高松出張を終え、普通なら飛行機で東京へ戻るのだが、同日にそのまま名古屋に出張するという分刻みで乗り換えの過酷な日程だった。汗を流しながら急いでかけつけたJR高松駅からは一時間に2本のマリンライナーを利用すると瀬戸大橋を渡って約1時間かけて岡山に到着する。乗った方ならわかると思うが、瀬戸大橋からの車窓の眺めは瀬戸内海に点々とする小島がみえて絶景。岡山からは新幹線に乗り換えとなる。
昼時の岡山駅で駅弁を買うことになり、選んだのが『桃太郎の祭りずし』950円也。瀬戸内の新鮮な海の幸、山の幸をふんだんに使った郷土色あふれる「ちらしずし」なのだが、とにかくこれだけ一通りの具材がそろっているのがウレシイ。
(桃の形をした容器に綺麗な盛り付けとまつりずしの由来)
パッケージにはいっていた祭りずし(バラ寿司)の誕生秘話が興味深い。要約すると
『江戸時代初期に備前岡山藩主、池田光政は神輿・だんじり等を用いた派手な祭礼を禁じ、元日・祭礼・祝宴以外での飲酒を禁じた。このため備前は米どころであるにも関わらず銘酒が育たなかった。また現在岡山名物の料理「バラ寿司」(祭り寿司)の誕生にも光政の倹約令が絡んでいると言われる。』
つまり祭りのシーズンの庶民の楽しみ方が豪華な食事に集約されたというわけだ。そんな歴史的背景を読みながらいただく祭りずしの味もまた格別也。
地元の人に聞くと11号線より北側がより高級な歓楽街になっているそうだ。そんな歓楽街のフェリー通り沿いにある讃岐うどんのお店が『鶴丸』。多くの男性が飲んだ後の〆にやってくる。22時過ぎに訪れたが店内はほぼ男性で満席。
ほどんどの方が注文するここの名物のカレーうどん650円也を注文。入り口脇では小さなスペースながら実演でうどんを手打ちしていた。例にもれずサイドメニューとしておでんも用意されている。
カレーうどんはなかなかルーにこくがあって、おいしく食べられる。うどんは極太でこしも強い。多すぎず〆としては適度な分量。どこかのサイトでカレーの味がカップ麺のようだとあったが、それは違うのではないでしょうか。店名は「ツルツルとすすって丸くのみこむ」という、うどんの食べ方の極意を凝縮したもの。
高松ってジャズ喫茶なんてものはあるのかなぁと下調べしたら、かろうじてあったのがこのお店。
瓦町を抜けて南へ向かう商店街には貸店舗の表示が多数見受けられ、地方経済の回復が厳しいことがここでもうかがえる。
さて教会の前あたりに目指す店はあった。入ってみると数人のグループによる貸切状態であった。ひとりはイスをベッド代わりにご就寝。店は女性がひとりで営業していたようだが、一升瓶が置かれ一緒になって飲んで話す方に夢中のようだ。
(本来なら演奏中のアルバム・ジャケットが展示されるようなのだが)
LPの所蔵枚数は意外に多く、ハードとしての店の雰囲気はなかなか良い。かかっていたのはソニー・スティットのような古い時代のジャズ。それに聴き入っているような熱心なファンがいなかったのが残念。まぁ一度限りの来店ではわからないが、ココ一軒しかないこと自体、高松はジャズ不毛の地のようだ。
濃い目のジン・トニック(おつまみ付き)が800円也。健闘を祈る。。。
久々に高松出張が巡ってきた。高松空港からバスで一番の繁華街である瓦町にあるホテルを目指す。以前から一度訪れてみたと思っていた店が、その名もずばり『美人亭』。事前調査で美人の女将がやっている店ではない(失礼)とわかっていても、悲しい性だろうか、わくわくしてしまう。
20時を過ぎて入店すると、カウンターは無人だったが、小上がりには二組のグループがいた。この店は女将さんひとりで切り盛りしているようだ。
中生ジョッキを注文。カウンターには大皿料理が4つあり、そのなかからお通しが選べるということで『芝えびの素揚げ』を注文。大ぶりの芝えびが5-6尾でいきなりなかなかの味とボリュームに感心させられる。
(箸袋に書かれた美人亭の名前の由来の正体)
この店にはメニューも値段も一切なし。自分でカウンターにある数点の大皿料理を注文するか、保冷ケースにある魚を眺めながら女将さんと調理方法を決めるかのどちらかである。魚は毎日市場で仕入れているそうだ。まずは『たこ』と『さより』を刺身にしてもらった。醤油はたまりだった。
次に金陵の生貯蔵酒に切り替えて、『かわはぎ』の煮付けをいただく。これは都会ではなかなかいただけない絶品の味だった。豆腐にも味がしみてウマイ。さらに『小松菜と豆腐の炊いたん』を注文。
(見てくれはイマイチだがウマかったです)
とにかくひとりでやっている女将さんの手際がよく、注文すると短時間で調理されてでてくるところがスゴイ。今日は運良くカウンターはひとりで気さくな女将さんと話ながらゆっくりと飲めたが明日は予約で満席とのこと。今度は冬場に来てみたいものだ。地方の山海の幸をしみじみと味わえる店。計3500円也。
毎年夏になると斬新なアイデアで消費者を楽しませてくれるアイスクリームの『赤城乳業』。かっては『カレーアイス』や『ラーメンアイス』なんてのがあったと記憶している。
『ガツン、とみかん』は今年の小生の一番のお気に入りである。いつも買うのはスーパーで売っている5本入りパック。ネーミングの奇抜さは相変わらずだが、味には特に奇をてらったところはない。小生がこれが好きな理由は子供の頃の郷愁に浸れるから。子供の頃に母がよく作ってくれたのは、みかんの缶詰のみかんの果肉をそのまま製氷皿の仕切りにひとつずつ入れて、最後に缶詰の汁を満たして凍らしたもの。今の冷蔵庫ではアイス・キューブが自動的にできるのですっかり忘れていた。『ガツン、とみかん』は当時母が作ってくれたものと同じ味がするのである。当時家計をやりくりする知恵だったのかもしれない。
久々に面白そうな海外TVドラマが毎週月曜日23時から始まりました。舞台はNYCの雑誌出版社で、クイーンズに暮らす貧しいラテン系(インテリアから推察するとメキシコ系辺りか)移民の子ベティーがイケテナイ容姿にもめげず、周囲のイジメにもめげずに奮闘するという、ヒスパニック系でなくても日本の派遣さんあたりにも涙もののストーリーです。なんかメラニー・グリフィス(こちらは美人だけど)主演のワーキング・ガールなんかも思い出してしまいました。
ベティ-はクイーンズ・カレッジ出身という設定ですが、このドラマではクイーンズはニューヨークであってニューヨークでない別世界という扱いです。20年くらい前のエディー・マーフィー主演の映画『星の王子様ニューヨークへ行く』でもお妃探しの行き先に地名だけで"Queens"を選んだというオチがありましたが、犯罪多発地区として描かれていましたネ。
『UGLY BETTY』は、コロンビアで放送され世界中で大人気となった『ベティ~愛と裏切りの秘書室』のアメリカリメイク版らしい。なるほど劇中にもベティーの家庭のTVで流れているのはラテン系愛憎メロドラマ。余談になりますが、この手のスペイン語で放映されている番組って日本人から見ると人物像がわかり易くて、演技がかなり大げさです。まぁ日本でも真珠夫人なんてやってましたから似たようなものか。仇役のバネッサ・ウイリアムズもはまり役ですね。実は最もアグリーなのは雑誌出版業界人の心という設定なのですが、それも極端で面白い。
ドラマをよくご存知ない方のためにイントロ版を発見しました。
多くのニューヨークらしきシーンが登場しますが、実は撮影はロサンゼルスで行われ、例えばオフィスの窓の外のマンハッタンの景色は合成されたりしているそうです。そういう目で見ると確かにそんな感じですね。
(でも実は素顔はけっこうイケテる感じです。)
(こんなものまで売られているベティー・ポンチョ。第一話ではこれを纏って得意顔で初出勤。)
多摩方面での仕事を終えて、17時頃に祖師谷大蔵に到着。通常はここからバスで帰宅するのだが、ちょっと寄り道して北口から伸びる『ウルトラマン商店街』を進んで洋食の『キッチンマカベ』を目指す。今日は実に暑い!
17時開店のメルヘンチックな雰囲気の店内にはひとり男性の先客が既にいた。ちょっと早いがひと仕事終えてまずは一杯いこう。サッポロ生ビール(アサヒかサッポロを選択可)中ジョッキ600円也。ジョッキがビシッと凍らしてあって、他人が働いている時間に飲むビールが実にうまい! 名物の『オム・コロ』1100円也を注文。
(レジにはウルトラマン・グッズがならぶ)
先客も同じものを注文したらしく二人同時に『オム・コロ』が運ばれてきた。すると彼はデジカメ(小生は携帯)で写真を撮っているではないか。同類なのかとお互い向かい合った席でなんとも妙な空気が流れる。
『オム・コロ』のコロとはチキンのクリーム・コロッケのことで、2個ついているが、これは予想を超えるウマサだった。ベシャメル・ソースの濃厚な味が素晴らしい。めちゃくちゃウマイです。オムライスの方はそれに比べると凡庸だったが、どこか懐かしい味だし、ただのライスよりははるかにいい。スープもついて1100円ならお値打ちなのではないだろうか。
この街で長年愛されている街の洋食屋さんという親しみが感じられる店で次回は他のメニュー(もうひとつの名物はなんと餃子)も試してみたいと思った。カウンターもあり一人でも入りやすい点もグッド。
映画『De-Lovely』にも出演してちょっと違った雰囲気で『Begin The Beguine』を唄って芸の幅広さを見せていたシェリル・クロウ。
I hitched a ride with a vending machine repair man
He says he's been down this road more than twice
He was high on intellectualism
I've never been there but the brochure looks nice
Jump in, let's go
Lay back, enjoy the show
Everybody gets high, everybody gets low,
These are the days when anything goes
[Chorus]
Everyday is a winding road
I get a little bit closer
Everyday is a faded sign
I get a little bit closer to feeling fine
He's got a daughter he calls Easter
She was born on a Tuesday night
I'm just wondering why I feel so all alone
Why I'm a stranger in my own life
Jump in, let's go
Lay back, enjoy the show
Everybody gets high, everybody gets low
These are the days when anything goes
Chorus
I've been living in a sea of anarchy
I've been living on coffee and nicotine
I've been wondering if all the thing I've seen
were ever real, were ever really happening
Chorus
紙飛行機が様々な人生を巡っていく凝ったつくりのモノクロのPVですね。まったりと独身女性?の人生観がよく表現されている名曲です。ロックを知り尽くした音作りも光ります。ちょっとアルバム・ジャケットの雰囲気とは違いますけどね。
博多というと屋台が有名ですが、長浜、天神、そして中洲川端に店が集中しています。川端からはちょっと離れた冷泉公園の脇にも屋台が数軒ならんでいます。『××ちゃん』という店名が多いのですが、そのなかに、まだ準備中の『屋台バーえびちゃん』をみつけました。屋台の開店は19時頃、帰りの飛行機の時間は20時45分、残念ながらそうゆっくりはできません。
(博多川に夕陽が落ちて、公園脇では屋台が準備中。)
19時ちょっと前に、『もういいの?』って尋ねると蝶ネクタイのマスターが『いいですよ。』と言ってくれた。またまた今日一番目の客となってしまった。辺りはまだ明るい。座った席からはバックに公園の緑が見える。よしず張りの空間は調理に火を扱うことも限定的なので、この界隈では一番涼しい店だという。その空間には静かにショパンのピアノ曲が流れていた。ここはカクテルを飲ませる屋台バーだ。『毎日ね、この店の準備に2時間かかるんですよ。』なるほどまだ日差しが残る17時頃から汗だくで屋台のセッティングをするのは大変な作業だろう。ボトルだけでもすごい数だ。一升瓶が一本あればOKの店とは全然違う。年の頃は70歳前後とお見受けした僧衣の方が似合いそうな風貌(失礼!)のマスターの情熱はどこから来るのだろうか。
(リゾートホテルのプールサイドにありそうな構図)
分厚いメニューを渡される。カクテルがずらっと書かれている。ここはマスターにぜひシェーカーを振ってもらいたいとも思ったのだが、あまりの暑さにロングを選択。ウォッカをベースにクランベリーとレモンで割ってライムを搾ったこの店のオリジナルカクテル『オイシイ』を注文。(ちなみにマズイというのもあるそうだ。)これはサッパリとした飲み口で女性にも人気だろう。ここは「クッキングパパ」にも登場するお店のようでマスターの似顔絵入りのコースターは漫画家が書いてくれたという。『えびちゃん』という店名は(当然ながら)人気のモデルさんではなくマスターの苗字『えびなさん』から来ているということ。
(オイシイは見た目も鮮やか。ここにもラフロイグが並ぶ。)
となりに若者が一人でやってきた。会話の内容からすると酒には詳しそうだ。バーテンダーかもしれないなと思う。マスターは中州で30年バーテンをなさっていたそうだ。この暑いのに蝶ネクタイに長袖シャツという正装です。二杯目はマスターに薦められてモスコミュールを。
(突き出しはえっキムチと思ったらよく冷えたラタツゥーユだった。あくまでもオシャレ。)
屋台だから通常の店とは違う状況下にある。切ったフルーツは早く使いきらなければならないし、客の飲み終えたグラスに残る氷も食材保冷のためにリサイクルのようだ。そうこうしていると19時30分になってしまった。空港へ直行するならまだ30分は飲めるが、途中で預けた荷物を取りにゆかねばならず、ゆっくりできないのが残念だが退散する時間だ。この店はぜひまた訪れたい。3時までやっているそうなので秋の夜長がいいだろう。
『ホルモンみすみ』を出て、天神南方面に歩くと名前の通りの赤のれんが目印の『元祖赤のれん節ちゃんラーメン』がみつかります。この店はネットで結構評価が高いので寄ってみました。入ってみるとやや広い店内はごく普通の街の中華料理店という感じで中華料理のメニューも普通にある。本当にここでうまいラーメンが食べられるのだろうかと不安になる感じです。元気なお婆ちゃんが頑張って働いています。(ひょっとするとこの方が節ちゃんだろうか。)
隣の若者が『並かため』と注文したので、小生も同じものを注文。なんと470円也。醤油とんこつのスープを一口飲んただけでこれはウマイと直ぐに納得。テーブルにあるゴマと紅しょうがを入れて味に変化をつける。チャーシューも小さ目ながらなかなかウマイ。隣の若者は『替え玉バリかた』でどんどん食べている。小生は生ニンニクをいれてフィニッシュ。こちらはもうお腹一杯だ。
ここは万人に勧められるウマサだと思います。
翌日に博多での出張仕事を午前・午後と二件こなして、飛行機で東京へ戻るまでの時間にちょっと飲むかということで前から気になってた『ホルモンみすみ』にやってくる。開店の17時を20分ほど過ぎていたのだが一番客となってしまった。辺り一帯は住宅もあり飲み屋街というわけではなさそうだ。
壁にある木札のメニューを見てください。つまみはホルモン160円の単品のみです。この点では門前仲町の大坂屋に近いユニークな潔さがあります。
(酒を飲む。友と飲む。天下を呑め。とは藤本義一氏の色紙)
まずお酒から注文します。霧島の芋をロックで。すると自動的にホルモンが3串でてきます。こちらのホルモンは牛のいろいろな部位が順番に一串に刺してあります。スープは白味噌仕立てですが、牛骨なんかも混ざっているようで網で漉してつぎ足しています。最初の3串以降の追加の串は自分で鍋から取るというスタイルです。これにネギをたっぷりとかけたり、一味唐辛子をかけて味に変化をつけていただきます。霧島を飲みながら味噌の香りのなかで静かな時が流れていきます。
(先端にはハチノス、根元はシマチョー。たっぷりのネギは別売で100円。)
(客席側に向けられたおたまでスープも自分で入れます。これがなぜか楽しい!)
霧島x2に串x6で合計1500円也。なかなか小粋な店ですが、ホルモンのお味自体は小生は八丁味噌ベースの大坂屋の方が好みですね。スープを好きなだけ飲みすぎたせいなのか(ごめんなさい)店を出たあと喉が渇いてしかたがなかったなぁ。
『さきと』を出て、ふらつく足取りで10分ほどでたどり着いたのは『元祖長浜屋』(通称ガンナガ)。ここは帰りに乗ったタクシーの運ちゃんが話していたが、年末年始以外はずっと営業している商売熱心な店らしい。店外の自販機でラーメン400円也の食券を購入して入る。数人が腰掛けられる大テーブルのみが4つあり、配膳係だけで4人が働いている。
初めて来たのだが、それを悟られないように地元の衆を装って慣れた口調で『べたかた、ねぎ多めネ』とクールに注文。
テーブルにあったゴマとか紅しょうがをかけて食べてみる。なんだ味は大したことないぞぉ。チャーシューはちょっとしょっぱすぎでしょ。それにしても意外と量があって結局完食できず。安くて地元の方にはソウルフードなのだろうか、お好きの方は多いようだが、わざわざ食べに行くほどの希少価値は無しとみた。ちょっと古いが波田陽区風だと『褒めるとこ見当たりませんから。残念!』
小生、仕事で博多へ来るのは3度目だが、『さきと』を訪れるのも3度目だ。つまり毎回ここに来ているというわけだ。今回は念のために20時に予約をいれてちょっと前に入店すると席はまだ空いていた。ひとりオヤジは小生だけ。あとは常連さん達のようだ。白髪で五分刈りのご主人は相変わらず寡黙な料理人という感じだ。
お通しは鯖の生姜煮だろうか。まずエビス生ビールをいただく。
(いかにも男らしい字体の本日のメニューはこちら)
唐津のの赤うに2000円也とごまさば900円也を注文。
お酒はここに来ると大抵これに決めている博多一本〆650円也。
(うにはボリューム感がイマイチでした。)
(ここにきたらやっぱりコレでしょ。ツマまでおいしいのが見事。)
一本〆を更に飲みながら、追加でポテトサラダを注文。最後にと決めたのは奄美大島の40度の国産ラム酒『ルリカケス』を薄いグラスのロックで。初めて飲んだが、これは小生好みの味だ。しかしアルコール度数が高いのでずっしりと効いた。
(優れた店はこういう基本のアテがうまい。ルリカケスの図案に子供の頃買った切手を思い出す。)
計6500円也。また来たいで~す。
今度は福岡出張が巡ってきた。13時30分過ぎに羽田空港に到着して、出発まであと一時間ということで、腹ごしらえに第二ターミナルのマーケット・プレイスをみていて、なつかしい名前を発見。小生は会社がその昔、西新宿にあった関係で夜の新宿はよく知っていた。多くの店が変貌していくなかでアカシアが存続していたのは本当にうれしいニュースだ。アカシアと言えば新宿の裏通りに昔からあるロール・キャベツで有名な店だ。果たして空港に店舗が進出するとは昔を知るものにはビックリだ。懐かしさのあまり、ここに決めた。
アカシアとはアフリカ原産の木の名前で昔は糊の原料として使われたのだが、ある唄で有名になった。
アカシアの雨に打たれて
このまま死んでしまいたい・・・
夜が明ける 日が昇る
朝の光のその中で
冷たくなった私をみつけて
あの人は涙を流してくれるでしょうか
60年安保の年に西田佐知子(現関口宏夫人)のハスキーな虚無感の漂う『アカシアの雨がやむとき』は歌謡曲ながら自殺願望の匂いがする当時としては珍しい唄だった。冒頭のトランペットが泣かせたものです。今でも安保の映像のバックに流れる曲として使われています。新宿アカシアはおそらくこの唄から店名をとったに違いない。
主力のロール・キャベツやランチセットがあるなかで、ロールキャベツとハヤシライスが同時に味わえる『キャベハヤ』900円也を注文。ちょっと濃い目の乳白色のソースに柔らかく煮込まれたロール・キャベツの味の懐かしさ。感動です。
(ご飯を食べ進むと二種類のソースがせめぎあう)
テーブルに置かれた洋酒のミニボトルの空き瓶には爪楊枝がはいっていたりして遊び心をちょっと演出する。できれば雰囲気の残る新宿店へ行ってみたいが、次回はロール・キャベツのみを注文してみるか。