<NAVER Webtoon>で公開したウェブトゥーン(ネット漫画)「子供は楽しい」(下画像)の映画化作品です。2013年7月~14年5月まで連載されたその漫画は簡潔で単純な絵柄で微細な感情の流れを完成高く表現したもので、読者に深い感動を与えて平均9.95という高い評点を獲得し、14年6月に単行本が刊行されました。以下、本作のあらすじ。どこか具合が悪くて病院にいるママ(イ・サンヒ)といつも忙しいパパ(ユン・ギョンホ)、ちょっぴり寂しいけど、新しく転校した学校で出会った友人のおかげで9歳の男の子ダイ(イ・ギョンフン)は楽しく過ごしています。ところがある日、ママとの別れが少しずつ近づいていること感じたダイは、男女4人の友だちと一緒にママに会うため大人たちに知られないようにこっそり旅に出ます。9歳の人生で初めて全財産をはたいて決行した旅行でした。そしてママとの出会いの最後に待っているのは最後の挨拶でした・・・。原題は「아이들은 즐겁다」です。
     
【基本的に彩色ナシの飾り気のない線ながら多くの読者の心に響く漫画だそうで、ぜひ読んでみたい!】

 ⑦「クルードさんちの新時代」(仮)については後述します。

     【記者・評論家による順位】

①(1) ソウルフル・ワールド  8.44(9)
②(3) ノマドランド  8.00(8)
③(4) スパイの妻(日本)  8.00(5)
④(5) ミナリ  7.58(12)
⑤(6) ユダ&ブラック・メシア  7.20(5)
⑥(8) 本当に遠いところ(韓国)  7.14(7)
⑦(9) ファーザー  7.13(8)
⑧(10) 玆山魚譜(韓国)  7.00(9)
⑨(-) レ・ミゼラブル  7.00(6)
⑩(新) クルードさんちの新時代  7.00(2)
⑩(新) いい光、いい空気(韓国)  7.00(2)

 ⑩の2作品が新登場です。
 ⑩「クルードさんちの新時代」(仮)については後述します。
 ⑩「いい光、いい空気」は韓国のドキュメンタリー。タイトルを見てもほとんどの方は意味がわからないのでは? <いい光>とは光州、<いい空気>とはブエノスアイレスのことです。1980年5月18日<いい光>(光州、Good Light)という意味を持った光州の市民が新軍部勢力によって7千余人が無辜の犠牲を被ったその日に、<いい空気>(Buenos Aires、Good Air)という意味を持ったブエノスアイレスの国家権力も3万余人の市民を行方不明者にしたのです。地球の反対側の光州とブエノスアイレスという2つの都市の、同じ名前のように驚くほど似ている虐殺の歴史。いまもその時代を経験し生き残った人々の生々しい声が上がります。夫と子供を守るために街に出た光州の母たちは今日もその日の真相を糾明し、消えている抗争の痕跡を復元せよと闘っています。強制的に連れ去られた息子を探して77年から始まったブエノスアイレスの母たちの5月広場沈黙の行進は、今も同じ気持ちで続けられています。平凡だった彼女らを動かし、悟らせ、闘争させた国家暴力の記憶は今時代を超えて次の世代に伝達され、追慕と哀悼の現在的意味を確認し、私たちが確立して行こうとする未来に向かって、明らかにより良い光とより良い空気になるでしょう。生ある者よ、忘れるなかれ! 5月の光州を、5月のブエノスアイレスを! 原題は「좋은 빛, 좋은 공기」です。 ※ブエノスアイレスのことについては私は知りませんでした。「五月広場の母たち」で検索すると関連記事がヒットします。

 ★★★ 韓国内の映画 週末の興行成績5月2日(金)~5月9日(日) ★★★
       ドリームワークスのアニメシリーズ第2作「クルードさんちの新時代」が1位 日本は今回も劇場公開ナシか?

【全体】
順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・週末観客動員数・・累計観客動員数・・累積収入・・上映館数
1(13)・・クルードさんちの新時代 ・・・・5/05 ・・・・47,980 ・・・・・・・164,678・・・・・・・1,454 ・・・・・・950
2(1)・・雨とあなたの物語(韓国)・・・・・・4/28 ・・・122,261 ・・・・・・・174,742 ・・・・・・2,738 ・・・・・・789
3(2)・・ザ・クーリエ ・・・・・・・・・・・・・・・・4/28 ・・・・45,269 ・・・・・・・228,430・・・・・・・2,098 ・・・・・・703
4(5)・・劇場版「鬼滅の刃」・・・・・・・・・・・・1/27 ・・・・28,007 ・・・・・1,960,091 ・・・・・18,871 ・・・・・・548
       無限列車編(日本)
5(4)・・ミナリ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3/03 ・・・・24,319 ・・・・・1,088,506・・・・・・・9,821 ・・・・・・581
6(3)・・明日の記憶(韓国)・・・・・・・・・・・・4/21 ・・・・20,309 ・・・・・・・299,134・・・・・・・2,689 ・・・・・・499
7(新)・・ウィッシュ・ミー・デッド・・・・・5/05 ・・・・19,956・・・・・・・・・43,016 ・・・・・・・・403 ・・・・・・614
8(新)・・劇場版 コンスニ ・・・・・・・・・・・・5/05 ・・・・15,836・・・・・・・・・50,927 ・・・・・・・・448 ・・・・・・521
       :おもちゃの国 大冒険(韓国)
9(6)・・名探偵コナン 緋色の弾丸(日本)・・4/16 ・・11,719 ・・・・・・・209,229 ・・・・・・1,976 ・・・・・・278
10(再)・・ハリー・ポッターと ・・・2004/7/16・・・・・・6,043・・・・・・1,860,994・・・・・11,728 ・・・・・・156
       アズカバンの囚人
     ※KOFIC(韓国映画振興委員会)による。順位の( )は前週の順位。累積収入の単位は100万ウォン。

 1・7・8位の3作品が新登場です。
 1位「クルードさんちの新時代」(仮)はアメリカのコメディ&冒険アニメ。ドリームワークスの製作です。「クルードさんちのはじめての冒険」(2013)の続編、と言っても日本では劇場公開されなかったため映画ファンの多くはご存知ないのでは? それでも<Filmarks映画>では400人を超える人がコメントしてるんですけどね。皆さんBS日テレで観たりDVDで観たり、「機内日本語吹き替え版で鑑賞」という方もいらっしゃいました。(その際の日本語タイトルを仮題としました。) 韓国では13年に「크루즈 패밀리(クルーズ・ファミリー)」とタイトルで公開され、一般のファンにも批評家にも好評でした。日本の映画サイトでも「おもしろく感動的なのになんで一般公開しないの?」との声がいくつも・・・。原題は「The Croods」で今作は「The Croods: A New Age」。最近つくづく洋画のタイトルはダメだと思うことが多いのですが、これもその部類。直訳すると「クルード家」。内容が皆目わかりません。早い話が、クルードさん一家は原始人の家族なんですね。前作の方は父親の命令でずっと洞窟内で生活していたのが火山の噴火で大変な時代になって外の世界に飛び出して・・・という話。そして今回は、洞窟を離れて新しい居住地を探しに出たクルード一家のその後。紆余曲折の末に見つけた完璧な木の家で進化した人類ベターマン一家と相対します。道具を使用して<家>で安全に暮らしている知能型のベターマン一家と、素手で狩りして、自然と共に生きていく本能型のクルーズ一家は生活方式があまりにも異なっているためことあるごとに衝突します。一方、初めて女性の友だちと出会ったイプとダンは他の家族とは違って友情を築いていきますが、やがて両家族に予期せぬ脅威がだんだんと迫ってきます・・・。私ヌルボ、今作はもちろん前作も観ていませんが、原始時代の話とはいえ登場人物のものの考え方も物語の展開も(当然とはいえ)アメリカっぽさがかなりあるように思われます。今作も日本での一般劇場公開はなさそうな・・・。
 7位「ウィッシュ・ミー・デッド」(仮)はアメリカの犯罪&スリラー。マイクル・コリータによる同名の小説(未訳)の映画化作品です。消防士ハンナ(アンジェリーナ・ジョリー)は、上空からパラシュートで火中に飛び込む航空隊員でしたが、火災現場で3人の子供を救えなかった罪悪感とトラウマのために監視塔の配属となりました。そんな彼女はある日、血にまみれた少年を発見します。彼は巨大犯罪の証拠を持って逃走中の13歳のコナー少年(フィン・リトル)でした。一方、少年を追っていた双子の殺し屋ブラックウェル兄弟(ニコラス・ホルト、エイダン・ギレン)は人々の目をそらすため火事をおこし、火は一瞬のうちにモンタナの荒野に広がっていきます。殺そうとする者と守ろうとする者が炎の中を生死をかけて駆けめぐります・・・。原題は「Those Who Wish Me Dead」で韓国題は「내가 죽기를 바라는 자들(私が死ぬことを望む者たち)」。日本公開は未定ですが、いくつかの関連記事にならって仮題としました。
 8位「劇場版 コンスニ:おもちゃの国 大冒険」は韓国のアニメ。おもちゃ屋の新しいおもちゃを見ると5歳の女の子コンスニの胸はドキドキ! でもママは「ダメよ!」としか言いません。「コンスニさあ、新しいおもちゃばっかりどんどん買ってったら前からあるおもちゃたちが傷つくんじゃないの?」。フン、チェッ・・・。おもちゃの気持ちが傷つくいなんて、嘘だ! 拗ねてるコンスニの前に現れたのは猿ロボットのハッピーです。「こんにちは。ぼくはハッピー! 君の友だちだよ」。ハッピーはコンスニが一番大事人形トトをくれたら新しいおもちゃをあげるって? 家に帰ると嘘のように新しいおもちゃが部屋の中にいっぱい! ところがちょっと待って! トトと一緒にママもパパも、妹のコンコンイも消えた!? まさかハッピーが・・・。消えた家族を見つけるためにコンスニはフクロウのセヨ、友だちのパミ、ソンイと一緒にハッピーがいる神秘的なおもちゃの国に向かいますが・・・。原題は「극장판 콩순이: 장난감나라 대모험」です。※コンスニ(콩순이)、1999年に誕生した玩具ブランドで、現在までに国内だけで534万個以上が販売され、海外でも36万個以上が販売されてきました。2014年からは幼児向けアニメ「엉뚱발랄 콩순이와 친구들(ぶっとびコンスニと仲間たち)」がTV等で放映されています。劇場版アニメは今作が初めて。[右画像は左からソンイ、コンスニ、パミ。下にコンコンイ、上にセヨが小さく描かれている。]

【独立・芸術映画】
順位・・・・題名 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・週末観客動員数・・累計観客動員数・・・累積収入・・上映館数
1(1)・・ミナリ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3/03・・・・・・24,319・・・・・・1,088,506・・・・・・・9,821 ・・・・・・581
2(29)・・学校に行く道(韓国)・・・・・・・・・・・5/05・・・・・・・1,721・・・・・・・・・・・6,671 ・・・・・・・・・53・・・・・・・・70
3(4)・・ファーザー・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4/07・・・・・・・1,375・・・・・・・・・・41,584 ・・・・・・・・355・・・・・・・・44
4(再)・・八月のクリスマス(韓国)・・1998/1/24 ・・・・・・・・999・・・・・・・・・・30,174・・・・・・・・・211 ・・・・・・・52
5(2)・・あの頃、君を追いかけた ・・・2012/8/22 ・・・・・・・・915・・・・・・・・・・58,553・・・・・・・・・415 ・・・・・・・43

 2位「学校に行く道」が新登場ですが、この作品については上述しました。

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