ヌルボ・イルボ    韓国文化の海へ

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今回の修能試験(韓国版センター試験)の日本語の試験はなかなかの良問ぞろいだった、かも・・・・

2013-11-13 20:58:26 | 韓国語あれこれ
 先週の7日(木)、韓国では国家的行事ともいうべき大学修学能力試験が行われました。
 日本のセンター試験に相当する試験ですが、平日に実施し、騒音規制が行われたり警察等の公的組織も動員されたり、またメディアで日本よりも大きく報道される等々、より大々的な出来事といった雰囲気です。

 その<国家的イベント>の具体例は、→コチラの過去記事を参照してください。その後も3回関係記事をアップしました。
 詳細は、昨年11月11日の記事と、そこからのリンク先の記事を見てみてください。

 で、今回もとりあえず第二外国語の中の「日本語」の問題をやってみました。

 全30問全部載せるわけにもいかないので、7問抜粋して紹介します。
※→コチラで他の第二外国語も含めて全問見ることができます。また全科目は→コチラ

 なお、情報感度が鋭く、記事のアップもスピーディで、その内容もおもしろい<福岡発 コリアフリークなBlog>には3問抜粋されていました。その中の第2問など、とくに興味深いところですが、私ヌルボ、重複は避けることにしました。

 まず第7問から。

       

 「対話の内容からわかることは?」という問題。
 選択肢は、
  ①ユナは先生との別れを悲しんだ。  
  ②ユナは今先生と会うことはできない。
  ③お見舞いに行く時、鉢植えをおくりものにするのがよい。
  ④お見舞いに行って、ふつう「さようなら」とは言わない。
  ⑤先生はユナに「さようなら」と別れの言葉を言った。


 正解は「」です。(範囲指定すると見えます。)

 第9問はこたつについて。

      

 これは(日本人には)カンタンですね。正解はもちろん「」です。

 第16問は、おなじみの(?)昔話「笠地蔵」。韓国語では「삿갓 지장보살」か。

      

 「物語の順序にしたがって並び替えよ」という問題。これもすぐわかる! って当然か。正解は「」。

 以上は日本人の生活習慣や文化についての問題。<福岡発 コリアフリークなBlog>にあった第6問の「手を合わせる習慣」や、その他、第8問では「おみくじ」、第17問では「年越しそばと引越しそば」について等、この分野の出題は今回もたくさんありました。
 しかし、病気見舞いの時のタブーなど、日本人でも読んで「そうだったのか~」と思う人も多いのではないでしょうか?

 第18問です。

      

 「地下鉄のドアに貼られている案内文である。案内文が表す意味として最も適当なものは?」という問題。

 答えはもちろん「」ですが、考えてみれば韓国の地下鉄にはこのような注意書きはなかったか?

 今回の問題では、クイズっぽい出題形式が目につきました。例を2つあげます。
まず第3問。

      

 「下線を付した(a)、(b)のひらがな表記に用いられない文字は?」という問題。
 正解は「」ですね。(a)(b)それぞれの表記を直接問えば手っ取り早いのに・・・。

 第26問。

      

 「空欄(a)~(c)に入る文字を<参照>から探し、組み合わせた形で正しいものは?」という問題。
 正解は「」。これも単に(a)~(c)のそれぞれに入る文字をそのまま選ばせれば手っ取り早いのに、なぜこんなややこしい形式にしたのでしょうか?

 私ヌルボ、毎年この修能「日本語」の問題に挑戦(?)していますが、実は3年前満点とれませんでした。(→コチラ参照。) ・・・ということもありましたが、今回はなんとか満点。
 ただ、ちょっと引っかかった問題が1つあました。
 次の第14問です。

     

 正解は「」。もしかしたら、間違える日本人もいるかも・・・とヌルボが思ったのは、「~てもらえますか?」という表現がはたしてこの場合適切かどうかということ。このような補助動詞ではなく、名刺を「もらう」のような動詞の場合、「名刺をもらえますか?」は謙譲語ではないので「名刺をいただけますか?」とするのが正しい敬語の用法なので・・・。(ですよね!?)
 ま、このへんは日本人でもむずかしいところなので、ふつうに使われているということを基準に考えればこの正解で問題ないんですけどね。

 さて、この修能「日本語」の出題内容を整理・分類すると、およそ以下の通りです。
☆韓国人が間違いやすい発音(母音の長短、清音と濁音の区別等)  
☆日本語の独特な読み、発音変化(固有語の数詞の場合等)
☆日本人の生活様式
☆日本の伝統文化
☆実用的な日本語(掲示物、広報等)

 
 そして特筆すべきは、「小説やエッセイ等の読解問題は皆無!」ということ。日本のセンター試験の「韓国語」や、韓国語の検定問題等と比較すると、これは注目に値します。

 ある集まりでプリントアウトしたものを6人の方(全員日本人)に配布してこの問題を全問見ていただいたところ、「よくできている良問!」との評価でした。
 語学の学習は、その言語の基盤となっている社会の文化・伝統・習慣・人々の生活や考え方等々の理解が不可欠で、そうしたことがうかがわれる出題内容だと私ヌルボも思います。韓国の高校の授業で、そこまでいろいろ教えているといことなのですかねー・・・。

 (おっ、この分野でめずらしく(?)韓国にケチをつけていない記事だぞ。)

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3 コメント

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修能第二外国語 (ソウル一市民)
2013-11-13 23:32:37
 面白い記事、ありがとうございました。おかげさまで初めて「修能」の問題を実際に見ることができました。

 私は日本語と仏語をやってみましたが、やはり(?)日本語の問題の方が仏語よりレヴェルが高いですね。韓国語ネイティヴにとって日本語は欧米言語より学びやすい言語でしょうから仕方ないのかも知れませんが、テストだけ見ると仏語を受けた方が楽に点数を取れそうな気がします。もっともその分、他の受験生との差がつきづらいかも知れませんので、善し悪しですが。
 とはいえ仏語でも回答に迷う問題が幾つかあるにはありました(ついでに問題自体に影響はないものの、カミュに関する文章中に間違いも発見しました。100%確信はありませんが、非ネイティヴが外国語の試験問題を作るというのは、余程の能力と自信がないと出来そうにありませんね)。

 中級の私が大変おこがましいのですが、日本語問題の7番の②は「今会えない」というより、「もう会えない」ではないでしょうか。韓日辞典でも「イジェ」は「いま」という説明が多いのですが、どうもニュアンス的には「既に」とか「もはや」といった意味合いで使うことの方が多いような気がしますので。

 話はそれますが、韓日辞典(私が使っているのは小学館の朝鮮語辞典と、語彙数が少ないのが難点ですが白水社のコスモス朝和辞典です)に載っている語義ではどうも実際に使われているニュアンスとは違うようだなあと思う表現が結構多く(実生活における用法の方がもともとの語義からずれてしまっているのかも知れませんが)、いくら辞書を引いても文意がうまく取れないことが時々あります(上の「イジェ」以外にもひとつだけ例をあげれば「ソクサンハダ」)。
 また漢字語もそのまま漢字に直しているだけで、実際には日本語では意味が異なるもの(前にも触れましたが「論難」→日本語ではむしろ「論争」や「議論」?)もあり、しょっちゅう戸惑っております(これもまた韓国語の用法自体が元の意味からずれてしまっているだけかも知れませんが)。
 他の辞典も参照しつつこうした例をあげていくと、記事がひとつ書けるのではないかと思うのですが…。
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イジェ等 (ヌルボ)
2013-11-14 08:41:58
「イジェ」は記事作成中自分でも引っかかった箇所ですが、懸念した通り(?)ご指摘を受けてしまいました。「イジェ」は、「前」は○○だったが「今」は△△である、という意、ということはわかってはいたのですが、それでも辞書の最初に出てくる訳語にひきずられてしまいました。やっぱり「もう会えない」の方が自然ですね。

フランス語の問題もちょっと見てみました。さほどむずかしくはなさそうですが、学生時代以来なのでかなり忘れてしまっています。もちろんカミュ云々もわからず。カミュはこの修能の試験日11月7日がちょうど生誕100年だったのですね。出題予想が当たったフランス語の先生がいたかも。

定評のある2つの韓日辞典中「コスモス朝和辞典」の方は使ったことがないのでコメントしようがありません。今度図書館で比べてみようと思います。
返信する
修能仏語 (ソウル一市民)
2013-11-14 12:38:23
 「イジェ」の件、誠に僭越でした。この言葉は私にとってはいつになってもよく分らない(実感が湧かない)言葉です。

 コスモス朝和辞典は個別の単語だけでなく、その後が活用したり次の語と合わさって濃音化したりする場合の発音もカタカタで書いてあったり、語義もより実践的なものが多かったりして初心者が使うには優れていると思うのですが、語彙数がとにかく少ないのと、漢字語であっても漢字表記がないのが、特に日本語ネイティヴにとっては残念な点です(漢字に捉われると意味を取り違えることも確かにあるとは思うのですが、遙かにメリットの方が大きいと思いますので)。

 カミュの件は、「ノーベル賞」がle prix Nobel(定冠詞)ではなくun prix Nobel(不定冠詞)となっている点です。色々種類のあるノーベル賞のうち文学賞を受賞したという意味で不定冠詞になっているのかも知れないので、決して間違いではないのかも知れませんが、ノーベル賞という賞自体が他にある訳ではなく、カミュも複数の賞を受賞した訳でもないので(そのうちの一つ、ではないので)、le prix Nobel de ○○(ノーベル○○賞)と書くのが自然だと思いますので。細かくてすみません。
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