ヌルボ・イルボ    韓国文化の海へ

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韓国で公開中の映画 <NAVER映画>の人気順位 [4月13日(水)現在] ▶13年間に及んだ整理解雇撤回闘争のドキュメンタリー「ジェチュン兄さん」の主人公はハンストで闘い抜いた58歳のギター技能工

2022-04-18 23:44:30 | 韓国内の映画の人気ランク&興行成績
▶今回の記事中で初登場の作品は韓国のドキュメンタリー「ジェチュン兄さん」だけです。原題は「재춘언니(ジェチュンオンニ)」なので、最初はふつうに<ジェチュン姉さんと訳しましたがNAVER映画の説明文を読んで<姉さん>でなく<兄さん>に直しました。→2015年の記事に書いたように「男同士で「オンニ」と呼ぶ場合」の実例だったわけです。
 このドキュメンタリーは2007~19年の13年間にわたるギター製作会社の整理解雇反対闘争の記録です。この闘争については<レイバーネット>に110本に及ぶ記事(→コチラ以下)があります。そのあらましは→コチラの記事でおおよそわかります。会社の経営状況の問題ではなく、社長の労組忌避。それに朴槿恵時代の裁判所が味方したということ。結局19年の最後の合意書には、使用者側は<謝罪>ではなく<遺憾>表明、<解雇期間補償>ではなく<合意金>と、用語に問題はあるものの、実を取って合意に至ったようです。
 ただ→コチラの記事によると42日間ハンスト闘争を続けていた組合員のイム・ジェチュンさん(本作の主人公)は「合意が気に入らない。(中略) われわれは結局、金に屈服したのではないか」と不満を漏らしています。また私ヌルボが注目したのは、「コルテックの整理解雇に文在寅政府の役割はなかった」という点。「むしろコルテックは政府から<世界一流商品>に選ばれ、1億7千万ウォンの支援金を受け取った」とのことです。えっ、文在寅政府は労働者の味方にもなっていなかったの!? ジェチュンさんの弁をそのまま掲げます。
 「われわれは政治で犠牲になった労働者だ。政府が解決しなければならないことだ。しかし・・・コルテックで政府はどこにも姿がなかった。政府が労働者を無視したんだ。整理解雇法、非正規悪法を作った共に民主党と文在寅政府が弾力勤労制を拡大して労働者を弾圧しているじゃないか。他の見方をすれば、李明博、朴槿恵政権の時よりさらにひどい。だから私たちの闘争はここで終わったが、司法壟断だけは最後まで明らかにしたい。くやしいじゃないか」。
     
【 五体投地デモも行われた。(左。15年1月) 交渉妥結、解雇闘争最終日(19年4月) 】
※右の横断幕の文字は「整理解雇のない世の中のために闘います!」

    ★★★ NAVERの人気順位(4月13日(水)現在上映中映画) ★★★

     【ネチズンによる順位】
 ※[記者・評論家による順位]とも①等の右の( )は前週の順位。評点の後の( )は採点者数。初公開から1年以内の作品が対象。
  「初登場」とは、本ブログでの初登場の意。

①(4) 劇場版 呪術廻戦 0(日本)  9.26(1,375)
②(-) 奇跡(韓国)  9.25(6,100)
③(-) 君へ向かう道(韓国)  9.21(281)
④(6) BanG Dream! Episode of Roselia II:Song I am.(日本)  9.18(40)
⑤(7) コーダ あいのうた  9.14(881)
⑥(8) 幸せの答え合わせ  9.04(97)
⑦(9) スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム  8.82(19,896)
⑧(-) ミシン縫製工だった少女たち(韓国)  8.81(78)
⑨(-) BanG Dream! FILM LIVE 2nd Stage(日本)  8.80(91)
⑩(-) BanG Dream! ぽっぴん’どりーむ!(日本)  8.65(48)

 新登場の作品はありません。日本アニメがとくに目につきます。

     【記者・評論家による順位】

①(1) ドライブ・マイ・カー(日本)  8.44(9)
②(4) アフター・ラヴ  7.67(3)
③(新) ジェチュン兄さん(韓国)  7.60(5)
④(6) ベルファスト  7.50(10)
⑤(7) リコリス・ピザ  7.43(7)
⑥(9) 8月のエバ  7.40(5)
⑦(10) スペンサー ダイアナの決意  7.38(8)
⑧(-) THE BATMAN-ザ・バットマン-  7.30(10)
⑨(-) モガディシュ(韓国)  7.27(11)
⑩(-) 君へ向かう道(韓国)  7.20(5)
 ③「ジェチュン兄さん」が新登場です。「詩を読む時間」等で着実に社会的弱者の声を代弁してきたイ・スジョン監督の新作ドキュメンタリー。2020年<第25回釜山国際映画祭>でビフメセナ賞(ドキュメンタリー競争部門大賞)、同年の<第46回ソウル独立映画祭>で執行委員会特別賞(長編競争部門)を受賞した作品です。
 内容は、2007年ギター製作会社のコルテックが労働者250人を協議もなく整理解雇して以来13年間続いた韓国内最長の闘争として重要な意味を持つコルテック解雇労働者の闘いを収めたものです。ギター工場で30年技能工としてを作ってきた58歳のジェチュンはある日突然解雇の通知を受け取ります。2人の娘の父親である彼は自分の人生を粉砕した社長の謝罪を受けて家族との時間を取り戻すことを願っていました。ところが数年で終わると思った闘争が10年を超え、闘争をやめることも続けることも大変になった頃、ジェチュンは新しいことを敢行します。それは多様な文化連帯を通じて復職闘争をすることでした。人前に出ることを嫌っていた彼ですが、その間演劇の舞台に立って1人デモもすることになります・・・。原題は「재춘언니(ジェチュンオンニ)」ですが、冒頭に記したようにここでは「ジェチュン<兄さん>」と訳しました。

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