市の星月夜日記

織江市の短歌、エッセイ

時を経てなほいろ褪せぬ薔薇のまま眠らすまじく壁に掛けたり

2021-10-18 20:35:00 | Weblog

 思い出多い小振袖、ついに引退。洗い張りも染め直しもできないと。

 さまざまな場面でこれを纏うた。

 三味線一人語り「雪女」。
 ドレスコードのある音楽会。
 いくつかのお祝いの席。

 正絹きものは百年の寿命というなら、これはまだ六十半ば。まさか、と。

 






 
 また衣装ケースにしまいこんでも、ただ朽ちるままに放置してするのは悲しくて、タピストリに。母の家を母の二十歳の振袖で飾るのだから。

 着物の妖怪は、小袖の手、というらしい。古い着物の精霊。

 ながく飾って楽しむからね、と私は小振袖につぶやいた。ごめんね、もう着てあげられない。

 感謝。


 

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