ヌルボ・イルボ    韓国文化の海へ

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韓国内の映画 Daumの人気順位 と 週末の興行成績[11月8日(金)~10日(日)]

2013-11-12 19:11:49 | 韓国内の映画の人気ランク&興行成績
 昨晩シネスイッチ銀座に行って来ました。昨年12月に「拝啓、愛しています」を観に行って以来。今回も木村屋で桜・イチヂク・リンゴの3種のパンを買い込んで行ったのですが、メモによると前回は桜・ゆず・栗。うん、やっぱり軸は桜だな。

 で、観た映画は昨年の東京国際映画祭でグランプリと監督賞の二冠に輝いた「もうひとりの息子」。今年70本目。とてもいい映画でした。「週刊文春」のシネマチャートから今年5月突然降板したおすぎが「デイリースポーツで「今回紹介する作品は私の今年度No.1」と大絶賛していました。私ヌルボ、彼と評価が一致するのはめずらしいです。(他にもNo.1候補は数作品ありますが・・・。)
 是枝裕和監督の「そして父になる」と同じく赤ちゃんの取り違えがモチーフですが、コチラはイスラエル人とパレスチナ人同士ですからねー・・・。しかし、子どもが18歳に成長する過程でユダヤ人かパレスチナ人か双方の親さえ気づかないとは、少なくとも見かけはそんな程度の違いでしかないんですね。(日本人と中国人、韓国人についてもいえるが・・・。) たがいに知ることとなった2人が並んで鏡に向かった時、実はユダヤ人のヤシンが「見ろよ、イサクとイシュマエルだ」と呟く場面があります。アブラハムの息子イサクはユダヤ人の祖、その異母弟のイシュマエルはアラブ人の祖なのだそうです。
 衝撃を受け当惑しつつ、2つの家族は少しずつコミュニケーションを積み重ねていくのですが、真っ先に親しくなったのは小さな女の子同士。やはり大人より子ども、男性より女性の方が「建前」とか「信念」とかからは自由で、順応性に優れているということです。

 いつも愛読しているSARUさんのtwitterによると、8~11日もソウルでたくさん御覧になって来られたようですが、「滞在中に観た映画の何本もが、ほんとうの家族とは、という問いかけが設定に入っているあたり、家族等の近い人間関係を重視する韓国らしいという感じ」とあるのは興味深いところです。ヌルボ思うに、家族のあり方が大きく変わってきたという背景があるのではないでしょうか?

           ★★★ Daumの人気順位(11月12日現在上映中映画) ★★★

【ネチズンによる順位】

①八月のクリスマス(韓国)  9.5(504)
②ニュー・シネマ・パラダイス  9.4(489)
③道の上で(韓国)  9.2(65)
④フェイマス・ファイブ:キリン島の秘密  9.2(25)
⑤レッド・ファミリー(韓国)  9.1(32)
⑥アー・ユー・レディ?(韓国)  9.1(20)
⑦キャプテン・フィリップス  9.0(256)
⑧コアラ(韓国)  8.9(38)
⑨ロデンシア:魔法王国の伝説  8.9(25)
⑩ブルー・ジャスミン  8.9(70)

 ①と⑤が新登場です。
 ①「八月のクリスマス」は、もちろんあの名作の再上映。原題「8월의 크리스마스」。1998年公開だから、もう15年も経つんですね。2001年に芸能界を引退したシム・ウナさん、その後どうしてるのかと思ったら、夫のチ・サンウク氏が2010年のソウル市長選に最保守の自由先進党から出馬した際にニュースに登場したりしてます。(→コチラ参照。)
 ⑤「レッド・ファミリー」は、今年の東京国際映画祭での観客賞受賞作。先々週の記事で紹介したようにイ・ジュヒョン監督の長編デビュー作で、脚本はキム・ギドク監督。韓国に派遣された北朝鮮の4人のスパイが韓国の平凡な家族を装いながら活動する物語です。家族を偽装する「チンダルレ」というそのチーム4人は、夫婦と祖父と女子学生の娘で、妻役がリーダー。その隣家の家庭は夫婦と祖母と男子学生の4人家族。2つの家族が徐々に親しくなるとともに、コメディのような場面もあり、またついにはスパイたちに指令が下されて深刻な事態に・・・。政治的な面だけではなく、家族とは何かということを追求している作品のようです。原題は「붉은 가족(赤い家族)」です。

【専門家による順位】

①蜂蜜  8.5(2)
②ゼロ・グラビティ  8.2(5)
③ヒミズ(日本)  8.0(2)
④恋するリベラーチェ  7.6(3)
⑤ブルー・ジャスミン  7.5(6)
⑥悲しみを聴く石  7.5(2)
⑦ブエノスアイレス恋愛事情  7.3(3)
⑦ベンダ・ビリリ!~もう一つのキンシャサの奇跡  7.3(3)
⑦ミスター・ノーバディ  7.3(3)
⑩25年目の弦楽四重奏  7.2(4)
⑩父の秘密  7.2(4)
⑩グランド・マスター  7.2(4)

 順位、評点とも前回と全く同じです。

         ★★★ 韓国内の映画 週末の興行成績[11月8日(金)~10日(日)] ★★★

         2位「同窓生」もBIGBANGのT.O.Pが演じる北朝鮮工作員の物語。

【全体】

順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・・・・・週末観客動員数・・・・累計観客動員数・・・・累積収入・・・上映館数
1(1)・・マイティ・ソー/ダーク・ワールド・・10/30 ・・・・・・・・・・655,457 ・・・・・・・2,021,820・・・・・・・15,352・・・・・・・・711
2(15)・・同窓生(韓国) ・・・・・・・・・・・・・11/06 ・・・・・・・・・・・・・426,683 ・・・・・・・・・689,600・・・・・・・・4,757・・・・・・・・660
3(2)・・ゼロ・グラビティ ・・・・・・・・・・・・・10/17 ・・・・・・・・・・・・・244,620 ・・・・・・・2,706,976・・・・・・・26,023・・・・・・・・385
4(3)・・共犯(韓国)・・・・・・・・・・・・・・・・・10/24・・・・・・・・・・・・・・167,003 ・・・・・・・1,647,131・・・・・・・11,580・・・・・・・・365
5(新)・・ザ・パージ・・・・・・・・・・・・・・・・・11/06・・・・・・・・・・・・・・・67,934・・・・・・・・・100,534・・・・・・・・・・769・・・・・・・・232
6(4)・・ノー・ブレッシング(韓国)・・・・・・10/30 ・・・・・・・・・・・・・・56,353 ・・・・・・・・・411,454・・・・・・・・2,765・・・・・・・・326
7(8)・・ホワイトゴリラ・・・・・・・・・・・・・・・10/31 ・・・・・・・・・・・・・・19,185 ・・・・・・・・・・53,028・・・・・・・・・・349・・・・・・・・112
8(6)・・願い(韓国)・・・・・・・・・・・・・・・・・・10/02・・・・・・・・・・・・・・16,654・・・・・・・・2,687,513・・・・・・・18,389・・・・・・・・118
9(47)・・セイフ ヘイヴン・・・・・・・・・・・・・11/06・・・・・・・・・・・・・・15,527・・・・・・・・・・・24,391・・・・・・・・・・177・・・・・・・・133
10(新)・・ディスコネクト ・・・・・・・・・・・・・11/07・・・・・・・・・・・・・・10,571・・・・・・・・・・・16,795・・・・・・・・・・115・・・・・・・・133
       ※KOFIC(韓国映画振興委員会)による。順位の( )は前週の順位。累積収入の単位は100万ウォン。

 新登場は2・5・9・10位の4作品です。
 2位「同窓生」は、これまた北朝鮮から送り込まれた<南派工作員>の話。ホントに多いな~! この作品も「隠密に偉大に」同様派遣されたのは青年ミョンフン。演じているのはBIGBANGのT.O.Pことチェ・スンヒョン。「戦火の中へ」に出てましたね。(→過去記事。) 彼も26歳になったのか・・・。で、物語はというと、ミョンフンは南派工作員である父の不祥事(?)のためヨドク収容所(→コチラ参照)に妹ヘインとともに監禁される。そこでミョンフンが「君と君の妹がここから出られる唯一の方法は・・・」と提示されたのが南へ行って工作員になれということ。そして韓国に入り高校生に偽装した彼は、妹と同名の女の子ヘイン(ハン・イェリ)に出会い親しくなってゆく。しかし時とともに彼の任務は危険になって行く・・・。うーむ、ヌルボとしては設定にちょっと疑問もないではないし、それ以前にこうした現在進行形の大きな人権問題・政治問題を人気スターを主演にすえて娯楽映画にしてしまうこと自体に引っかかってしまうんだけどなー・・・。この映画だけのことではないですけど。原題は「동창생」。
 5位「ザ・パージ」はアメリカのSFスリラー。2022年、アメリカは犯罪が横行し刑務所は定員オーバー、政府は犯罪者を一掃するために年に1度夜間12時間だけの特例を定める。その特例とはすべての犯罪を合法にすること。これが「パージ(粛清)」。殺人、暴力、強盗等も全部合法。警察や政府機関も関与せず助けない。このパージによって失業者は消え、犯罪もほとんどない安全な社会に、ってホンマかいな? 発想からしてアメリカっぽいな。で、この12時間は殺気に満ち、街から人影が消え、各家庭は自衛を固めて過ごすほかない。(問題ある家庭の場合はたがいに殺し合ったりして・・・。おー恐!) で物語はというと、ある家族の息子がモニターに助けを求める手負いの男が映し出されるに気づいて鍵をあけ、男を中に入れるのですが、これがその後のハラハラドキドキの始まりになってしまうのです・・・。韓国題は「더 퍼지」。日本でも公開されるようですが、日時等は未定のようです。
 9位「セイフ ヘイヴン」は、めずらしく日本の方が早くて10月26日に公開されました。で、内容等は省略。韓国題は「세이프 헤이븐」です。
 10位「ディスコネクト」、タイトルは「繋がらない」という意味。ネット社会で繋がること、人間関係が繋がらないこと等々がテーマになっている作品です。物語は、3人それぞれのストーリーで展開します。
1人目は音楽オタクで無口で、友だちもいない男子高校生ベン。ある日同級生2人のいじめの対象になってしまいます。2人はFacebookで架空の女の子のアカウントを作り、彼に送信します。「あなたに興味があります。私も音楽が好き。」それに気づかないままチャットにのめりこんでいくベン。ある日1枚の写真を贈るのですが、なんとそれが学校内でバラまかれてしまうのです・・・。2人目は、生まれたばかりの赤ちゃんを亡くした傷みを癒せないままの女性シンディ。夫との関係は崩壊に近い。彼女は同じ悩みを抱える人たちが集まるサイトを訪れ、妻を亡くした1男性とチャットをしながら気持ちを深めていく。ところがある日、主張に出かけた夫から「クレジットカードが使えない」との連絡が・・・。調べてみたら自分の口座も!? 3人目はTV局に勤める女性ジャーナリストのニナ。チャットポルノサイトに出る少年を見つけ、顔も隠し声も変えて接触し、特集を組んで成功するが、それがきっかけでFBIが捜査に・・・って、なぜ!? これはストーリーもテーマもちょっと興味があるぞ。あ、町山智浩氏もいろいろ語ってるぞ。(→コチラ。) ネチズンの評点は8.6か。韓国題は「디스커넥트」。日本公開は2014年春とのことです。

【多様性映画】

順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・・・・週末観客動員数・・・・累計観客動員数・・・・累積収入・・・上映館数
1(16)・・セイフ ヘイヴン・・・・・・・・・・・・・・・・11/06 ・・・・・・・・・・・・15,741 ・・・・・・・・・・・・・・24,391 ・・・・・・・・・177 ・・・・・・・・133
2(新)・・ディスコネクト ・・・・・・・・・・・・・・・・・11/07 ・・・・・・・・・・・・10,571 ・・・・・・・・・・・・・・16,795 ・・・・・・・・・115 ・・・・・・・・133
3(13)・・少女(韓国)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・11/07・・・・・・・・・・・・・9,082・・・・・・・・・・・・・・・13,255 ・・・・・・・・・100 ・・・・・・・・・73
4(14)・・八月のクリスマス(韓国) ・・・・1998/1/24・・・・・・・・・・・・7,126・・・・・・・・・・・・・・・11,133 ・・・・・・76,209・・・・・・・・・・71
5(2)・・ミスター・ノーバディ ・・・・・・・・・・・・・10/24・・・・・・・・・・・・・2,552・・・・・・・・・・・・・・・13,229・・・・・・・・・・・99・・・・・・・・・・23

 1~4位の4作品が新登場です。
1位「セイフ ヘイヴン」、2位「ディスコネクト」、4位「八月のクリスマス」については上述しました。
3位「少女」はミステリー・ロマン。突然の友人の自殺でトラウマを持ったまま田舎の村に引越しすることになったユンス(キム・シフ)は凍りついた湖でスケートをしている神秘的な少女へウォン(キム・ユネ)に偶然出会う。転校初日、教室でへウォンに再び会ったユンスは怪しいうわさがあるにもかかわらずへウォンを好きになる。お互いの孤独感を知って愛し合うようになった彼ら。しかしヘウォンと彼女の父に対するうわさが村に広がったある日、ユンスは信じることができない光景を目撃。そして事件が起きる・・・。原題は「소녀」です。

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