ヌルボ・イルボ    韓国文化の海へ

①韓国文学②韓国漫画③韓国のメディア観察④韓国語いろいろ⑤韓国映画⑥韓国の歴史・社会⑦韓国・朝鮮関係の本⑧韓国旅行の記録

[韓国語]世界陸上大邱大会、ボルト選手は「不正出発」で失格!

2011-08-31 23:53:28 | 韓国語あれこれ
 韓国KBS1TVで世界陸上大邱大会の中継を見ていて、韓国語の勉強になったことがいくつかあります。
※韓国のテレビ&ラジオ視聴については→コチラ参照。

 実況を聴いてすぐわかったのは、日本では「一斉にスタートしました!」と言うところで「出発(출발.チュルバル)」という言葉を使っていること。
 日韓共通の単語でも、意味が全然違うものも多くあって要注意ですが、このように使われ方やニュアンスが微妙に違うのもむずかしいですね。前者と違って辞書にも載ってない(小学館「朝鮮語辞典」等)し・・・。

 この関連で、スタートライン「出発線(출발선)」といいます。「スタートラインに立つ」はふつうに「출발선에 서다」です。

 あ、今回の世界陸上で早々から大きく伝えられたのがボルト選手のフライング韓国のニュースを見ると「부정 출발(不正出発)」となっています。何かすごく悪いことをやったようなニュアンスですね。
 また同じ男子100mの予選では、昨年6月に10秒23を記録して31年ぶりに韓国記録を更新したキム・グギョン選手も予選で8人中トップでゴールしたと思ったら「不正出発」で失格してしまったこともあって、韓国各紙の報道や世論を見ると、その是非をめぐる議論が起こっているようです。
 「朝鮮日報」のコラム「萬物相」でもこのテーマを取り上げていました。
 →韓国語(見出しは「不正出発」) →日本語(見出しは「フライング」)

 さて、最初に戻って、陸上競技大会の中継ですから、当然各種目名がいろいろ出てきます。
 基本は「달리기(走り)」、「뛰기(跳び)」、「던지기(投げ)」という固有語を用いること。

 古狸案先生こと今井久美雄先生の「暮らしの韓国語単語8800」はさすがです。<陸上競技>の項目が立てられていて、20の単語が載っています。
 その中で、上の3つの固有語を用いているものを列挙します。

走り高跳び높이뛰기
走り幅跳び멀리뛰기
棒高跳び장대높이 뛰기
100m走백 미터(100m)달리기
ハンマー投げ해머 던지기
砲丸投げ포환 던지기
槍投げ창 던지기
円盤投げ원반 던지기

 ハンマーはヘモ(햄머)かと思っていたら、ヘモ(해머)の方がはるかに一般的なんですね。
 走り幅跳びについては「넓이뛰기ともいう」とありますが、「ハンギョレ」の記事によると、日本語の幅跳びの直訳なので、これを避けて멀리뛰기にしたとのことです。また北朝鮮では너비뛰기というそうです。
 「넓이」広さの意で、「너비」の方が。したがって意味上は너비뛰기が正しく、上記「ハンギョレ」の記事では넓이뛰기という語が残っている「標準国語大辞典」は手直しが必要、と書いています。
※北朝鮮の中央人民放送局のサイトでは「너비/넓이」と題した記事
でこの点を指摘していますが、どうもこのコチラの記事のパクリみたいだぞ。

 また同じ「ハンギョレ」の記事では、「バトン」のハングル表記についても言及しています。インターネットでの件数の多さでは‘바톤바통배턴’の順ですが、바톤は正しい外国語表記ではなく、フランス語による바통と英語の배턴はどちらも正しくて、また「계주봉(継走棒)を用いるのもいいだろう」としています。(私ヌルボの推定では、바톤は日本語由来だと思います。)

 この他にも、注意してテレビを視聴すると、いろんなことがありそうですが、今回はここまで。