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チエちゃんの昭和めもりーず

 昭和40年代 少女だったあの頃の物語
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カリカリ花

2009年06月22日 | チエの玉手箱
カリカリ花、私たちはこの花をそう呼んでいた。

 私は他所でカリカリ花を見かけたことは一度もなく、とし江ちゃん家の門道の石垣の前にだけこの花は咲いていたのだった。
なぜその名前が付いたのかといえば、枯れて干からびたように花びらがカリカリだったからだ。

 私は、このカリカリ花がいたく気に入っていた。
摘んで髪に飾ったり、家に持ち帰って宝箱に入れたりしていた。
私たちのおままごとの夕飯の豪華なおかずになったこともあった。
私がお母さん役で、カズあんちゃがお父さん役、とし江ちゃんは子供役だった。
この配役は一度も代わることがなかった。

 いつだったか、私たちがカリカリ花を全部摘んでしまったので、とし江ちゃんのお母さんにひどく叱られたことがあったっけ・・・

 とし江ちゃんがお嫁に行き、スイおばちゃんに続いて、お母さんが亡くなった後、カズあんちゃは引越しをして、とし江ちゃん家は空き家になってしまった。

 あの家に今でもカリカリ花は咲くのだろうか・・・




     わたしから メールしないと 決めたはず

        くじけそうになる 水無月の夜  


※カリカリ花の正しい名前は「ムギワラギク」です。

画像はpotolibraryさんからお借りしました。