ヌルボ・イルボ    韓国文化の海へ

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韓国内の映画 Daumの人気順位 と 週末の興行成績[3月22日(金)~24日(日)]

2013-03-25 23:56:40 | 韓国内の映画の人気ランク&興行成績
 先週の記事では何も書きませんでしたが、先々週は数日間大阪アジアン映画祭を観に行きました。そんなにガムシャラに観まくったというほどでもなく、計7作品を鑑賞。うち韓国映画が「1999,面会~サンシャイン・ボーイズ」「裏話 監督が狂いました」「離ればなれの」の3作。中で「1999,面会」は物語もさることながら、江原道鉄原の通称・白骨部隊と所属兵士のようす等を垣間見ることができた点はよかったです。軍人百貨店なんて店があるんですね。
         
  【こんなでかい「白骨像」も造られています。映画で初めて知りました。もっと愛嬌があった方がいいのに・・・。】
 で、私ヌルボが観た7本の中でとくにおもしろかったのが「アンニョン! 君の名は」というタイ映画。なりゆきでソウルに来てしまったタイの青年が、たまたまヨン様ファンで旅行中のタイ人女性に出会って、一緒に旅をするうちに親しくなったのだが・・・、というラブ・コメディなんですが、タイからも韓流ファンの女性たちがツアーで韓国にけっこう来てるんですねー。冬ソナの撮影地の南怡島(ナミソム)に行って記念写真を撮ったり等々。で、タイの人たちは雪を見たことがない人が大半だから、それもお目当てのようで・・・。その他もろもろ、他のアジアの国々から見た韓国というのが少しわかって、そこがおもしろかったです。
 また台湾映画「GF*BF」や「ポーとミーのチャチャ」も、日韓の高校と比較してみるといろいろおもしろいです。後者の女性監督とプロデューサーは歴史ある高雄高級中学の同窓だとのことですが、インタビューの場で「昔日本が造ってくれた伝統校」と言っていました。韓国では、日本人が創立に参画した学校でも校史ではそのことが書かれていなかったりしているそうですが(淑明女子大とか)、その高雄高級中学の場合は→コチラの記事によると、昨年(2012年)は創立90周年の記念式典があって、日本統治時代に同校を卒業した日本人卒業生も40人ほど駆けつけて日本語の校歌を熱唱したとか。(台湾との間にも、4月公開の「セデック・バレ」で描いてるように、霧社事件のようなこともあったことは日本人は銘記すべきでしょうが・・・。)

 最近観た映画では、カミュの作品に基づく「最初の人間」。植民地アルジェリアにおけるフランス人として生まれた彼の立場から、植民地朝鮮で生まれ育った日本人との違いについて考えさせられました。
 韓国で日本より先に公開され、評価の高かった「偽らざる者」は、無実の主人公を追いつめていくものの怖さという点で、「それでもボクはやってない」よりもずっと怖い映画でした。「それでも~」の方が「いつあなたも犯罪者にされるかもしれない」と警告しているのに対して、コチラは「あなたも無実の人を犯罪者にする(orしている)かもしれない」と告げているのです。

          ★★★ Daumの人気順位(3月26日現在上映中映画) ★★★

【ネチズンによる順位】

①チスル – 終わらない歳月 2  9.4(22)
②パパロッティ(韓国)  9.4(1190)
③シュガーマン 奇跡に愛された男  9.2(125)
④かぞくのくに(日本)  9.1(63)
⑤Love Letter(日本)  9.3(572)
⑥偽りなき者  9.1(152)
⑦7番房の贈り物  9.0(3613)
⑧ポロロ 劇場版 スーパーそり大冒険(韓国)  8.9(66)
⑨ウォーム・ボディーズ  8.8(1173)
⑩おおかみこどもの雨と雪(日本)  8.8(429)

 新登場はありません。①と⑨はこのランクは初ですが、興行成績の方で既出。
 ①「チスル – 終わらない歳月 2」は、独立系としては思いのほか多くの観客動員で、評点でも実数は少ないものの、高いポイントを示しています。3月5日の記事で書いたことをほぼそのまま再度掲げておきます。この作品は、1948年の済州島四・三事件当時、西帰浦(ソギポ)の洞窟に身を隠した住民の実話に基づいた白黒映画で、言葉も実際に現地で話されている済州島方言が用いられているとか。3月1日に済州で公開されましたが、3月21日からソウル等全国公開が始まりました。四・三事件事件は島民の5人に1人にあたる6万人が政府軍・警察等によって虐殺された事件で、私ヌルボは金石範の大作「火山島」で初めて詳しく知りました。タイトルの「チスル(지슬)」は済州島の方言でジャガイモのこと。住民たちが山に避難する時に温かいジャガイモを分けあって食べたことから。原題は「지슬 - 끝나지 않은 세월2」です。

【専門家による順位】

①チスル – 終わらない歳月 2  9.0(5)
②愛、アムール  8.7(7)
③おおかみこどもの雨と雪(日本)  8.1(6)
④ベルリン(韓国)  8.0(6)
⑤雪男(韓国)  8.0(1)
⑥ジャンゴ 繋がれざる者 7.8(7)
⑦リンカーン  7.7(8)
⑧シュガーマン 奇跡に愛された男  7.7(4)
⑨ストーカー  7.6(6)
⑩偽らざる者  7.6(6)

 専門家諸氏の評価も、めずらしくネチズンと一致して、ここでも①位は「チスル – 終わらない歳月 2」です。
 新登場は⑥「ジャンゴ 繋がれざる者」だけです。日本では3月1日公開。「週刊文春」3月7日号のシネマチャートでは、品田雄吉氏が★4つだったが他の4人は全員★5つの満点。これは年間トップ
 レベルでないの! さっそく観に行かなくては・・・、と思いかけたものの、映画館でポスター等を見て、ちょっと気分が乗らなくて入らずじまい。ま、そのうちに・・・。韓国題は「장고:분노의 추적자(ジャンゴ:憤怒の追跡者)」です。


         ★★★ 韓国内の映画 週末の興行成績[3月22日(金)~24日(日)] ★★★

         韓国映画「恋愛の温度」が1位。リアルな恋愛の姿を描く

【全体】

順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・・・・・・週末観客動員数・・・・累計観客動員数・・・・累積収入・・・上映館数
1(21)・・恋愛の温度(韓国)・・・・・・・・・・・3/21・・・・・・・・・・・・・・・・538,871・・・・・・・・・・644,556 ・・・・・・・・4,858・・・・・・・563
2(2)・・パパロッティ(韓国)・・・・・・・・・・・・3/14・・・・・・・・・・・・・・・・329,607・・・・・・・・・・971,244 ・・・・・・・・6,808・・・・・・・428
3(1)・・ウォーム・ボディーズ ・・・・・・・・・・3/14・・・・・・・・・・・・・・・・262,124・・・・・・・・・・924,931 ・・・・・・・・6,656・・・・・・・359
4(3)・・新世界(韓国)・・・・・・・・・・・・・・・・・2/21・・・・・・・・・・・・・・・・202,708・・・・・・・・4,314,737 ・・・・・・・32,198・・・・・・・353
5(新)・・ジャンゴ 繋がれざる者・・・・・・・・3/21・・・・・・・・・・・・・・・・119,741 ・・・・・・・・・143,993 ・・・・・・・・1,062・・・・・・・340
6(4)・・7番房の贈り物(韓国)・・・・・・・・・・1/23・・・・・・・・・・・・・・・・・93,582・・・・・・・12,653,322 ・・・・・・・90,388・・・・・・・231
7(新)・・アンナ・カレーニナ ・・・・・・・・・・・・3/21・・・・・・・・・・・・・・・・・48,739・・・・・・・・・・・61,697・・・・・・・・・・432・・・・・・・246
8(新)・・ONE PIECE FILM Z(日本)・・・・・・3/21・・・・・・・・・・・・・・・・・47,261・・・・・・・・・・・51,510・・・・・・・・・・346・・・・・・・265
9(新)・・ドルフィン ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3/21・・・・・・・・・・・・・・・・・23,956・・・・・・・・・・・25,273・・・・・・・・・・168・・・・・・・197
       夢見るダニエルの勇敢な冒険
10(7)・・リンカーン・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3/14・・・・・・・・・・・・・・・・・21,624・・・・・・・・・・119,324・・・・・・・・・・833・・・・・・・117
       ※KOFIC(韓国映画振興委員会)による。順位の( )は前週の順位。累積収入の単位は100万ウォン。

 今回の新登場は1・5・7・8・9位の5作品です。
 1位は韓国映画「恋愛の温度」。同僚の目を避けて秘密の社内恋愛を続けてきたドンヒ(イ・ミンギ)とヨン(キム・ミニ)は3年目にして別れることになります。ところが、別れようと言った後、すべてが新しく始まります。互いを罵倒しあうこともある一方で、すぐにお互いが恋しくて涙を流したり、面と向かっては「いい人に会って幸せになってね」とクールに言いつつも、家ではこっそり相手のSNSを探ったり等々。ノ・ドク監督は、偶然の出会いから始まる美しいだけのロマンスを果敢に拒否して、現実的な恋愛を映画で描きたかったと語っているそうです。職場恋愛ねー、事例としてはたしかにいろいろありそうな話かもねー・・・。原題は「연애의 온도」です。
 5位は先述の通り。
 7位「アンナ・カレーニナ」、ご存知トルストイの名作をイギリスで映画化。日本でも3月29日(金)公開です。韓国題は「안나 카레니나」。
 8位「ONE PIECE FILM Z」は、日本では昨年暮れ(12月)公開だから、あまり間隔が空いてないですね。韓国題は「원피스 극장판 Z」です。
 9位「ドルフィン: 夢見るダニエルの勇敢な冒険」は、ペルー・ドイツ・イタリア合作のアニメ。世界で1500万部売れたという「꿈꾸는 돌고래(夢見るイルカ)」が原作とのことですが心当たりはなく、調べてみたらセルジオ・バンバーレンの「The Dolphin」という本で、「ドルフィン 海は、夢をかなえるところ」という書名で日本語訳も出ているとか・・・。この映画では、好奇心旺盛なイルカの少年ダニエルが主人公。毎日同じ退屈な日々が嫌になった彼はついに夢を見つけ、未知の世界に冒険に出ます。それぞれに個性的な海の世界の仲間とも知り合いますが、あちこちで剣呑な悪人たちにも会って、息もつけないほどの危険に陥る・・・というお話だそうです。韓国題は「돌핀:꿈꾸는 다니엘의 용감한 모험」。そのまま訳して仮題をつけておきました。日本語サイトにこのアニメの情報は見つかりませんでした。

【多様性映画】

順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・・・・・・週末観客動員数・・・・累計観客動員数・・・・累積収入・・・上映館数
1(3)・・チスル - 終わらない歳月 2(韓国)・・3/21 ・・・・・・・・・・・14,436・・・・・・・・・・・・・・・33,395・・・・・・・・・240・・・・・・・・・・78
2(2)・・誰の娘でもないヘウォン(韓国)・・・2/28 ・・・・・・・・・・・・・・1,092・・・・・・・・・・・・・・・31,963・・・・・・・・・245・・・・・・・・・・17
3(5)・・愛、アムール ・・・・・・・・・・・・・・・・・12/19・・・・・・・・・・・・・・・・972 ・・・・・・・・・・・・・・75,460 ・・・・・・・・・578 ・・・・・・・・・・4
4(1)・・光にふれる・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3/14 ・・・・・・・・・・・・・・・・264 ・・・・・・・・・・・・・・14,560 ・・・・・・・・・・98・・・・・・・・・・・5
5(4)・・かぞくのくに(日本) ・・・・・・・・・・・・・・3/07 ・・・・・・・・・・・・・・・228 ・・・・・・・・・・・・・・・4,472 ・・・・・・・・・・32・・・・・・・・・・・8

 今回の新登場はありません。