ブラッド・ダイヤモンド

 
 連休前、フォスター・プラン推薦の映画ということで、「ブラッド・ダイヤモンド(Blood Diamond)」を観に行った(監督:エドワード・ズウィック、出演:レオナルド・ディカプリオ、ジェニファー・コネリー、ジャイモン・フンスー、他)。

 つい10年ほど前の、内戦最中の西アフリカ、シエラレオネが舞台。
 ある日突然来襲した反政府軍RUFによって家族と引き裂かれ、ダイヤモンド採掘労働へと借り出される、村の漁師ソロモン。そこで彼は、どでかいピンク・ダイヤモンドを見つけて隠すのだが、それを元傭兵のダイヤ密売人ダニーが嗅ぎつける。ダニーはソロモンに、家族を捜し出してやる代わりにダイヤの隠し場所を教えるよう迫る。
 一方で、ダニーはダイヤ密輸の実態を追う女性ジャーナリスト、マディーにも、密輸の情報と引き換えに自分たちへの協力を取りつける。
 彼らは、それぞれの思惑によって一致した利害、ピンク・ダイヤモンドへの道を共に行く。……という話。

 筋から言えば娯楽映画なのだろうが、シエラレオネの武力紛争やダイヤの不法取引など、社会背景をしっかり描いたストーリーなので、重いのなんの。
 人民解放を謳う反政府組織が、人民を虐殺したり、手足を切り落とすなどの残虐行為に及んだり、人民を拉致して強制労働させたり、麻薬や洗脳によって少年兵に仕立て上げたりしていた、という事実。その反政府組織が、高値に維持されたダイヤモンドを資金源として、その密売によって武器を購入してきた、という事実。ちょっと考えれば見当のつく内容なのだが、映像つきの具体的なストーリーで提示されると、やっぱりショッキング。つらすぎる。
 アフリカにはまだ20万人の少年兵がいるという。何とかしなくちゃならない。

 この映画では取り上げられなかったが、ダイヤモンド需要国が武器供給国である場合も多いことを、忘れてはならないと思う。

 あと、人を殺すのにも逡巡しない非情な男ダニーの心の動き。
 もともと実力派だったのに、「タイタニック」で一躍ミーハー俳優とされてしまったディカプリオが、本領を発揮して、百戦錬磨のワイルドな悪人を、だが、「悪人にも善い心が残っている」という思想のとおり、アフリカへの愛着、親を奪われた孤独などを垣間見せる、悪人になり切れない悪人を、演じ切っている。
 “TIA(This is Africa)”という現実。単なるレオさま目当てでも、観ておいたほうがいい。

 私は金・銀・宝石に興味がなくてよかった。相棒も「買ってあげないでいてよかった」って言ってた。もともと買う気なかったくせに。

 画像は、エイキンズ「踊る黒人少年」。
  トマス・エイキンズ(Thomas Eakins, 1844-1916, American)
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