チエちゃんが通う小学校の西側を流れる初瀬川沿いに、1本の小道がありました。そこは、自動車も通れるぐらいの道幅なのですが、滅多に通ることはありません。
それで、運動会シーズンが近づく秋になると、体育の時間はその小道がマラソンコースに早代りするのでした。
片道約1.5㎞のコースを往復する、その折り返し地点の少し手前に、あの頃既に、見るからに廃墟と化したその建物はありました。
切り通しが途切れ、松林が続く、その中にひっそりと佇む朽ちかけた木造家屋。
或る時、チエちゃんはあの建物は何であるのか、お母さんに質問しました。
お母さんの答えは、「ひびょういん」(?)の址だと言うのです。
ひ・びょういん?
病院と付くのだから、病気の人が入院する所らしいとは思うのですが、お母さんの答え方が、何となくすっきりとしない、声をひそめるようなその言い方に、これは聞いてはいけないことを聞いてしまったのだろうかと思うチエちゃんなのでした。
「避病院」とは、昔、伝染病患者を隔離した病院なのだそうです。
そうだとすれば、お母さんの妹のような結核患者が入院していたのでしょうか?
今、思い返して見れば、どうもそうではないらしいことに気付くのです。
おそらくは、ハンセン病患者の隔離施設ではなかったのか?と、思い当たります。
らい病と呼ばれ、不治の病とされたその病気に侵された人は、本人だけでなく、その家族までもが、恐ろしい病気として忌み嫌われ、村八分などの偏見・差別を受けたのです。
チエちゃんの村にそのような施設があったことすら、忘れ去られ、今回こうして思い出し、書くことになって初めて、ひ病院の「ひ」という漢字はどれを当てはめるのだろうかと調べてみたのでした。
それで、運動会シーズンが近づく秋になると、体育の時間はその小道がマラソンコースに早代りするのでした。
片道約1.5㎞のコースを往復する、その折り返し地点の少し手前に、あの頃既に、見るからに廃墟と化したその建物はありました。
切り通しが途切れ、松林が続く、その中にひっそりと佇む朽ちかけた木造家屋。
或る時、チエちゃんはあの建物は何であるのか、お母さんに質問しました。
お母さんの答えは、「ひびょういん」(?)の址だと言うのです。
ひ・びょういん?
病院と付くのだから、病気の人が入院する所らしいとは思うのですが、お母さんの答え方が、何となくすっきりとしない、声をひそめるようなその言い方に、これは聞いてはいけないことを聞いてしまったのだろうかと思うチエちゃんなのでした。
「避病院」とは、昔、伝染病患者を隔離した病院なのだそうです。
そうだとすれば、お母さんの妹のような結核患者が入院していたのでしょうか?
今、思い返して見れば、どうもそうではないらしいことに気付くのです。
おそらくは、ハンセン病患者の隔離施設ではなかったのか?と、思い当たります。
らい病と呼ばれ、不治の病とされたその病気に侵された人は、本人だけでなく、その家族までもが、恐ろしい病気として忌み嫌われ、村八分などの偏見・差別を受けたのです。
チエちゃんの村にそのような施設があったことすら、忘れ去られ、今回こうして思い出し、書くことになって初めて、ひ病院の「ひ」という漢字はどれを当てはめるのだろうかと調べてみたのでした。
たぶん?ハンセン病の人はいなかったと思いますが・・・。
病院は消毒の匂いのするところなのですが、そこの病棟のまわりには、白い石灰がまいてあって、特別な所というイメージが鮮明に残っています。
今は、影も形もなくなり、人々の記憶からも消え去りつつありますね。
避病院という言葉、初めて聴きました。
ハンセン氏病、ドキュメンタリー番組で見ましたけど、当事者の悲劇は語りつくす事が出来ません・・・
朽ちかけた木造家屋には、無念という残像が残っているのでしょうか・・・
現在も、隔離病棟は存在するのでしょうが、昔ほど暗いイメージではないように思います。
それだけ、医学が進んだのでしょうね。
コメントありがとうございました。
秋になって、沈んだ気持ちになってしまったのか、思い出してしまいました。
子供の頃は、精神病院のことなのかなあと思っていたのです。
「避病院」、なんと国語辞典に載っていたのですよ。
コメントありがとうございました。
精神病院も今は「精神医療センター」というんですよね。
精神病院も伝染病隔離病棟も行ったことがありますが、
地元の方たちの軋轢は大変だそうです。
「必要な施設なのは分かるけれど、自分の家の傍はいや。」
気持ちは理解できなくもないけれど、自分が当事者になったときのことを想像してみなければと思いました。
コメントありがとうございます。
いつ、自分が、家族が、恐ろしい伝染病に罹患するか、わかりません。
当事者になってみないと、その苦しみを本当に理解することはできないのでしょうね。
地震の被害に遭われた方をお気の毒と思いつつも、やはり、遠い何処かの出来事と考えていることに似ています。
偏見を持ってはいけない。
そう、頭では解っています。でも、・・・・・
やはり理屈では割り切れない部分があることも事実です。
いじめなんかも、きっと同じ心理なんですよ。
今回は、暗いイメージになってしまいました。
コメント、ありがとうございます。
亡父の父母・つまり祖父母は、今で言う、結核だったそうです。
避病院というのじゃなくて、何か療養施設みたいなところにいたらしいです。
そうそう、「トトロ」のサツキのお母さんが入院してるような感じのところ・・・。
ハンセン病・・・。
最近新聞でも取り上げられてましたね。
国の政策と言えどもね・・・。
そうそう、神経科や精神的に病んだ人の療養施設は、わりと近くにありますよ。
「ひびょういん」の「ひ}の漢字、今まで知らなかったのです。
私的にも、へえ~という感じです。
「トトロ」のさつきちゃんとメイちゃんのお母さんの病気は何だったんでしょうね?
とうもころしが置いてあるシーン、好きですね。