ヌルボ・イルボ    韓国文化の海へ

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韓国内の映画 週末の興行成績 [1月31日(金)~2月2日(日)]と、人気順位 ►「無垢なる証人」はオススメ。キム・ヒャンギの演技に注目

2020-02-05 10:56:35 | 韓国内の映画の人気ランク&興行成績
▸3日(月)「無垢なる証人」を観てきました。シネマート新宿は久しぶり。ましてスクリーン2(客席数62)ではなくスクリーン1(客席数335)とは何年ぶり!? いやあ、ラッキー(ウレシ涙)。それにしても、平日の午後2時の回で80人以上(?)の入りとは、皆さんどういう人たちなんだろ? さて、10年以上前から韓国映画というだけでは観なくなった私ヌルボ、どういう基準で観ようという気になったかというと、その1はイ・ハン監督作品だから。「ワンドゥギ」「優しい嘘」等、ヒューマンな姿勢に共感を覚えるので。韓国のネチズンの評価も、私ヌルボがとくに好きな「ワンドゥギ」よりも高いし・・・。その2は、本作で《韓国映画評論家協会賞2019》の主演女優賞を受賞したキム・ヒャンギに注目!ということで。あ、チョン・ウソンも《青龍映画賞2019》で主演男優賞を獲得していて、彼をお目当てに観に来た人の方がずっと多かったのでは?と思いますけどね。
 内容については→コチラの記事を参照されたし。その掲載画像を見るとキム・ヒャンギが実年齢(19歳)より何歳か幼く見えますが、チョン・ウソンとの身長差が大きいからねー。しかしこれはキム・ヒャンギ(155cm)が小さいというよりもチョン・ウソン(187cm)の背が高すぎるんですね。
 で、観終わっての感想。専門家筋からは「先が読める」「勧善懲悪」等の欠点も指摘されていますが、その分を差し引いても十分感動できる、後味の良い映画でした。
 それにしても、これまでのキム・ヒャンギの出演作をみるといじめられたり死んじゃったりというカワイソーな役柄がホントに多い。「優しい嘘」ではコ・アソンの妹役なんですが、ある日突然自殺しちゃうし、<慰安婦映画>の「雪道」では貧しい村の少女で、家に突然押し入ってきた日本兵に強制連行されちゃうし・・・。しかし「神と共に-罪と罰」ではトクチュン役が原作漫画のイメージぴったりで《青龍映画賞2018》の助演女優賞も受賞しましたね。 (歴代最年少)
<『青春の十字路』から『パラサイト』まで……『韓国映画100選』が伝える、戦いの映画史>と題した記事を読みました。(→コチラ。)
 昨年12月刊行された「韓国映画100選」(クオン)の、なかなか詳しい紹介記事です。この本については、当ブログの昨12月4日の記事でも「「韓国映画100選」の新版の翻訳本が12月上旬刊行予定とのことです。→コチラ参照。画像を拡大すれば作品名がわかります。あら、「息もできない」(2009)が入ってないゾ!(怒)」と書きました。リンク先にあるように¥ 3,850ですが、それに見合う物理的&内容的重さがズッシリ&ギッシリ。
 さて、この紹介記事を書かれた恒遠聖文さんは1973年生まれとのことですが、20年以上も前に生まれた私ヌルボとしては世代の差を実感しました。それは恒遠さんにとっては韓国映画一般が「シュリ」(2000)以降のイメージで捉えられているということ。つまり「こちらの期待を踏みにじってあっさり人が死んだり、リアルに痛みも伝わる暴力描写」といった「”容赦なき”映画」というイメージ。いやあ、率直に言って私ヌルボのイメージとはずいぶん違います。10年前の記事ですが→<150本の中から選んだ・・・ ★韓国映画ベスト20★>を参照して下さい。
 恒遠さんと見解が一致している点は、「個人的にいえばそのセレクトに「なぜに『息もできない』がない!?」とも思ったりもする」というところ。
 もう1つの見解の一致は、その前後の評価は別として「シュリ」が韓国映画史の画期となった作品と見ていること。本ブログの→<個人的韓国映画史[その1] 約30年を4つの時期に分けて振り返る>という記事の冒頭で記した通りです。この記事の続きは書かないままホッタラカシになってますが、「シュリ」で始まる③の時期の次が<冬ソナブーム>以降の④の時期になります。そして私ヌルボが韓国映画ファンになったのが1987年の民主化以降の、「シバジ」や「風の丘を越えて/西便制」に代表される②の時期です。
 ①~④の時期区分の中でも②と③で韓国映画の性格、イメージは一変しました。そんなわけで、旧世代のファンのヌルボとしては恒遠さんの「特に2000年以降の作品は名作ぞろい」という一文には違和感を覚えてしまいます。ただ、この本を通じて「『シュリ』以前の韓国の映画はよほどのマニア以外には知られていない」という『シュリ』以前の韓国映画」に目を向ける手掛かりとして本書を進めているのはまさに適切。問題はそれらをいかにして観るか?ですけどね。韓国語がそれなりにわかる方なら(我田引水で)→YouTubeで視聴できる韓国映画(1936~2000年)のリストを利用していただければいいのですが・・・。

▸昨(2月4日)の夜は、神保町のチェッコリに映画ライター成川彩さんによるトークを聞きに行きました。映画「パラサイト」関係のウンチクだの、韓国の東国大での留学体験等々いろいろ興味深い話が聞けてよかったです。

▸あ、今日は2019年のベスト・テンが載ってるキネマ旬報2月下旬号の発売日だ! さっそく会に行かなくては・・・。

         ★★★ NAVERの人気順位(2月4日現在上映中映画) ★★★

     【ネチズンによる順位】
       ※[記者・評論家による順位]とも、評点の後の( )は採点者数。初公開から1年以内の作品が対象。
        「初登場」とは、本ブログでの初登場の意。

①(1) 泣くな、トンズ2:シュクラン ババ(韓国)  9.74(128)
②(2) モンマルトルのパパ(韓国)  9.74(94)
③(3) フォードvsフェラーリ  9.52(7,579)
④(5) ヘロニモ(韓・米)  9.46(236)
⑤(-) 遠回りの道(韓国)  9.43(46)
⑥(7) 娘は戦場で生まれた  9.38(106)
⑦(8) 2人のローマ教皇  9.37(519)
⑧(6) スパイズ・イン・ディズガイズ  9.36(1,271)
⑨(新) リトルQ[小Q]  9.33(12)
⑩(-) 家族を想う時  9.31(344)

 ⑨「リトルQ[小Q]」(仮)が新登場です。2002年の刊行以来多くの読者の感動をよんだ「盲導犬クイールの一生」の映画化作品。日本では2003年崔洋一監督の「クイール」が作られましたが、これは2019年の香港版です。原作本のヒットを受けて2002年の内に台湾、韓国、中国でも相次いで翻訳書が出され、さらには東南アジアでも・・・ということで、アジア諸国で3億人の読者を感動させたとのことです。物語の舞台は香港。独特の斑点のあるラブラドール・レトリーバーのリトルQは、ジンさん夫婦の愛と盲導犬訓練士サイモンの細心の訓練を経て、気難しい視覚障碍者の菓子職人リーにマッチングされます。失明により性格が鋭敏になったリーは、何度かリトルQを叩き出しましたが、リトルQは忠実に彼のそばに留まり、彼の大きな力になります。そんなリトルQに支えられたリーは、伴侶犬になったリトルQと一緒にデザートを研究し、世界を周ります。しかし幸せもつかの間、リーは病気を患ってリトルQとの別れに直面することになるのですが・・・。韓国題は「리틀 큐」、日本公開は未定。※盲導犬の韓国語は맹도견[盲導犬]よりも単に안내견[案内犬]という言葉が一般的なようです。

     【記者・評論家による順位】

①(1) 燃え立つ若い女性の肖像  9.22(9)
②(2) アイリッシュマン  9.11(9)
③(3) パラサイト 半地下の家族[寄生虫](韓国)  9.06(16)
④(4) 小さな光(韓国)   8.67(3)
⑤(5) マリッジ・ストーリー  8.50(2)
⑥(6) はちどり(韓国)  8.38(13)
⑦(7) ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド  7.90(10)
⑧(8) ジョーカー  7.64(11)
⑨(9) フォードvsフェラーリ  7.63(8)
⑩(-) われわれを引き裂くもの(韓国)  7.50(2)

 今回新登場の作品はありません。

      ★★★ 韓国内の映画 週末の興行成績1月31日(金)~2月2日(日) ★★★
           「南山の部長たち」、2週連続1位で400万人突破

【全体】
順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・週末観客動員数・・累計観客動員数・・累積収入・・上映館数
1(1)・・南山の部長たち(韓国)・・・・・・・・1/22 ・・・・・・・・・508,054 ・・・・・4,251,622 ・・・・・・・36,998・・・・・・1,384
2(2)・・ヒットマン(韓国)・・・・・・・・・・・・1/22 ・・・・・・・・・337,831 ・・・・・2,136,846 ・・・・・・・18,348・・・・・・1,081
3(4)・・スパイズ・イン・ディズガイズ・・1/22 ・・・・・・・・・53,049・・・・・・・427,464 ・・・・・・・・3,508 ・・・・・・・667
4(3)・・ミスター・チュ:消えたVIP(韓国)・・1/22・・・・・・44,112・・・・・・・587,826 ・・・・・・・・4,948 ・・・・・・・597
5(62)・・インセプション・・・・・・・・2010/7/21・・・・・・・・・・39,328 ・・・・・5,898,428 ・・・・・・・44,004 ・・・・・・・241
6(5)・・傷つけない(韓国) ・・・・・・・・・・・・1/15・・・・・・・・・・22,057 ・・・・・1,217,494 ・・・・・・・10,226 ・・・・・・・470
7(7)・・燃え立つ若い女性の肖像・・・・・・1/16・・・・・・・・・・15,621・・・・・・・111,019・・・・・・・・・・926 ・・・・・・・147
8(17)・・ナイブズ・アウト・・・・・・・・・・・12/04・・・・・・・・・・11,347・・・・・・・795,202 ・・・・・・・・6,748 ・・・・・・・109
       /名探偵と刃の館の秘密
9(7)・・バッドボーイズ フォー・ライフ・・1/15 ・・・・・・11,168・・・・・・・543,095 ・・・・・・・・4,844 ・・・・・・・194
10(6)・・ドクター・ドリトル ・・・・・・・・・1/08・・・・・・・・・・・7,268 ・・・・・1,604,127 ・・・・・・・13,430 ・・・・・・・225
     ※KOFIC(韓国映画振興委員会)による。順位の( )は前週の順位。累積収入の単位は100万ウォン。

 旧正月の連休がらみで大きく入れ替わった前週とは対照的に、ほとんど変動のないランキングになりました。新しいランク入りは5位だけで、それも再上映。8位の「ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密」は再度のランクインです。
 5位「インセプション」は、2010年のクリストファー・ノーラン監督作品の再上映。私ヌルボ、これは観てなかったなー。韓国題は「인셉션」です。

【独立・芸術映画】
順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・週末観客動員数・・累計観客動員数・・累積収入・・・・上映館数
1(1)・・燃え立つ若い女性の肖像 ・・・・・・・・1/16 ・・・・・・・・15,621・・・・・・・・111,019 ・・・・・・・・・926 ・・・・・・・・147
2(10)・・目撃者:目のない子供(韓国)・・・・1/29 ・・・・・・・・・4,263・・・・・・・・・・8,414 ・・・・・・・・・・25 ・・・・・・・・・41
3(5)・・ギャング(韓国)・・・・・・・・・・・・・・・・・1/16 ・・・・・・・・・1,805・・・・・・・・・10,285 ・・・・・・・・・・23 ・・・・・・・・・・3
4(新)・・カザンザキス ・・・・・・・・・・・・・・・・・1/30 ・・・・・・・・・1,063・・・・・・・・・・1,635 ・・・・・・・・・・12 ・・・・・・・・・20
5(3)・・パヴァロッティ ・・・・・・・・・・・・・・・・1/01・・・・・・・・・・・935・・・・・・・・・46,473 ・・・・・・・・・370 ・・・・・・・・・19

 2・4位の2作品が新登場です。
 2位「目撃者:目のない子供」は、韓国・中国合作のホラー&スリラー。両方の目がえぐられて殺害される連続殺人事件が発生し、女性記者のチンドン(ホン・スンア)は取材のために現場に出ます。事件の真相を追っていた彼女は、被害者が皆ある少女の交通事故死事件と関連があることに気づきます。ところが、その後想像もできなかった奇異て怖ろしいことが起こり始めます・・・。原題は「목격자-눈이 없는 아이」です。
 4位「カザンザキス」は、「その男ゾルバ」、「キリストは再び十字架につけられる」等、数多くの名作を著したギリシャの作家(&政治家)ニコス・カザンザキス(1883~1957)の生涯を描いたギリシャ映画。オスマン帝国の支配下にあった生まれ故郷クレタ島から始まった彼の自由と友情と愛を求めた人生の紀行です。韓国題は「카잔자키스」です。こういう作品はぜひ観てみたいものですが、日本での公開は未定のようです。

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