五感で観る

「生き甲斐の心理学」教育普及活動中。五感を通して観えてくるものを書き綴っています。

紙の伝承

2015年03月24日 | 第2章 五感と体感
江戸時代までは藩のお抱え漉き師がおり、錬金術師のようにそのノウハウは秘密とされ、藩を跨いで伝承されるというよりも藩の中で独特の漉き方をガラパゴス化していったのが「日本の紙」の特徴であるようです。

昨日のSNS河北新聞に白石和紙の伝承予算が設置され、和紙の技術者を育てることに本腰を入れる記事が載っていました。
数少ない伝承者のお一人が、「昔は農家の冬の内職であっあため、それだけで食べていこうとするのは無理な事。かといって、手間がかかり忍耐が必要なので、その覚悟が無い限り人を育ててゆくことは難しい」というような内容が書かれてありました。

日本の「道」と付く「茶道」「華道」「香道」、「柔道」「剣道」等は、日々の精進が必要であり、師範を頂くには、時間もお金もかかります。ましてや家元や師匠を超えるなんて思うものなら論外です。

お金がかかることを楯に一部の人々にしか許されない垣根があることも日本の伝統文化が現在まで引き継がれてきたことの意味と理由の一つかもしれません。

表装文化にしても同じ事が云えそうです。
ニーズが少なくなり同時に職人が少なくなるなか、伝承していくための人材は年々高齢化しています。
若い人が「これで食べていこう!」と思っても生業として成り立たないのが現実なのです。

勿論、若い人の技術習得も大事です。
でも、生業にならないものを啓蒙して継承しようとすることは、継承させたい人の狭さを感じます。

人生100年と云える時代、
仕事をリタイアしても元気に動く事の出来る年月は、一人の人間が成人するくらいまであることも可能な昨今です。
還暦を過ぎ、自分の生き甲斐は何か?と思索する時期に、新たに何かを始めようとする人が大勢いらっしゃいます。そのような人々は、このような食っていけない日本の伝統文化の技術習得者対処として貴重な人材なのです。

宮城県白石市の和紙は、東大寺二月堂で行われる修二会の行で着る「紙子」の着物になります。
練行衆の僧侶が二週間、この紙子の白い着物を纏い続けると、日に日にしっとりと柔らかくなってゆくのです。
その紙子の着物を拝見すると修二会の行の深さがしみじみと伝わってくるのです。

少人数の若者を育てるにしても、新聞に掲載された予算は決して多額なものではありません。
伝承のための教育は、漉き手の力だけではどうにもならないはずです。
色々な教育機関とのコラボも大事でしょう。美術系の大学や専門学校や教育学部でも単位化して教育という種を撒くことで、紙漉きが衝撃的な出合いとなる若者も居るかもしれません。

藩や地域で抱えられた和紙は、武将や祐筆(ゆうひつ)が命をかけて戦った武器であるとも云えるのです。

歴史を知ってこそ見えてくる技術だからこそ、伝承する意味があるのです。

日本の和紙は、漉き師が人間国宝になっても存続が危ぶまれているものが多いと推察します。

代々に引き継がれてゆかれますよう。祈りをこめて。


「江戸表具を愛する会」展覧会のお知らせ
銀座プロムナードギャラリー(地下鉄銀座駅~東銀座間の地下道・銀座三越の下)にて「江戸表具を愛する会」作品展開催中。
3月22日から4月3日まで。地下道ですので、通行者が歩きながら見るショーウィンドーです。銀座に行かれたついでに覗いてみてください。日本文化の一つである「表装」を一堂に見る事ができます。

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