世界をスケッチ旅行してまわりたい絵描きの卵の備忘録と雑記
魔法の絨毯 -美術館めぐりとスケッチ旅行-
甘酸っぱいということは
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/77/65/2ea5c50504c155ddb5daba5440eafd17.jpg)
最近、昔のことを次から次へと思い出す。これは私が高校生のときの話。
ある天気のよい昼休み、私はふと、教室にいたくなくなって、校舎の外に出てぶらぶらと歩いていた。その高校は、竹林の地主に地所を売ってもらえずに、校庭も校舎も狭苦しく、周囲は竹やぶに囲まれていた。
普段はそんなことはないと思うのだが、その日は、校舎の外にも校庭にも、生徒の姿が見当たらなかった。
どこへ行こうというつもりでもなく、校門のほうへとぶらぶら歩いていると、後ろから、キッ、と自転車のブレーキの音がした。のっそりと振り返ると、一人の男子生徒が、自転車に跨がって立っていた。
それは、オブーという男の子だった。
私は彼と、中学校で同じクラスになったことがあった。その頃私は、ときどき、クラスの野球部の男子たちに嫌がらせを受けていた。オブーは野球部だった。で、その嫌がらせに加担していた。
まさか私に用があるとは思わなかったので、私は彼を無視して、そのままぶらぶらと歩き出した。すると、彼は自転車をのろのろと漕ぎながら私についてきた。
なんでついてくるんだ、バカ。すると彼が声をかけてきた。
「ガム、やろうか? 甘酸っぱいやつ」
私は驚き呆れてオブーを見た。
To be continued...
画像は、J.G.ブラウン「ベリー摘みの少年」。
ジョン・ジョージ・ブラウン(John George Brown, 1831-1913, British)
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