ヌルボ・イルボ    韓国文化の海へ

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韓国内の映画 週末の興行成績 [1月10日(金)~1月12日(日)]と、人気順位 ►「フォードvsフェラーリ」はIMAX効果で( ?)単純に★5つ。「パラサイト 半地下の家族」は、話せば長い・・・

2020-01-14 23:49:15 | 韓国内の映画の人気ランク&興行成績
▸この1週間は、1月10日に「パラサイト 半地下の家族」、今日14日に「フォードvsフェラーリ」と、話題作を2本観てきました。先週の「週刊文春」では、5人の評者の付けた★の合計が前者は満点の25個、後者は24個。合わせて49個というのはたぶん前例がないと思います。
 「フォードvsフェラーリ」は、今朝ブルク13のIMAXで観たのがよかった! 大スクリーンでズボンまで震動する迫力はクルマが高速で疾走する場面が多いこの作品にはうってつけでした。物語も登場人物もわかりやすく、私ヌルボも単純に★5つを付けちゃいます。マット・デイモンは、同僚に薦められて「グッド・ウィル・ハンティング 旅立ち」(1998)を観たのが22年前か。当時印象に残ったツラガマエの片鱗は残っているような・・・。データを見ると、その前に観た「戦火の勇気」(1996)にも出てたのか。くだらん作品だったからか、その記憶はナシ。

▸九鬼太郎「"超"格差社会・韓国」(扶桑社新書)によると、日本の会社の場合社長の給与は新入社員の10倍くらいなのに対して、韓国では100倍もの差があるそうですよ。韓ドラ等で見る財閥家族のようすを見るとうなずけます。それはそれとして「パラサイト 半地下の家族」について。多くの評論家等々からほとんど<絶賛のアラシ>といった状態? なるほど、高評価の理由はよくわかります。→コチラのポン・ジュノ監督のインタビュー記事によると、「貧しい家族が一人ずつ裕福な家に侵入するという、物語の前半部分がまず浮かびました。そのあとに何が起きるのか、明確な答えは出ず、曖昧なままアイデアを持ち続けていたんです」とのことですが、たしかに先が読めません。ドタバタ喜劇の目もあればサスペンス等々にもなりうる・・・。まあ、どうなっても格差社会がテーマにはなるのでしょうが・・・。評論家の皆さんの評はそれぞれ興味深く読みました。大場正明さんのコラム(→コチラ)等々。
 ただ、私ヌルボとしては今ひとつ夢中になれなかったのは、睡眠不足だったこともあるかもしれませんが、それだけでもないような気がします。考えるに、その理由の1つは<自分自身の立ち位置>についてちょっと考えてしまったこと。あの大富豪にはもちろん足元にも及びませんが、半地下住まいほどには窮迫していないし、すくなくとも映画館で料金を払って映画を楽しむことができる。つまりこの映画の<高>と<低>のどちら側にも感情移入はできないのです。やはり格差社会を扱ったケン・ローチ監督の「家族を想うとき」の場合は、フランチャイズ制の本社側の不正義が明らかですが、「パラサイト」の場合は違います。むしろ少なくとも直接的な不正義を働いているのは(原題の)「寄生虫」の側だし・・・。
 <NAVER映画>のネチズンの平均評点は8.48、観た人の場合は9.06で、最高とまではいかないものの高いレベルです。現在34,149人もの人がコメントを寄せているので10点満点で1点しかつけていない人も大勢います。その中から、他のネチズンの賛成が多いものを3つだけですが拾ってみました。「貧困と階級を本と映画で学んだ監督のブラックコメディ。」(賛26反8)・「成功した者のお金や貪欲をテーマに本人の努力と苦労は生計維持手段であるピザボックス折りにすら入っていない低劣さがすべて貧困の原因。偽造と操作、フィクションと詐欺のみで生きると水に浸かる半地下を脱出できないだろう」(賛15反3)・「貧富の格差を戯画化した? 笑わえないね。あらゆる陰湿な攻撃と工作でだまして、人の血を吸って暮らす奴らを貧しいという理由で正当化するのか? 中間まで見ればその以上見る価値が感じられない映画」(賛15反5)
 この他に「大富豪のモデルはチョグクか!?」というものもありました(笑)。 

▸今シネマート新宿では<のむコレ3>という企画特集でいろんな作品をちょっとずつ上映しています。その中で「虐待の証明」というのは原題が「ミス・ペク(미쓰백)」という韓国映画で、2018年の<第31回東京国際映画祭>で上映された作品。主演のハン・ジミンがそれまでのイメージを破る演技で青龍映画賞等々の主演女優賞を受賞しました。これはなかなか良い作品だと思います。ハン・ジミンのファン以外にもオススメ、なんですが、今後の上映日は15日(10:00~)と23日(18:40~)の2回だけ、ってか、うーむ・・・。

<第15回大阪アジアン映画祭>は2020年3月6日~15日に開催されます。上映作品等は→公式サイトで。

         ★★★ NAVERの人気順位(1月14日現在上映中映画) ★★★

     【ネチズンによる順位】
       ※[記者・評論家による順位]とも、評点の後の( )は採点者数。初公開から1年以内の作品が対象。
        「初登場」とは、本ブログでの初登場の意。

①(-) モンマルトルのパパ(韓国)  9.76(51)
②(新) 泣くな、トンズ2:シュクラン ババ(韓国)  9.66(86)
③(3) 梨泰院[イテウォン](韓国)  9.57(53)
④(1) フォードvsフェラーリ  9.54(7,169)
⑤(2) 主戦場  9.52(1,333)
⑥(4) ヘロニモ(韓・米)  9.44(229)
⑦(9) 星の庭園(韓国)  9.41(198)
⑧(5) アンカー(韓国)  9.41(17)
⑨(新) タバルガと氷姫  9.39(105)
⑩(7) 2人のローマ教皇  9.37(420)

 ②と⑨の2作品が新登場です。
 ②「泣くな、トンズ2:シュクラン ババ」は、韓国のドキュメンタリー。2010年の「泣くな、トンズ」の10年ぶりの続編。ンズは人の名前ではなく、スーダンの小さな町の名。内乱が長く続く中、貧困や病に苦しむ人々の中に入って、医者として教師として、さらには指揮者や建築家としても献身的に尽くした「トンズの父」こと故イ・テソク神父の48歳の生涯を撮ったドキュメンタリーが前作でした。今作は、そのイ・テソク神父の秘められた物語とのことです。「シュクラン ババ」とは「神よ 感謝します」の意味の現地語で、イ・テソク神父が作曲した曲。この曲が彼が創設したブラスバンドの演奏で村に響き渡ります・・・。原題は「울지마 톤즈 2 : 슈크란 바바」です。
 ⑨「タバルガと氷姫」は、ドイツのアニメ。タバルガはロックミュージシャンのペーター・マファイによって1983年に生み出されたドイツの人気キャラクターの子供ドラゴンで、年は8歳(産まれてから800年)。空を駆け抜け、火を吹き奮闘するお話はミュージカルや アニメ、絵本にもなってドイツ語圏の子供たちに愛され続けています。物語は、グリーンランドに住むタバルガが<真のドラゴンの火>を見つけるためにアイスランドに行き、そこで氷の王女リリーと出会って友だちになります。一方、策略によってアイスランドを支配していた悪党アクトスは最終的に生き残ったドラゴンのタバルガを亡き者にしようとグリーまで手に入れようとしますが、はたしてタバルガとリリーは、グリーンランドとアイスランドを守ることができるでしょうか・・・。原題は「타발루가와 얼음공주」です。

     【記者・評論家による順位】

①(1) アイリッシュマン  9.11(9)
②(2) パラサイト 半地下の家族[寄生虫](韓国)  9.06(16)
③(3) マリッジ・ストーリー  8.50(2)
④(4) ハチドリ(韓国)  8.38(13)
⑤(5) 象は静かに座っている  7.67(3)
⑥(6) フォードvsフェラーリ  7.63(8)
⑦(7) われわれを引き裂くもの(韓国)  7.50(2)
⑧(8) 主戦場  7.33(6)
⑨(9) ボーダー 二つの世界  7.29(7)
⑨(9) 家族を想うとき  7.29(7)

 3週続いて順位、評点とも同じです。

      ★★★ 韓国内の映画 週末の興行成績1月10日(金)~1月12日(日) ★★★
           おなじみの「ドクター・ドリトル」の新作が新登場で1位に

【全体】
順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・週末観客動員数・・累計観客動員数・・累積収入・・上映館数
1(新)・・ドクター・ドリトル ・・・・・・・・・1/08・・・・・・・・・717,764 ・・・・・・・929,646 ・・・・・・・・7,903 ・・・・・1,290
2(1)・・白頭山(韓国)・・・・・・・・・・・・・・・12/19 ・・・・・・・・・265,385 ・・・・・7,996,771 ・・・・・・・63,311 ・・・・・・・881
3(新)・・スター・ウォーズ ・・・・・・・・・・・1/08・・・・・・・・・261,957・・・・・・・381,514 ・・・・・・・・3,572 ・・・・・・・948
       /スカイウォーカーの夜明け
4(2)・・天文:空に問う(韓国) ・・・・・・・12/26 ・・・・・・・・・137,650・・・・・1,886,376 ・・・・・・・15,625・・・・・・・685
5(3)・・ミッドウェー・・・・・・・・・・・・・・・12/31・・・・・・・・・103,018・・・・・・・884,245 ・・・・・・・・7,632・・・・・・・581
6(4)・・始動(韓国)・・・・・・・・・・・・・・・・・・12/18・・・・・・・・・100,712 ・・・・・3,251,381 ・・・・・・・27,550・・・・・・・632
7(5)・・アナと雪の女王2 ・・・・・・・・・・・11/21・・・・・・・・・・43,286 ・・・・13,684,656 ・・・・・・114,295・・・・・・・425
8(6)・・神秘アパート 劇場版・・・・・・・・・12/19・・・・・・・・・・30,985・・・・・・・867,160 ・・・・・・・・6,843・・・・・・・320
       空トッケビ 対 ヨルムンガンド(韓国)
9(7)・・フォードvsフェラーリ・・・・・・・・12/04・・・・・・・・・・17,753 ・・・・・1,323,860 ・・・・・・・11,682 ・・・・・・・129
10(9)・・ナイブズ・アウト・・・・・・・・・・・・12/04・・・・・・・・・・17,458・・・・・・・753,093 ・・・・・・・・6,425 ・・・・・・・116
     ※KOFIC(韓国映画振興委員会)による。順位の( )は前週の順位。累積収入の単位は100万ウォン。

 今回の新登場は1・3位の2作品です。
 1位「ドクター・ドリトル」は、アメリカのファンタジー・アドベンチャー(&コメディ)。H・ロフティングのロングセラー「ドリトル先生」シリーズの最初の映画化作品「ドリトル先生 不思議な旅」は1968年公開。それを「現代的に」リメイクしたのが1998年の「ドクター・ドリトル」でその間30年。そして本作は「「ドリトル先生」シリーズに着想を得た・・・」ということは原作からかなり離れた? 。動物たちの言葉がわかる特別な能力の持ち主ドクター・ドリトル(ロバート・ダウニー・ジュニア)は、愛する人を亡くして世の中と断絶したままの動物たちと友だちになって暮らしています。ところがある日、女王も手のつけようがない難病が発生して王国が危険な状態に陥ると、ドクター・ドリトルの驚くべき能力だけですべてが解決できことを知ります。世界を救うためには、必ず指定された時間内に誰も行ったことのない神秘の島を見つけなければならず、ドリトルは友人たちと一緒に危険な冒険に出るのですが・・・。韓国題は「닥터 두리틀」。日本公開は3月20日です。
 3位「スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け」は、日本ではめずらしく19日も早い12月20日に公開されています。韓国題は「스타워즈: 라이즈 오브 스카이워커」です。

【独立・芸術映画】
順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・週末観客動員数・・累計観客動員数・・累積収入・・・・上映館数
1(37)・・タバルガと氷姫 ・・・・・・・・・・・・・・・1/08・・・・・・・・11,553・・・・・・・・・18,381 ・・・・・・・・・138・・・・・・・・・304
2(14)・・泣くな、トンズ2 ・・・・・・・・・・・・・・・1/09・・・・・・・・・5,883・・・・・・・・・・9,942 ・・・・・・・・・・80・・・・・・・・・232
       :シュクラン ババ(韓国)
3(2)・・パヴァロッティ ・・・・・・・・・・・・・・・・1/01・・・・・・・・・5,602・・・・・・・・・29,143 ・・・・・・・・・232・・・・・・・・・・51
4(3)・・永遠の門 ゴッホの見た未来・・・・・12/26・・・・・・・・・3,107・・・・・・・・・31,160 ・・・・・・・・・254・・・・・・・・・・40
5(1)・・ロイヤルコーギー ・・・・・・・・・・・・・12/24・・・・・・・・・2,358・・・・・・・・182,081 ・・・・・・・・1,394 ・・・・・・・・・37
       レックスの大冒険

 1・2位の「タバルガと氷姫」「泣くな、トンズ2:シュクラン ババ」が新登場ですが、いずれの作品についても上述しました。。
 なお、先週の記事公開の後に4位になった「永遠の門 ゴッホの見た未来」は、日本では昨年11月8日に公開されています。原題は「고흐, 영원의 문에서」です。

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2 コメント

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「パラサイト」 (野薔薇)
2020-01-21 12:45:05
 この映画の上映を楽しみにしていました。先行上映を観る手もありましたが、韓国嫌いの友人を誘うためにも普通料金になるのを待って、先日行きました。広い会場は満席。友人は目をむいて驚いていました。韓国に対して抵抗感のない人たちがこんなにもいるなんて!と思ったようです。若い観客ばかり、それにもびっくりだったようです。自称韓国文化大使のつもりの私は内心にんまりでした。
 でも、でも、この映画、ストーリーはダメ!いくらブラックコメディと言っても、ここまで暴力を許してはダメ!貧困に苦しむ人たちに こんなにも凶暴な暴力を振るわせて、それを観客に楽しめ、面白がれなんてことは、フィクションの世界と言っても、ぜったいにやってはいけないと思いました。
 これがカンヌで大賞を取り、アメリカでも褒め称えられるなんて、アジア映画をなめてない?一段低く見ているから、遅れた国の作品に 高評価を与えてやるという支配者の思想ではないの?
 もっと真面目でまともに貧困を描いているアジアの映画ってあるでしょう?しかも芸術性もあるのが。
 ヌルボさんのご感想はいかがですか?
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「パラサイト」の感想等 (ヌルボ)
2020-01-22 01:40:53
 ポン・ジュノ監督作品はこれまでどれもハズレはなく、中でも「ほえる犬は噛まない」とか「グエムル」は好みですかねー。客観的評価としては「殺人の追憶」。
 で、今回の「パラサイト」もたぶん基本設定、構成等はさすがですが、決定的に疑問を感じたのは格差問題に対する本気度! ケン・ローチ監督の「わたしは、ダニエル・ブレイク」と比べるとその点が決定的に違います。
 暴力や詐欺等々の悪事は貧富を問わずやる人はやってるので、それを描くこと自体はかまわないと思いますが・・・。
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