ヌルボ・イルボ    韓国文化の海へ

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韓国内の映画 NAVER映画の人気順位 と 週末の興行成績 [1月25日(金)~1月27日(日)]

2019-01-30 23:54:42 | 韓国内の映画の人気ランク&興行成績
▸先週22日に<毎日映画コンクール>の受賞作品が発表されました。(→コチラ参照。) 私ヌルボがうれしかったのは、「菊とギロチン」が日本映画大賞に次ぐ日本映画優秀賞を受賞したこと。昨年最後の記事→<★2018年 ヌルボの個人的映画ベスト10>で1位にした作品で、長々と推奨の言葉を書き連ねました。スポニチの記事(→コチラ)によると瀬々敬久監督は「大正の空気感は今の日本に近い」と語っています。作品も受賞も、ヌルボとしては「わが意を得たり」でした。
 日本映画大賞受賞は本命の「万引き家族」で、とくに異存はありませんが、なぜヌルボのベスト10には入っていないかというと、「やっぱり万引きはいけないでしょ」という(小悪人ならぬ)<小善人>根性の持ち主なので、その分共感度が低くなってしまいました。

▸上記<毎日映画コンクール>のノミネート作品は→コチラの記事参照。日本映画大賞・日本映画優秀賞候補作の中で観ていなかった「映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ」「きみの鳥はうたえる」が続けて観られるということで、24日初めてアップリンク吉祥寺まで行ってきました。この2作、似ている点が多くて、アタマの中が混乱気味になってます(笑)。たとえば主演女優がどちらも石橋静河。(「きみの鳥は~」で助演女優賞候補になってるけど)。また、どちらもわかりやすい物語ではない、つまり観た人の評価は高くはない。<ぴあ映画生活>の平均はどちらも69点。そしてどちらも、主な登場人物は若者なのに楽しい場面や微笑ましいは皆無だったような・・・。とくに「夜空はいつでも~」の方は主人公の美香(石橋静河)だけでなく、作品全体に漂う閉塞感が「ハンパない」。この<閉塞感>という言葉と映画のタイトルで検索したら多数ヒット。やっぱり同じ感想を持った人が多いのですね。また<閉塞感>を抱きつつ日々暮らしている若い人たちが多いってことか・・・。
 ※石橋静河は石橋凌と原田美枝子の娘だってね。趣里は水谷豊と伊藤蘭の娘だし、新人賞(男優)候補の寛一郎は佐藤浩市の息子(三國連太郎の孫)だし、どの業界も2世・3世のなんと多いことか・・・。
 「映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ」の原作というのが最果(サイハテ)タヒの詩集。2006年に現代詩手帖賞、08年には21歳で中原中也賞を受賞した詩人で、第3詩集「死んでしまう系のぼくらに」(2014)や第4詩集「夜空はいつでも最高密度の青色だ」(16)は若い女性中心に約3万部も売れているとか。・・・ということで図書館で借りて読んでみました。下右は「夜空はいつでも~」の冒頭の詩です。で、ヌルボとしては、「わからなくても何かありそうで、つまらなくはない、・・・どころか刺激的、かもしれない」といった感じ。あ、近所の横浜美術館で2月23日から約1ヵ月最果タヒの初の個展(新作のインスタレーションの発表等)がありますヨ。(→コチラ参照。)
    
 ※「きみの鳥は~」の最後の方で佐知子(石橋静河)がカラオケで「オリビアを聴きながら」を歌う場面があって、懐かしいなーと思ってエンドクレジット見たら杏里じゃなくて、「え、ハナレグミ??」。いやあ、80年代も遠い昔になってしまってるんですね。

▸タラコ(含む明太子)とかスジコとかが大好きなので、27日は「めんたいぴりり」を観に行きました。これは<ぴあ映画生活>では90点という高評価。しかしTVドラマっぽい展開&演出で、なんだかなー、といった感じ。それと釜山のシーンを入れてほしかったなー。あと明太子についてのウンチクとか。

▸27日の午後明治大学で観た「貪欲の帝国」はサムスン半導体の労災を扱ったドキュメンタリー。2014年の旧作ですが、初めて観ました。脳腫瘍、うつ病、白血病等を発症して苦しみながらも、韓国経済の支柱ともいえる巨大企業サムスンを相手に闘い続ける人々を撮った映画で、一般の映画館ではこの種の作品の上映の機会がほとんどないだけに、観に行ってよかったです。
 今年に入って観た映画はもう11本で、これまで最多かも。しかし例年のベスト10クラスに入る作品はなかった、かも・・・。一番印象に残っているのは「貪欲の帝国」と、「映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ」かな?

         ★★★ NAVERの人気順位(1月29日現在上映中映画) ★★★

     【ネチズンによる順位】
       ※[記者・評論家による順位]とも、評点の後の( )は採点者数。初公開から1年以内の作品が対象。

①(1) グリーンブック  9.65(1,915)
②(-) カペナウム  9.56(395)
③(2) 大人になれば(韓国)  9.58(120)
④(3) バブル・ファミリー(韓国)  9.53(53)
⑤(4) アンダードッグ(韓国)  9.47(1,146)
⑥(5) ボヘミアン・ラプソディ  9.45(37,857)
⑦(6) ポーランドに行った子供たち(韓国)  9.41(492)
⑧(-) LOVE YOURSELF IN SEOUL(韓国)  9.28(754)
⑨(9) イツァーク  9.28(120)
⑩(10) スパイダーマン:スパイダーバース  9.26(4,375)

 ②「カペナウム」(仮)は、昨年のカンヌ国際映画祭で審査員賞を受賞したレバノン・フランス合作のドラマ。監督はレバノンの女性監督ナディーン・ラバキーです。タイトルの「カペナウム」は新約聖書に登場する町で、ガリラヤ湖の北西岸の、現在のイスラエル北部にありました。といっても、物語はまさに現代の中東の貧困・移民問題をテーマにした作品です。レバノンの民窟で暮らすゼイン(ゼイン・アルラフィーア)は12歳。ある日妹が知り合いの男と強制的に結婚させられてしまい、それに反発して家を飛び出します。ところが、仕事を探そうとしてもIDを持っていないため職に就くことができません。結局彼はある町で知り合ったエチオピア移民の女性の家で彼女の赤ん坊を世話しながら暮らすことになります。その後ゼインは再び家に戻りますが、彼を取り巻く環境も、彼の生活も過酷な状況が続きます・・・。主役のゼインを演じたゼイン・アルラフィーア君もシリア難民の13歳。主人公のゼイン少年と重なる部分もあったとか。しかし、特別に演技のトレーニングを受けたことがないばかりか、自分の名前すら書くことができなかった彼が6ヵ月の撮影をまっとうし、カンヌのステージに立ってスタンディングオベーションを受けたことは、彼自身のみならず、カンヌや近年(とくに今年)のアカデミー賞等の映画祭の流れの上でもひとつの画期かもしれません。韓国題は「가버나움」。日本公開は未定のようです。やらないワケはないと思いますが・・・。
 ⑧「LOVE YOURSELF IN SEOUL」は、あの防弾少年団(BTS)のワールドツアーの公演記録。アメリカ、ヨーロッパ、アジア等の20都市42回公演の規模で開催されるツアーですが、その皮切りの昨年8月のソウル公演を収めたものです。原題は「러브 유어셀프 인 서울」です。

     【記者・評論家による順位】

①(-) 顔たち、ところどころ  8.86(7)
②(1) ROMA/ローマ  8.80(5)
③(-) フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法  8.50(10)
④(2) スパイダーマン:スパイダーバース  8.25(8)
⑤(-) シェイプ・オブ・ウォーター  8.18(11)
⑥(-) 万引き家族(日本)  8.13(8)
⑦(3) 希望の灯り  7.75(4)
⑧(6) アリー/ スター誕生  7.43(7)
⑨(-) 顔たち(韓国)  7.40(5)
⑩(-) カペナウム  7.33(9)

 ⑨と⑩の2作品が今回の初登場です。
 ⑨「顔たち」は、韓国のドラマ。高校の事務職員キソン(パク・ジョンファン)は、ある日ふとサッカー部の生徒ジンス(ユン・ジョンソク)の存在が気になり始めます。キソンの元カノのヘジン(キム・セビョク)は会社を辞めて、母親が営む小さな食堂のリモデリングのために奔走しています。一方、ただ一人自由気ままに宅配便の運転をしているヒョンス(ペク・スジャン)も含めて、各自の世界の中だけで生きているような彼らの運命がわずかながら絡み始めます・・・。原題は「얼굴들」です。
 ⑩「カペナウム」(仮)については上述しました。

      ★★★ 韓国内の映画 週末の興行成績1月25日(金)~1月27日(日) ★★★

         1位「極限職業」以下、4位まで韓国映画が独占

【全体】
順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・週末観客動員数・・累計観客動員数・・・累積収入・・・上映館数
1(38)・・極限職業(韓国)・・・・・・・・・・・・・・1/23 ・・・・・・・・2,414,075・・・・・・3,138,478・・・・・・・27,522・・・・・・・1,977
2(1)・・マルモイ[言葉集め](韓国) ・・・・・1/09・・・・・・・・・・187,793・・・・・・2,657,880・・・・・・・22,353 ・・・・・・・・826
3(新)・・LOVE YOURSELF IN SEOUL(韓国)・・・1/26 ・・・180,975・・・・・・・180,975・・・・・・・・1,717 ・・・・・・・・223
4(2)・・わたしの中のあいつ(韓国)・・・・・1/09・・・・・・・・・・・87,519・・・・・・1,871,125・・・・・・・16,060・・・・・・・・627
5(4)・・シュガー・ラッシュ:オンライン・・1/03・・・・・・・・・・70,016・・・・・・1,735,231・・・・・・・13,748・・・・・・・・497
6(3)・・ミスター・ガラス ・・・・・・・・・・・・・1/17・・・・・・・・・・・33,876 ・・・・・・・452,460・・・・・・・・4,152・・・・・・・・426
7(5)・・アンダードッグ(韓国)・・・・・・・・・1/16 ・・・・・・・・・・・24,190 ・・・・・・・176,777 ・・・・・・・1,365・・・・・・・・293
8(36)・・いじわるじいさん大追跡・・・・・・1/23・・・・・・・・・・・21,528 ・・・・・・・・30,571・・・・・・・・・226・・・・・・・・344
9(11)・・グリーンブック・・・・・・・・・・・・・・1/09・・・・・・・・・・・17,619 ・・・・・・・210,656 ・・・・・・・1,848・・・・・・・・137
10(6)・・劇場版恐竜メッカ―ド・・・・・・・・1/10・・・・・・・・・・・17,466 ・・・・・・・406,014 ・・・・・・・3,111・・・・・・・・197
       :タイニーソアの島(韓国)
     ※KOFIC(韓国映画振興委員会)による。順位の( )は前週の順位。累積収入の単位は100万ウォン。

 1~4位がすべて韓国作品、ベスト10内だと6作品で、韓国映画大盛況のようにも見えますが、数字的には「極限職業」の一人勝ちといった感じです。
 新登場は1・3・8位の3作品です。
 1位「極限職業」は、韓国のコメディ。昼夜を分かたず走り回って働いても実績はどん底の麻薬取締り班。もう後がない立場に追い込まれたコ班長(リュ・スンニョン)は、国際犯罪組織の国内麻薬密輸状況を捕捉するためチャン刑事(イ・ハニ)、マ刑事(チン・ソンギュ)、ヨンホ(イ・ドンフィ)、ジェフン(コンミョン)の4人の班員と共に潜伏調査に乗り出します。そして犯罪組織のアジトの24時間監視を始めるのですが、その方法というのがアジト前にチキン店を偽装創業するというもの。ところが、絶対味覚(?)の持ち主マ刑事の隠れた才能もあって店は意外にも大繁盛でウワサになるほどの人気店に。捜査が後回しになるほどチキン商売に忙しくなってしまった麻薬取締り班でしたが、ある日絶好の機会がおとずれます・・・。原題は「극한직업」です。
 3位「LOVE YOURSELF IN SEOUL」は、上述のように防弾少年団の公演記録です。
 8位「いじわるじいさん大追跡」(仮)は、イギリス・メキシコ合作の3Dアニメ。韓国題は「몬스터 파크(モンスター・パーク)」ですが、原題は「Here Comes the Grump」。この英題は1969~70年アメリカのTVで放映されていたアニメ(2D)のタイトルで、日本でも73年~日本テレビ系列で放映されていたとか。その邦題が「いじわる~」だったので、仮題にしておきました。人々の足が途絶えて閉鎖の危機に直面した遊園地。テリーがおばあさんとの思い出を振り返りながらジェットコースターを直して乗ると、神秘的な魔法の王国モンスターパークに瞬間移動してしまいます。しかし、そこはおばあさんが聞かせてくれた童話の中の世界とは違って、あらかじめ人の感情を操ることができる魔法使いクランプの憂鬱魔法にかかって、笑顔と幸せをすっかり奪われたモンスターパークでした。テリーは美人だがおてんばな夜明け姫と一緒に、憂鬱症に陥った王国を救おうとしますが、はたしてテリーは皆に笑顔と幸せを取り戻し、再び自分の世界に戻ってすることができるか・・・。

【多様性映画】
順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・週末観客動員数・・累計観客動員数・・累積収入・・・・上映館数
1(10)・・いじわるじいさん大追跡・・・・・・・・1/23 ・・・・・・・・・21,528・・・・・・・・・30,571 ・・・・・・・・・・226 ・・・・・・・・344
2(20)・・カペナウム・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1/24 ・・・・・・・・・15,038・・・・・・・・・21,869 ・・・・・・・・・・186 ・・・・・・・・108
3(1)・・日日是好日(日本) ・・・・・・・・・・・・・・・1/17 ・・・・・・・・・・6,217・・・・・・・・・11,025 ・・・・・・・・・・178 ・・・・・・・・・52
4(2)・・人生フルーツ(日本) ・・・・・・・・・・・・12/06 ・・・・・・・・・・2,056・・・・・・・・・59,373 ・・・・・・・・・・455 ・・・・・・・・・19
5(新)・・課題曲/Imposed Piece・・・・・・・・・・1/24 ・・・・・・・・・・1,027・・・・・・・・・・1,549 ・・・・・・・・・・・12 ・・・・・・・・・20

 1・2・5位の3作品が新登場です。
 1位「いじわるじいさん大追跡」(仮)と、2位「カペナウム」(仮)については上述しました。
 5位「課題曲/Imposed Piece」(仮)は、ベルギー・ドイツ合作のドキュメンタリー。韓国題は「파이널리스트(ファイナリスト)」なので、陸上短距離の話かなと思ったら、オンガクコンクールでした。毎年ブリュッセルで開かれるエリザベート王妃国際音楽コンクールは世界屈指のコンクールです。ヴァイオリン、ピアノ、作曲、声楽の4部門のローテーションになっていて、今年はヴァイオリンの年。本作は、前回のヴァイオリンの年(2015年)に、62人の中から本選に進んだ12人の若者たちが外部から「隔離」された寄宿舎で一週間の共同生活を送り、本選に備える様子を追ったドキュメンタリーです。英題の「Imposed Piece(課題曲)」の楽譜を寄宿舎に入る時渡された8人は、超絶技巧を要するその新曲を一週間で仕上げて演奏しなければなりません。この年の本選出場者には日本人では毛利文香がいて第6位となりました。そして第1位は韓国人のイム・ジヨンさんでした。(→インタビュー記事.韓国語) 韓国からは彼女も含めて3人が本選に出場したということで、このドキュメンタリーも注目度が高いということでしょう。なお、優勝者には賞金2万5千ユーロ(約3千万円)の他、日本音楽財団の後援でストラディバリウス(ハギンズ)を4年間リースで使用できる特典が与えられるとのことです。

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