チエちゃんの昭和めもりーず

 昭和40年代 少女だったあの頃の物語
+昭和50年代~現在のお話も・・・

第201話 トシ子叔母さん

2017年10月14日 | チエちゃん
トシ子叔母さんは、チエちゃんのお父さんの3歳下の妹です。
チエちゃん家から、すぐ近くのチエちゃんのお母さんの実家に嫁いでいました。
トシ子叔母さんの話好きで、お世話好きという所がおじいちゃんの性格を受け継いでいたと思います。
根掘り葉掘り聞き出してはあちこちで話すので、たちまちお話が広まってしまいます。
チエちゃんのお母さんなどは、叔母ちゃんには大事な秘密の話は打ち明けられないとよくこぼしていたものです。
でも、トシ子叔母さんは辛い思いや苦労をたくさんしてきたのです。
おじいちゃんおばあちゃんと再婚する時、子どもはヨシヒサおじさん1人だけと偽っていたのです。ところがいざ嫁いでみたら、あと二人も子どもがいたのですから、おばあちゃんにしてみれば騙されたと思ったことでしょう。
それで、おばあちゃんはトシ子叔母さんに辛く当たったらしいのです。いわゆる継子いじめです。
トシ子叔母さんはおじいちゃんの前妻(兄妹の実の母親)に瓜二つだったらしく、それもおばあちゃんのカンに触ることだったのかもしれません。
トシ子叔母さん自身も実の母親には複雑な想いを抱いていたようです。
長じてから、東京を訪れた際、偶然昔ご近所だった方に逢い、
「あら!?あなた、○○さんの娘さんじゃないの? お母さんにそっくりだねぇ。」
と言われ、男狂いのふしだらな母親とそっくりと思われているのかと、ものすごく嫌だったということです。

叔母さんは大人になって、チエちゃんのお母さんのお兄さん勇作おじさんと結婚しました。
お母さんの実家は貧乏で、お金は一銭もなく、お米が一粒もないという暮らしだったと言います。
そういう所に嫁いだわけですから、相当な苦労をしたことと思います。
勇作おじさんと一生懸命働いて、家を建て替え、ようやく人並みの暮らしができるようになった頃、今度は勇作おじさんが癌になってしまいました。
3年の闘病の末に亡くなった勇作おじさんは56歳、トシ子叔母さんはその時51歳でした。

その後、長女が婿を迎えて後を継ぎ、孫にも恵まれ、晩年は幸せだったと思います。


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