お気に入りの深夜放送が終わっても、このまま寝床に行くのはもったいないような気がして、雑誌などをパラパラめくる。
ふと気がつくと、カーテンの向こうが少し明るくなっている。
朝の気配。
戸外に出てみる。
ひんやりとした空気が、気持ちよい。
西の空に、ひとつ、ふたつ、星が残る。
藍のベールを1枚ずつ、はがして、山際が薄くなってくる。
聞こえてくるのは、まだ、サラシ川の水音だけ。
もう少しすれば、アブラゼミがジーとうるさく鳴きだすだろう。
スグリグミの葉に、セミの脱け殻を見つける。
一つ見つけると、あちらにも、こちらにも、セミの脱け殻がある。
ひまわりの向こうに、広がるスイカ畑。
グラジオラス、ポンポンダリア、アスターの花。
今日も、暑くなりそうだ。
いつの日にか、この土地を離れることになっても、
この景色だけは、忘れずにおこう
私は、そう思った。