雪香の星月夜日記

山口雪香の歌がたり、ささやき、ひとりごと

うつし世はなべて夢なれあでやかな紅葉登りて御仏に見(まみ)ゆ

2021-11-13 22:11:00 | Weblog

 甲州市日川、天目山栖雲寺の宝物風入れを拝見した。

 




 甲府盆地の底から延々とつづら折れを走り、渓谷をいくつも渡りながら到着した山間は、大気が澄み渡り、晩秋の空に銀杏楓の紅葉が鮮やか。午前10時過ぎに着いたのだが、かなりの混雑で駐車の隙間さがしに難儀をした。

 鎌倉、館山と、海岸沿いに次々と長く住んだので、標高の高い山国の紅葉は目に染みる。海と山とは、大気の湿度が違う。

 










 元より渡来した多宗教混合の珍しい仏画、十字架捧持マニ像と聞いて訪ねたのだが、奇抜さよりも、予想以上に端麗で美しかった。気品のある尊顔で、見つめて飽きない。

 




 撮影不可なので、上の2枚はお寺のホームページからシェアさせていただいた。ご覧の通り、お顔は秘密。
 本当に魅力的だった。

 この他にも県指定の文化財の仏像彫刻の展示があり、そちらも良かった。何様式なのかわからないが、どの彫刻も優美でリアリティがあり、デフォルメのない静謐な表情は、ルネサンス全盛期のイコンのようだ。もちろん西洋のディナミスムではなく、和風スタティックに内向している。
 ことに本尊、宝冠釈迦如来坐像は典雅で美しい。横顔の、高い鼻梁とまろやかで華奢な顎までの流れが、息を呑むほど洗練されている。少女めいて可憐でさえある。
平安末期の院派仏師院廣・院尊作。

 私は聖母マリア、イコンを描いているので、今日は大変感動した。キリスト教も仏教も、瞑想し、救済を与え、また解脱を求める精神を包む姿は等しい。

 














 
 厭離穢土は、聖書の詩篇にもしばしば記される信徒たちの吐息だ。

 欣求浄土。墨染めの法衣をまとうた僧侶たちが行き交うお寺では、紅葉の彩りが一段と美しく映える。

 感謝。






コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« ジュエリーボックスからダイ... | トップ | 冬の海ひた耳に添ふ満ち潮に... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。