ヌルボ・イルボ    韓国文化の海へ

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韓国内の映画の興行成績 [10月14日(金)~10月16日(日)]と人気順位 ►エキストラに7万人動員の超大作をお一人様鑑賞(笑) ►男性ムーダン3人の神懸かり対決コメディ「大巫歌」は観てみたい!

2022-10-23 16:10:17 | 韓国内の映画の人気ランク&興行成績
※日付要確認! 1週前の週末のデータです!

▶10月23日に<お一人様観客>を体験しました。前回は昨年11月。(→コチラ参照。) そして今回は、なんと<製作費は270億円超><世界興収1130億円のメガヒット><撮影チームは7千人超、エキストラに7万人動員>といった超大作ですからねー。それを自分1人観客席の中央で専有するとは空前絶後の体験と言ってもいいでしょう。・・・と、ここまで読んだ皆さんのほとんどはこの作品名からして見当がつかないのでは? 「トップガン マーヴェリック」のはずはないしなー・・・と首を傾げたりして。
  で、正解は「1950 鋼の第7中隊」。エキストラに動員されたのは人民解放軍、ということは中国映画です。1950年に勃発した朝鮮戦争(中国では抗米援朝戦争)で半島南端に追い詰められた韓国側が国連軍の仁川上陸から反撃に転じ、逆に北朝鮮軍を中朝国境近くまで攻め入った状況下で参戦した中国人民義勇軍(中国では中国人民志願軍と言うのか)の戦いを描いた作品。とくに<長津湖戦闘>に重点がおかれています。以下細部は全部省略。
 私ヌルボ、この映画を観た意図は韓国・朝鮮関係なので。ところが約3時間の長尺なのに韓国語・朝鮮語は皆無。長津湖をはじめ戦局を説明するような地図もナシ。要は当然のように国のために進んで志願した兵士たちの壮烈な戦いを最新の視覚効果・音響効果等で感覚的に観客をコーフンさせる、といった感じ。
 しかし、→コチラの記事冒頭で私ヌルボ、「トップガン マーヴェリック」に対して無謀にも(笑)<視野狭窄>と批判しましたが、「1950 鋼の第7中隊」と比べてみると共通点が多いことに気がつきます。自国を客観的に見る視点がなく、ほとんど自国が自身のアイデンティティの根幹になっていること、家族や仲間内の情には篤いが敵兵との殺し合いに煩悶することはまずない。そして映画の中にも現在の国策(or政治的意図)が込められていても気が付かず、そのまま受け入れたりする等々。作中で朝鮮戦争の海戦直後アメリカが台湾に艦隊を派遣したことを<不当な介入>と非難しているのはまさに現実の反映ですね。

▶今回の記事で注目の韓国映画は「大巫歌[テムガ]」です。タイトルを見ても意味も読み方も「何だ<これは????」という感じですよね。
 韓国ではシャーマニズムの伝統が今も受け継がれています。ムーダン(巫堂)とよばれるシャーマンがクッ(굿)という祭儀で神懸りになり神のお告げを伝えます。<巫歌>(무가.ムガ)>とは、ムーダンがクッの中で詠ずる歌のことです。
 ムーダンは、映画化もされている金東里の小説「巫女図」に書かれているように(現在は)女性が多いのですが、男性もいます。そういえば「哭声」(2016)でファン・ジョンミンがムーダンを演じていましたね。そしてこの「大巫歌」でも3人の男性ムーダンが登場します。
 私ヌルボ、これまで何度か映画や動画等でムーダンの神懸りの場面を見ましたが、何せ神が降臨するわけなので心の中で「これは迷信にすぎない」と思っている見物人がいたとしても神妙にせざるを得ない独特な雰囲気が漂っているわけです。ところがこの「大巫歌」はなんと金銭がらみのコメディとは意表を突かれました。
 また「チラシ:危険な噂」(2014)以来ファンになった悪役スターのパク・ソンウンが主役をどう演じているのかも個人的には興味深いところ。しかし、こういう映画が日本で公開される可能性があるのかなー・・・。

    ★★★ NAVERの人気順位(10月19日(水)現在上映中映画) ★★★
      ※[記者・評論家による順位]とも①等の右の( )は前週の順位。評点の後の( )は採点者数。
       初公開から1年以内の作品が対象。「初登場」とは本ブログでの初登場。

     【ネチズンによる順位】 

①(1) トップガン マーヴェリック  9.76(42,180)
②(3) 名探偵コナン ハロウィンの花嫁(日本)  9.46(1,683)
③(-) SING/シング:ネクストステージ  9.39(2,819)
④(4) 映画クレヨンしんちゃん 謎メキ! 花の天カス学園(日本)  9.39(983)
⑤(6) 詩人の歌、チョン・テチュン(韓国)  9.35(150)
⑥(新) 劇場版「きのう何食べた?」(日本)  9.27(11)
⑦(8) 人生は美しい(韓国)  9.25(6,104)
⑧(新) 間の音(韓国)  9.24(332)
⑨(9) 劇場版 呪術廻戦 0(日本)  9.23(1,678)
⑩(-) 「劇場版 キジのかあさん:都市へ行ったひなキジ家族」  9.20(177)

 ⑥と⑧の2作品がが新登場です。
 ⑥「劇場版「きのう何食べた?」」は、私ヌルボ、原作漫画もTVドラマも観てないのでなんともコメントしようがありません。韓国でも漫画本は(19巻まで)刊行され、TVドラマも放映されています。韓国題は「어제 뭐 먹었어? – 극장판」です。
 ⑧「間の音」は韓国のスリラー。カン! カン! カン! 401号室と上の階の501号室の間の騒音がまた始まりました。作家志望ですが、実際は無職と変わらない女性ウンス(リュ・ファヨン)は公募展の素材を探していましたが、悩みの種は上の部屋から聞こえる騒音。疑問を抱いた彼女はその部屋の住人を観察し始めます。また上の階の男ホギョン(パク・ジヌ)もウンスの存在に気づき始め、突然ウンスは衝撃的な真実に直面することになりますが…。今日も始まった騒音。私が想像していただけのその話ははたして現実なのでしょうか? 原題は「사잇소리」です。

     【記者・評論家による順位】 

①(1) 別れる決心(韓国)  8.71(14)
②(2) トップガン マーヴェリック  8.44(9)
③(-) ファースト・カウ  8.40(10)
④(3) 2次送還(韓国)  8.20(5)
⑤(4) エブリシング・エブリホエア・オール・アット・ワンス  8.20(5)
⑥(5) 私は最悪。  8.00(9)
⑦(6) アフター・ヤン  7.80(5)
⑧(7) #AfterMeToo(韓国)  7.67(3)
⑨(9) DUNE/デューン 砂の惑星  7.56(9)
⑩(10) シン・エヴァンゲリオン劇場版(日本)  7.50(2)

 新登場の作品はありません。

   ★★★ 韓国内の映画 週末の興行成績10月14日(金)~10月16日(日) ★★★

           韓国ミュージカル   「人生は美しい」が1位に浮上
                       
【全体】
順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・週末観客動員数・・累計観客動員数・・累積収入・・上映館数
1(2)・・人生は美しい(韓国) ・・・・・9/28 ・・・・・124,155・・・・・・・829,737・・・・・・・7,848・・・・・935
2(1)・・共助2・・・・・・・・・・・・・・・・・・9/07 ・・・・・112,873・・・・・6,772,992・・・・・・69,247・・・・・887
       :インターナショナル(韓国)
3(4)・・映画クレヨンしんちゃん・・9/28 ・・・・・・81,342 ・・・・・・555,008・・・・・・・5,569 ・・・・・724
       謎メキ! 花の天カス学園(日本)
4(新)・・エスター:最初の殺人・・10/12 ・・・・・・70,345・・・・・・・100,046 ・・・・・・1,030 ・・・・・707
5(3)・・正直な候補2(韓国)・・・・・・9/28・・・・・・・58,658・・・・・・・835,420 ・・・・・・7,917 ・・・・・735
6(39)・・エブリシング・エブリホエア・・10/12・・37,478 ・・・・・・・49,881 ・・・・・・・・536 ・・・・・620
       ・オール・アット・ワンス
7(新)・・大巫歌(韓国)・・・・・・・・・・・10/12 ・・・・・・26,348・・・・・・・・43,628 ・・・・・・・・409 ・・・・・581
8(新)・・チケット・トゥ・パラダイス・・10/12 ・・・25,074・・・・・・・・42,365 ・・・・・・・・406 ・・・・・581
9(6)・・劇場版 ハローカーボット・・・9/28・・・・・・13,245・・・・・・・213,585 ・・・・・・2,006 ・・・・・344
       :おかしな魔術団の秘密(韓国)
10(5)・・スマイル・・・・・・・・・・・・・・・10/06 ・・・・・・12,473・・・・・・・・83,017 ・・・・・・・・899 ・・・・・178
     ※KOFIC(韓国映画振興委員会)による。順位の( )は前週の順位。累積収入の単位は100万ウォン。

 4・6・7・8位の4作品が新登場です。
 4位「エスター 最初の殺人」(仮) はアメリカのホラー。ある家族に養子として引き取られた美少女エスターが巻き起こす惨劇を描いてカルト的人気を集めた「エスター」(2009)の前日譚。途方もない秘密を隠したサイコパスがエストニアの精神病棟を脱出し、裕福な家族の行方不明の娘エスターを詐称してアメリカにやって来ます。再会の喜びもしばし、どこか見知らぬ娘の正体に気づいたお母さんは家族を守るためにエスターと対決しますが・・・。
 なお今作でも主人公の“少女”エスターを再びイザベル・ファーマン(現在25歳)が演じていて話題になってるそうです。
 前作の原題は「Orphan」だけ。本作は「Orphan:First Kill」ですが、邦題で「エスター」としたのは「Orphan」(孤児.みなしご)に対する偏見助長を避けたのでしょうね。本作の韓国題は「오펀: 천사의 탄생(孤児: 天使の誕生)」と<First Kill>の部分を変えています。「エスター 最初の殺人」は私ヌルボによる課題ですが、どうですかねー。日本公開は未定のようですけど・・・。
 6位「エブリシング・エブリホエア・オール・アット・ワンス」については前回の記事でかなり詳しく紹介したので説明は省略します。
 7位「大巫歌[テムガ]」は韓国のドラマ&コメディ。<第25回釜山国際映画祭(2020)>で「大巫歌:恨と興」というタイトルでで初めて公開された作品です。
 韓国のシャーマニズムの伝統、ムーダン(巫堂)等については冒頭で記しました。以下、本作の内容を略述します。一言で言えば、3人の男性ムーダンのクッ(祭儀)の場での対決です。
 かつてはスターだったが唯我独尊、神の祭儀の代わりに酒の祭儀で通す40代の魔性のムーダン、マ・ソンジュン(パク・ソンウン)。百発百中のシャーマンを夢見て易術界を平定した30代のシャーマン、チョンダム道令[若様](ヤン・ヒョンミン)。人生の逆転を狙い、ムーダン学院の10週間完成コースで学んで速成ムーダンとなった20代の就職浪人シンナム(リュ・ギョンス)。
 実は彼ら3人に加えて重要人物がもう1人。この祭儀の場を取り仕切っているのが極悪非道なヤクザのソン・イクス(チョン・ギョンホ)です。彼は3人を利用して50億ウォンを手に入れようと企んでいるのです。そして3人のムーダンたちもそれぞれ一生一度とも言うべきこの儲け仕事のためにクッ特有のリズムに身を委ねて神懸かりになり対決するのですが・・・。原題は「대무가」です。
 8位「チケット・トゥ・パラダイス」はアメリカのロマンティックコメディ。元夫婦のデヴィッド(ジョージ・クルーニー)とジョージア(ジュリア・ロバーツ)は20年前に離婚して以降、必要な時に会うことはあってもいつもいがみ合うばかり。しかしそんな2人の愛娘リリー(ケイトリン・デバー)がロースクールを卒業して旅行でバリ島へ向かうと、その数日後に「現地の彼と結婚する」という連絡が入ります。弁護士になる夢を捨てて会ったばかりの男と結婚するとは!と驚き焦ったデヴィッドとジョージアは現地へ飛び、リリーの結婚阻止のために協力することになりますが・・・。韓国題は「티켓 투 파라다이스」。日本公開は11月3日です。

【独立・芸術映画】
順位 ・・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・週末観客動員数・・累計観客動員数・・累積収入・・上映館数
1(新)・・大巫歌(韓国) ・・・・・・・・・・・・・・10/12・・・・・・26,348・・・・・・・43,628 ・・・・・・・・409 ・・・・・・・581
2(1)・・ゴーゴーダイノ 劇場版 ・・・・・・10/05・・・・・・・6,594・・・・・・・・48,396・・・・・・・・445 ・・・・・・・246
       :氷恐竜の秘密(韓国)
3(4)・・#AfterMeToo(韓国)・・・・・・・・・10/06・・・・・・・1,799 ・・・・・・・・・5,647・・・・・・・・・43 ・・・・・・・・17
4(3)・・‘推し’が犯罪者に!?(韓国)・・・・・・9/28・・・・・・・・・667・・・・・・・・11,186・・・・・・・・・96・・・・・・・・・33
5(28)・・ジュヨン(韓国) ・・・・・・・・・・・・・9/29・・・・・・・・・474・・・・・・・・・1,346 ・・・・・・・・・・8・・・・・・・・・・1

 1・5位の2作品が新登場ですが、1位「大巫歌」については上述しました。
 5位「ジュヨン」はドラマ&ミステリー。
 ジュヒョク(キム・デゴン)は高校時代は陸上選手、現在は工場で働いています。妹のジュヨン(ミン・ドヒ)は音大に通う学生です。2人は小さな軽食店を営む両親と平凡ですが幸せな日々を過ごしていました。ところがある日、殺人事件が起こったというニュースとともにジュヨンが行方不明になります。ジュヒョクは消えたジュヨンの痕跡を追いますが、ジュヒョクも、また両親もよく知っていると思い込んでいたジュヨンのイメージが合いません。そんな妹の真実がやがて明らかになります・・・。人間関係に関する根本的な質問を観客に投げる作品です。原題は「주연」です。※関係ないけどジュヨンのハングル表記も読みも主演と同じ。「主演はジュヨン」も「ジュヨンは主演」ももちろん同じ。紛らわしいなー。

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