銀杏の裸木に。
葉を落とし尽くした樹木、きよい冬の陽をあびて樹皮の乾燥さえうつくしく光る。
青空は、わたしの視野のなか、枯れた枝々に狭められながら、いっそう深くひろく感じられる。
樹々を享ける空間の果てしなさ。
あたかも、冬の樹々のひくい息づきとともに、空もゆるやかにひろがってゆくような気がする。
伝え聞きだけれど、銀杏は、恐竜の時代からそのまま変わらずに生き延びた稀な種だとか。
そう想うと、何か、不思議な生き物のたたまれた翼の骨格めいて見えてきたり。
近所の銀杏の木。
こんもりとした白い裸木が、ふいにおおきな翼をひらいて天空へゆさゆさ飛び立ったら……なんて幻想よぎる一瞬。