私の幽霊との出会いは、5歳くらいの頃です。
高知で生まれ育ち、五歳から住んだ福井は、高知の降り注ぐ太陽のイメージとは打って変わり、四方が山に囲まれた盆地の雪深い町は、幼い私のアイデンティティをぐらぐらと揺らすには、ちょうどよい条件であったと思います。
二階建ての大きな家でした。
雪が積もれば、一階は埋まってしまうので、一階の天井の高さは関東の家から比べると高くできています。
二階の南側の部屋が私の部屋でした。
大きな家ではあってもトイレは一階の隅に一つだけ。
ひとりで寝る習慣をつけられ、妹は母と寝ていたので、夜中、トイレに起きても親は当てにできません。
二階の部屋からトイレまでは、あの頃の私にとって非常に長い道のりでした。
暗い階段を降りると玄関ホールです。そこからまわれ右をして、台所に行きます。その先がトイレ。
幽霊が出るんじゃないかと、怖くて怖くて・・・
トイレに行くまでの恐怖感は、耐えがたいものでした。
ある日、和裁用の大きな裁ちばさみが目に留まりました。
「そうか!、夜、歩くんだったら、これだ」
幽霊撃退用の道具を見つけたわけです。
毎晩、裁ちばさみを枕元に置き、トイレに起きた夜中、私は大きな裁ちばさみを「バチバチ」と動かしながら暗闇に挑みました
そんなわけで、恐怖感は多少軽減されたのです。
今から考えると、子供が裁ちばさみを持つなんて、なんと恐ろしい・・・
大人になると、幽霊よりもそちらのほうに恐怖を感じます。。。
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高知で生まれ育ち、五歳から住んだ福井は、高知の降り注ぐ太陽のイメージとは打って変わり、四方が山に囲まれた盆地の雪深い町は、幼い私のアイデンティティをぐらぐらと揺らすには、ちょうどよい条件であったと思います。
二階建ての大きな家でした。
雪が積もれば、一階は埋まってしまうので、一階の天井の高さは関東の家から比べると高くできています。
二階の南側の部屋が私の部屋でした。
大きな家ではあってもトイレは一階の隅に一つだけ。
ひとりで寝る習慣をつけられ、妹は母と寝ていたので、夜中、トイレに起きても親は当てにできません。
二階の部屋からトイレまでは、あの頃の私にとって非常に長い道のりでした。
暗い階段を降りると玄関ホールです。そこからまわれ右をして、台所に行きます。その先がトイレ。
幽霊が出るんじゃないかと、怖くて怖くて・・・
トイレに行くまでの恐怖感は、耐えがたいものでした。
ある日、和裁用の大きな裁ちばさみが目に留まりました。
「そうか!、夜、歩くんだったら、これだ」
幽霊撃退用の道具を見つけたわけです。
毎晩、裁ちばさみを枕元に置き、トイレに起きた夜中、私は大きな裁ちばさみを「バチバチ」と動かしながら暗闇に挑みました
そんなわけで、恐怖感は多少軽減されたのです。
今から考えると、子供が裁ちばさみを持つなんて、なんと恐ろしい・・・
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