博多というと屋台が有名ですが、長浜、天神、そして中洲川端に店が集中しています。川端からはちょっと離れた冷泉公園の脇にも屋台が数軒ならんでいます。『××ちゃん』という店名が多いのですが、そのなかに、まだ準備中の『屋台バーえびちゃん』をみつけました。屋台の開店は19時頃、帰りの飛行機の時間は20時45分、残念ながらそうゆっくりはできません。
(博多川に夕陽が落ちて、公園脇では屋台が準備中。)
19時ちょっと前に、『もういいの?』って尋ねると蝶ネクタイのマスターが『いいですよ。』と言ってくれた。またまた今日一番目の客となってしまった。辺りはまだ明るい。座った席からはバックに公園の緑が見える。よしず張りの空間は調理に火を扱うことも限定的なので、この界隈では一番涼しい店だという。その空間には静かにショパンのピアノ曲が流れていた。ここはカクテルを飲ませる屋台バーだ。『毎日ね、この店の準備に2時間かかるんですよ。』なるほどまだ日差しが残る17時頃から汗だくで屋台のセッティングをするのは大変な作業だろう。ボトルだけでもすごい数だ。一升瓶が一本あればOKの店とは全然違う。年の頃は70歳前後とお見受けした僧衣の方が似合いそうな風貌(失礼!)のマスターの情熱はどこから来るのだろうか。
(リゾートホテルのプールサイドにありそうな構図)
分厚いメニューを渡される。カクテルがずらっと書かれている。ここはマスターにぜひシェーカーを振ってもらいたいとも思ったのだが、あまりの暑さにロングを選択。ウォッカをベースにクランベリーとレモンで割ってライムを搾ったこの店のオリジナルカクテル『オイシイ』を注文。(ちなみにマズイというのもあるそうだ。)これはサッパリとした飲み口で女性にも人気だろう。ここは「クッキングパパ」にも登場するお店のようでマスターの似顔絵入りのコースターは漫画家が書いてくれたという。『えびちゃん』という店名は(当然ながら)人気のモデルさんではなくマスターの苗字『えびなさん』から来ているということ。
(オイシイは見た目も鮮やか。ここにもラフロイグが並ぶ。)
となりに若者が一人でやってきた。会話の内容からすると酒には詳しそうだ。バーテンダーかもしれないなと思う。マスターは中州で30年バーテンをなさっていたそうだ。この暑いのに蝶ネクタイに長袖シャツという正装です。二杯目はマスターに薦められてモスコミュールを。
(突き出しはえっキムチと思ったらよく冷えたラタツゥーユだった。あくまでもオシャレ。)
屋台だから通常の店とは違う状況下にある。切ったフルーツは早く使いきらなければならないし、客の飲み終えたグラスに残る氷も食材保冷のためにリサイクルのようだ。そうこうしていると19時30分になってしまった。空港へ直行するならまだ30分は飲めるが、途中で預けた荷物を取りにゆかねばならず、ゆっくりできないのが残念だが退散する時間だ。この店はぜひまた訪れたい。3時までやっているそうなので秋の夜長がいいだろう。